勝新の深みある演技。
「座頭市地獄旅」


1965年 大映

年末年始はMXTVで勝新の座頭市を見てました。ほとんど毎日やってました。前にも見たことがあるはずなんだけど、これが面白かった。
勝新の演技は最高です。「感動した!」
例えば座頭市の斬り合いのとばっちりで旅の親子連れの子供が足を怪我して破傷風になってしまい、
熱が出て寝込んでしまう。祈祷師のいうにはどこどこの薬屋で何とかという薬を買ってきて飲まさなければ治らない。薬は五両する。
座頭市は丁半バクチで五両作って薬屋へいき、木の小箱にはいった薬を手に入れる。
その帰り道、座頭市は先般ひともんちゃくあったやくざの一団の待ち伏せにあい、居合抜きでこれを返り討ちにする。
落ち着いたところで懐に手をやると、薬の小箱がない。
目の見えない座頭市は地を這って小箱を探す。
泥の中、死体が転がっている地面に両手をつけて、手の感触を頼りに必死に探す。座頭市あせる。顔には汗が光る。
見つからない。座頭市座り込む。小箱は右手のすぐ横に落ちているのに。
しかし目の見えない彼にはその、自分の右手のすぐ横にある小箱を見つけることが出来ない。
(このあたり、見ている側に「あ〜、もうちょっとなのに!」と思わせるつくりになっていて非常にもどかしい。)
その後座頭市が立ち上がろうとしてちょっと手を動かすと小箱に手があたり、ようやく小箱を取り戻すことに成功する。
おしいただくように小箱を取る座頭市。

場面変わって、宿屋のシーン。子供まだ寝ているが回復している。
床の脇に座っている座頭市に子供が語りかける。
「おーじちゃん・・・」座頭市が返事する。「な〜んだい」
「おーじちゃん、あ・り・が・と・う」
子供の言葉に胸を打たれた座頭市は部屋を出て、廊下の柱につかまる。涙は見られないが、感情の高ぶりが見て取れる。

ああ、なおってよかった、よかったな、よかったな、ごめんな、ごめんな

座頭市の胸のうちはこのようなものだったか。見ている自分も感動。
こんな感じの泣かせる場面がけっこうあり、もちろん殺陣のシーンも迫力満点。

(2002・0111 イビジェカフェ、映画カフェ)


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