「奇巌城の冒険」

1966(昭和41)年東宝・三船プロダクション
監督:谷口千吉
製作:田中友幸
音楽:伊福部昭
原作:太宰治『走れメロス』

出演:配役
三船敏郎:大角
中丸忠雄:円済
有島一郎:酔仙道人
三橋達也:王
白川由美:王妃イザート
佐藤允:ゴルジャガ(盗賊団団長)
平田昭彦:宰相
若林映子:スプリヤ(宰相の娘)
天本英世:不知火のおばば
田崎潤:隊商宿亭主
浜美枝:クレーヤ(隊商宿亭主の娘)
黒沢年男:大角の弟
高田稔:コータンの老王
堺左千夫:キャラバンの案内人
黒部進:武官長
桜井浩子:侍女

'14年2月9日(大雪の次の日)、シネマヴェーラ渋谷の谷口千吉特集で見る。
昔、家にこの映画のソノシートがあって、聞いた記憶はなかったのですが
(当時は子供だったから怪獣映画の方に興味が集中していた)
三船主演、音楽伊福部という情報があって
長い間見たくて興味があった映画。

今回は相当褪色した、赤い画面でしたが見ることができました。
これはイランロケまでやった大作ですね。
砂漠、ラクダの隊商、遺跡などのシーンがリアルに感じます。

ストーリーは仏教伝道のために仏舎利を見つけて日本に持ち帰ろうとする僧・円済(中丸忠雄が好演)と
かつて遣唐使の船に乗って渡来したが奴隷市場で売られる身となった大角(武芸者?・三船)が
敦煌で人間不信の王とかかわりを持ち、
仏舎利を日本行きの船に乗せるために走る大角の身代わりとなって
火あぶりまでの時間を待つ円済、というホントに「走れメロス」をモチーフにしたハナシです。

んで大角は時間までには寸でのところで間に合わないのですが
逆に大角の、ぼろぼろになりながら必死に処刑台に向かう姿が民衆の心を掴んで、
遂に処刑台の、火がついた藁を人々が取り払おうとする。
そしてその光景を見て心を打たれた王はとうとう処刑台まで上がって「この者を許す!」と宣言するのでした。
個人的にはここが大クライマックスで、なかなか感動的でした。
この後王の心代りをよく思わない(王の座を狙っているため)宰相がクーデターを起こして
王側に就いた大角たちと宰相側とのバトルシーンがあるのですが
そちらは大活劇としてのクライマックスとして用意されたものと感じました。

音楽的には冒頭で奴隷市場から解放された大角と円済が酒場?みたいなところで食事をするシーン、
女性の歌手だか踊り子(配役不明)が歌いながら果物を大角に渡すシーンで
吹き替えでしょうが女性が歌うシーンがあるのですが、
タイトルバックのメロディーに歌詞をつけた曲で
たわいないシーンですが伊福部ファンとしては凄く心を動かされる曲でした。


それから佐藤允(だいぶ細く見える)演ずる盗賊団の団長が登場するシーンでは
「ゴジラの猛威」のメロディーがピアノ?かかりました。
怪獣の威圧感がある曲が流用されている感じがして面白かった。
音楽的にも伊福部ワールド全開で楽しめました。

女性陣も豪華で宰相の娘若林映子のスプリヤはアクビ娘みたいなコスでへそだしまくり。
浜美枝は割と現代風の長袖、王妃の白川由美はよくわからない飾りをつけて異国の雰囲気あります。
寝ている三船にチュッ!とキスするシーンはぐっときます(でもそれは天本英世のおばばが化けてるんですがね)
あと「ウルトラマン」でフジ隊員演じてた桜井浩子が前半白川由美の王妃の侍女役で出ますね。
後半は全く出てきませんが、その代わりと言っていいかどうか黒部進が出てくる(笑)。
セットは「バラージ」の回に流用されたそうだしウルトラマンのアントラーの回のテイストも味わえる。
有島と天本の妖術合戦もなかなか魅せますよ。

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(2014.0316)

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