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1970
年大映
監督:岡本喜八
音楽:伊福部昭
出演:勝新太郎、三船敏郎、若尾文子、岸田森、滝沢修、米倉斉加年、寺田農、嵐勘十郎
<あらすじ>「そよかぜ」「せせらぎ」人を斬るのに嫌気がさした座頭市(勝)が心のよりどころを求めてかつて訪れた里を訪ねる。
しかしその里は飢饉のあと荒廃し商人の父(滝沢)とやくざの親分の息子(米倉)が隠された金を巡って対立する殺気立った地と化していた。
座頭市はやくざに雇われた用心棒・佐々(三船)と一戦交えるが何故か気に入られ、両陣営から金のありかを探そうと一時的に組む。
しかし間にいる居酒屋の女房・梅乃(若尾)の存在により両者に微妙な三角関係が生まれ
さらに商人には次男が送り込んだ殺し屋・九頭竜(岸田)が付き
金を巡って様々に人が交錯する中、遂に座頭市と用心棒は対峙することとなる。
勝新と三船の2大スターの共演が実現した娯楽時代劇。
とにかく2大スターの対戦、っていうかからみが都合4度、
まさに東宝ゴジラ対大映ガメラの世紀の対戦って感じ。
あまり細かく書くと実際に見たときわかってて面白くないかもしれないのでその件については留めておきましょう。
でも三船の用心棒が千鳥足で賞金首の座頭市を斬りに登場する初遭遇のシーンなど、音楽が伊福部のせいか殆どゴジラ出現とダブる(笑)。
座頭市が目が不自由だから高い所が苦手でそこを用心棒につけこまれてリヴェンジされるシーンもなかなか
(でも下手すりゃ障害者差別ととられかねないシーンだから、このご時勢は難しい)。
ストーリーはところどころほつれもあるが複雑に絡み合って、金を巡る人々全員の表裏二面性を十分に見せている。
ヒロイン、脇役も相当力入っていて飽きさせず、今見ると「こんな場面にこんな人!?」っていうぐらいキャストが豪華。
盲目のはずの座頭市の活躍も超人的で、三船の用心棒が投げ上げた小判を居合いで真っ二つに斬ってみせたり
得意の丁半バクチで壷振って勝利したり(この市が壷を振る場面は毎回サイコロを一つ壷の外に出しちゃうんだけど、
勝負は勝ってるっていうパターン【作品によっては負ける時もある】)、
匂いだけでご飯のおかずを当ててしまう、とか(ホントに当たってたかどうかは不明、でもはずれてたらネタにならんだろ)
見えてるのかそれとも超能力者かと思ってしまう(笑)。
で、用心棒・三船の方は・・・
おいしいところは全部座頭市に持っていかれ、梅乃の借金も商人からまんまと二百両せしめた市が肩代わりしたせいでプライド潰され怒り心頭。
金のありかをつきとめるのも市の勘っていうか推理だし、頭脳勝負を最初っから市にまかせたところもあり
この作品の用心棒・佐々(実は隠し金を調べるための隠密)は
黒澤作品「用心棒」「椿三十郎」のそれと比べると自由人でないせいか?情けないったらありゃしない。
なので隠密の上役?も飲んだくれてるばかりの佐々に業を煮やしたか
うわべは新たな用心棒、実は次の隠密、九頭竜=跡部九内を派遣する。
九頭竜は刀もすごいがメインの武器は短筒。岸田森も若い!
クライマックス、金の隠し場所にじわじわと主要キャストが集結していくさまは盛り上がる。
傷を負いながらよろよろと進む滝沢、鉢を割られて血を流しずるずる這い進む米倉。鬼気迫るものがある。
最後は九頭竜とその配下、そして市と佐々が三つ巴の対決!
だがなぜ最後に座頭市と佐々が立ち会うのか、実は理由付けが薄い。
金目当てに土壇場で隠密を捨てた九頭竜と戦ったのは佐々だが、
偽装して出入りに参加していた九頭竜の配下たちはなぜか座頭市に牙を向く。これも不可解、九頭竜死んだ後なのに。
思うに佐々は自分が肩代わりすることが出来なかった梅乃の借金を、座頭市が肩代わりしたことで意地を見せたくなってしまったのではないか。
座頭市と用心棒が終始お互いを「化けもの」「けだもの」と呼び合うこだわりのシュツエーションも最後まで生きている。
でもこれだけの超大作だけど、三船が「めXら、めXら、どめXらーっ!」って差別用語連発するシーンがあるから地上波放送は難しいでしょうか。
皆さん名画座でかかったときに走るか、DVDを購入するかしてぜひご鑑賞の程を。
(08.0610)
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