種のひとつの起源。
「獣人雪男」


1955年東宝
監督:本多猪四郎
原作:香山滋
音楽:佐藤勝
出演:宝田明、河内桃子、根岸明美
<あらすじ>雨の降る山の待ち合わせの小屋で悲痛にくれる一行。
新聞記者が尋ねると一行は山奥の村で雪男の親子や不思議な少女と遭遇した話を語りはじめる・・・

浅草東宝のオールナイトで観る。
傑作。
隔絶された山奥の村、滅び行く種、文明の介入、人間と主(神)の関係など「ラドン」「モスラ」「バラン」の要素がすでに見られる。
人間の興行師に捕獲された子供を親が取り返しに行くというシュツエーションは「モスラ」では小美人に置き換えてある、
いやここはむしろイギリス映画の「怪獣ゴルゴ」(1959)から日活の「大巨獣ガッパ」へつながるラインと同一と考えるべきか。
東宝の怪獣映画は宇宙ものは別として昭和29年の「ゴジラ」とこの作品でおおよその骨格が出来上がっていたのではないか。
上映やビデオ発売に問題があるといわれているのは隔絶された村の住人や興行師の一団に
体の不自由な人、口が不自由な人が出ているからだろうか。
長く隔絶された村だったために近親での婚姻が多かったということを表現しているのだと思う。
そういった村を破壊するところなどはアレハンドロ・ホドロフスキーの「エル・トポ」をも連想させる。
映画の一番最後に、話を聞いていた新聞記者が「雨も上がりましたよ」というのが少し救いになっているよう。

(1995.0805の日記を元に再構成、2004.0429)

2010.0119追記
最後に雪男と対峙する村の娘チカ役の根岸明美が勇敢さ、ワイルドな色気と素晴らしい。
この感じは他作品では見られません(根岸さんの出演作全部見たわけではありませんが)。



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