vs素浪人。「座頭市血煙り街道」

座頭市全集 DVD-BOX 巻之参

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1967年 大映
監督:三隅研次
原作:子母沢寛
脚色:笠原良三
音楽:伊福部昭

出演:配役
勝新太郎:座頭市
近衛十四郎:赤塚多十郎
高田美和:おみつ
朝丘雪路:ともえ
中尾ミエ:みゆき
坪内ミキ子:お仙
伊藤孝雄:庄吉
小池朝雄:前原の権造
松村達雄:太兵衛
その他、小沢栄太郎、千波丈太郎、田武謙三、なべおさみ、毛利郁子

<あらすじ>座頭市は旅で相部屋になった母親が病で急死したため
残された子供、良太を父・庄吉の元へ連れて行くことになる。
市たちは旅芸人一座と知り合い、一緒に旅路を進むが、
途中で一座が権造一家の若い衆にからまれたのを助けた
凄腕の剣の素浪人、赤塚多十郎と知りあう。
市は窯の主人で庄吉の師匠だった太兵衛を訪ねるが、庄吉はいなかった。
絵師だった庄吉は権造一家に軟禁され、豪華な絵皿の下絵を書かされていた。
それを御禁制の金銀、南蛮産の朱で仕上げた豪華な焼き物を
代官が裏で地方大名に売りつけて金を稼いでいた。
庄吉の軟禁を知った市は権造の屋敷へ救出に向かう。
そして赤塚は代官の悪事を調査するための公儀隠密だった。
赤塚は同寮とともに代官を斬る。
赤塚は市に、悪事の共犯だった庄吉を斬る、と告げる。
「捕まって無理矢理に絵を書かされただけだろ、
庄吉さんはこの子と新しい暮らしをするんだ」と
庄吉の引き渡しを拒否する市、
座頭市と素浪人の最後の対決が始まった。

10年10月11日、浅草で見る。

全てを見たわけではないが、座頭市にはいくつかのストーリーパターンがある。
「凄腕のライバル」が序盤から登場し、最初は仲がいいんだけれど、
ラストで戦う運命になる。
親を失った子供をある場所まで連れて行く。
この作品は上記二つのパターンが合わさった構成。
中盤、茶屋で子供の履くわらじを買う金に困っている市に、
赤塚は「急ぎでなければ肩を揉んでくれ(大意)」と助け船を出す。
つまりあんまをしてもらって代金を払うことで市を助ける、という泣かせるハナシ。
赤塚は追っている一行が茶屋を通り過ぎたため、あんまを途中で切り上げて銀で払う。
市は「これじゃもらい過ぎ、まだ施しを受けるつもりはござんせん」と反発。
赤塚も「わしも武士だ、一度出したものをひっこめるわけにはいかん」と返して緊張。
そこを市が「こうしやしょう、揉んだのは肩だけですが、腰、足も揉んだってことにして、
へえ、○○文いただきやす」と懐柔策(笑)。
この辺、このストーリーパターンのほのかな友情の交錯が出ていて、
まあそれが破綻してクライマックスの対決になるというわけなんですがね。

赤塚多十郎役は近衛十四郎(松方弘樹、目黒祐樹の父)、
昔のテレビの「素浪人 月影兵庫」その続編の「素浪人 花山大吉」で
凄腕の素浪人を演じていた方です。

おいらこの「素浪人」シリーズ子供の頃よく見ていた記憶があって
品川隆二のクモが嫌いな渡世人「焼津の半次」との
珍道中は記憶にあります。
素浪人はシリーズの途中?から「猫が嫌い」「酒のつまみはおカラ」などの設定が出来て
「飲み屋におカラがないとおこる」場面とか笑って見てました。

座頭市は第一作のライバルが平手造酒
(「天保水滸伝」に登場する具合の悪い剣客=演:天地茂)
でありその後も用心棒(三船)、片腕カンフー(J.ウォング)などの
豪華な対戦相手が登場するヴァージョンがあるが、
「素浪人」もなかなかでした。

クライマックスで座頭市と素浪人・赤塚が対決!
この殺陣は長めですごい迫力。
映画館の前で知らないおじさんが「(近衛十四郎は)長い刀使うんだよ」
とポスター見て言ってましたがその通りで長い刀を振りまわす殺陣が大迫力。
ラスト、仕込杖を失った座頭市がスゴ味を見せての仁王立ち!

エンディングは子供との悲しい別れ、
橋の下に隠れてやり過ごす市は確かに泣いておりました・・・。

笑いのシーンもあるんだけど「見えない」に絡んでるので
ちょっと書くのははばかられるなあ。

女優陣も豪華な顔ぶれ。
高田美和、朝丘雪路、中尾ミエ(若い)、坪内ミキ子。
中尾ミエは歌も披露。
巨匠・伊福部が音楽の作品だが、
オープニングの勝新が歌う主題歌も伊福部作品なんでしょうか、それは不明。
朝丘雪路と中尾ミエは旅芸人一座の部分だけの出演で
高田美和と坪内ミキ子は後半になっての登場と、すごく贅沢な使い方。

後今回思ったんだけど、子供が出てくるストーリーは
市と子供の心の触れ合い、別れとかがぐっとくる話が多くて
いい作品なんだけど、
何で同じ大映の「ガメラ」は
子供が出てくる話は逆にあまり面白くないのか?という考え。
おいらは昭和ガメラでは「バルゴン」が一番好きなんですよ。

(10.1011)


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