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楠瀬寿賀子(セカンド・アルバム「アンダー・ア・ヴァイオレット・ムーン」のライナーノーツより抜粋)
「ルネッサンス時代の音楽というのは、よりたくさんCDを売ろうとか、
どうやったらラジオやテレビでかけてもらえるかといったところをまったく考えないで、
純粋にいい音楽をつくろうということでうみだされていたわけだよ」
リッチー・ブラックモア(シンコー・ミュージック「炎」1998年1月号、前後略)
「ミュージシャンが干草を積んだ荷台に座って、ごくシンプルな音楽を奏でる吟遊詩人だったあの頃、
レコード会社やラジオ局も存在しなかったあの時代を生きてみたい。そういう時代を僕は夢に描いているんだ」
リッチー・ブラックモア(ファースト・アルバム「シャドウ・オブ・ザ・ムーン」のライナーノーツの冒頭の言葉)
ブラックモアズ・ナイトの曲はアコースティックの多用もあってか懐かしさや牧歌的・田園的な雰囲気を感じる。
バンドのイメージをふくらませてみる・・・。
そう・・・時は中世16世紀、ヨーロッパ。
秋、暖かく柔らかい日差し。
黄金色に輝く畑。
うず高く積まれたわら。
農村では収穫が終われば、収穫祭のお祭りだ。
そうした時期、村に訪れる吟遊詩人の一行。
漆黒の衣装をまとった痩躯のギタリストと、ブロンドの美しい歌姫。
さあ歌いましょう、踊りましょう。
一晩中皆で楽しみましょう・・・。
たいまつの炎の明かりの下で・・・。
紫の月の光の下で・・・。
ブラックモアズ・ナイトはディープ・パープル、レインボーに在籍しハードロック界に多くの影響を与えた偉大なるギタリスト、
リッチー・ブラックモアがキャンディス・ナイトをボーカルに迎え結成したバンド。
ハード・ロックとは一線を引いたむしろ癒し系の曲の数々は夜毎仕事疲れの自分を癒してくれるよう。
勿論余裕のある日なら休日の朝聴いてもゆったりとした午前中が演出できる。
キャンディスのささやきかけるような歌い方はリッチーのギターとも、曲のアレンジとも絶妙の相性のよさ。
ファースト・アルバムより
「シャドウ・オブ・ザ・ムーン」
緊張感と神秘性のあるアコースティックギターのイントロに続く、郷愁味溢れるメロディー。
語りかけるようなキャンディス・ナイトの歌声。
ブラックモアズ・ナイトの世界を、ファースト・アルバムの1曲目のこの曲がナビゲートしているかのように凝縮された出来である。
「グリーンスリーブス」
いうまでもないブリティッシュ・トラディショナル。おいらが小学校の時、下校の時間でかかってました。
キャンディスのスキャットはここでも得も知れぬ温かみを感じられる。
そしてリッチーのエレクトリックもはしばしで冴え渡っている。
自分この曲かなりお気に入りで何度聞いても背中がぞくぞくとともに曲に酔いしれる感じがする。
セカンド・アルバムより
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「風とともに去りぬ」?と思ったらロシア民謡の「ポーレシュカ・ポーレ」。
原曲は小さいころ大好きでした。
ライナーノーツによると正確には20世紀ロシアの作曲家レオ・クニッペル(1898-1974)が書いた
交響曲第4番ヘ短調「コムソモール戦士の詩」の第1楽章第2主題だそう。
後半の男性コーラスの力強さはP.モーリアのヴァージョンとも共通。
イントロはもろヨーロッパの「ファイナル・カウントダウン」だなあ、と思っていたら
Burrn!2004年10月号のインタビューで堂々と『インスパイアされてのもの』と告白していた(やっぱり!)。
「スパニッシュ・ナイツ(アイ・リメンバー・イット・ウェル)」
ライナーノーツによると収録前は「マラゲーニャ」と呼ばれていたらしい(この名詞は歌詞の中にも出てくる)。
アコースティックギターとカスタネットでリッチー的スパニッシュが華々しく展開。
パープルの「チャイルド・イン・タイム」のクライマックスのフレーズも盛り込まれている。
前半抑え気味に歌うキャンディスの、秘めたる情熱が後半パッション。
Burrn!2004年10月号のインタビューによると、スペイン公演では全く盛り上がらなかったそう。
「セルフ・ポートレイト」
リッチー・ブラックモアズ・レインボー1975年「銀嶺の覇者」より「自画像」、
ってタイトルはまんまですが。
オリジナルはレインボー初代ボーカリスト、ロニー・ジェイムス・ディオの焼けつくようなボーカルが強烈なイメージを残す一品。
ライナー・ノーツには「少しだけど、クリームを感じさせる」と。
ブラックモアズナイトのセカンドアルバムに収録されたカヴァー・ヴァージョンは
やはり前半抑え気味に、問いかけるように歌うキャンディスのヴォーカルが後半はじける。
アレンジが違うせいもあるがディオ版とはまったく別の曲であるかのよう。
サード・アルバムより
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97年の日本公演ではこの曲の冒頭部の歌の部分から「シャドウ・オブ・ザ・ムーン」へと引き継がれた。
エレキギターを使ったアップテンポの曲でアルバムのオープニングを司るにふさわしい。
フォース・アルバムより
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ミステリアスで印象的なイントロでスタート、その後ギターとキーボードが重厚な演奏。
マンダレーはミャンマー第2の都市で寺院や城跡などが並ぶ世界有数の美しい場所とか。
そこはジプシーたちの預言者の王国であるとされる。
そこに辿り着くまでの道のりは果てしなく長い・・・
わたしの放浪は永遠に続くのか・・・そう歌われている。
「way to mandalay」の繰り返しが印象的。
遠い理想郷を目指して長い道を追及してゆく、というテーマが心を打つ。
そういう意味もあってか非常に共感を覚えてしまい、時々聴いてしまう。
またこの曲は歌が終わった後のリッチーのギターソロが近年稀にみるいい出来で
フェ―ドアウトしていくのがまるで恋人の手が離れていくかのような未練を残してゆく。
「レインボウ・ブルース」
曲名に「レインボウ」が入っていてはまっているがカヴァー曲。
オリジナルはJETHRO TULLのイアン・アンダーソン、
JETHRO TULLのアルバム「ウォーチャイルド」を購入して聞き比べてみました。
ちなみのこの「ウォーチャイルド」が発表されたのは1974年だからもう30年以上前に発表された曲でした(驚き)。
歌詞はBナイトのアルバムでは発表されていなかったが
「ショウを終えたミュージシャンが『黒髪の背の高い女』と逃避行のスタートを切る」という内容。
したがって中世とはなんの関係もないようです。
曲の後半で「airplane」という単語が聞き取れるのだが、それはライナーノーツによると空港という意味らしい。
で、驚いたのが、実は原曲は「レインボウ・ブルース」ではなくて
・
「レインボウ・ブルーズ」だという事実。
「ウォーチャイルド」では「レインボウ・ブルーズ」と表記されている。
「虹色の憂鬱」なんですね、この曲。
でJETHRO TULL版ですが、Bナイト版のような中盤の劇的なテンポアップがみられず展開が平板な印象。
ここでもBナイト版のアレンジの妙を感じる次第。
(2004.0911‐2005.0130)
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