*この文章は音楽カフェでのベンジーさんへのレスとして書かれました。
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>◆切鮫さん
>結局、「天国への階段」の秘密って、このロイ・ハーパーの存在だって
>いうふうに僕は受け取りましたけど、それでいいんでしょうか?
番組の構成からするとそう受け取っても間違いではないでしょう。
「天国への階段」が日の目を見るまでにはいくつかの要素があります。
・前作「LED ZEPPELINV」がマスコミの評価が高くなかったことに対してジミー・ペイジは何とかばん回したかった
(ちなみに「V」には「ハッツ・オフ・トゥ・ロイ・ハーパー〜ロイ・ハーパーに捧ぐ」という曲が収録されている)。
・ロバート・プラントはケルト人の神秘性をもつ歌詞に傾倒していた。
などなど。
番組の後半はロイ・ハーパーのインタビューが主軸を占めますね。
・ビートルズが歌った「愛こそすべて」というコンセプトについての疑問
・「神」の存在についての疑問
番組の中でアコースティック・ギターの演奏で歌うロイ・ハーパー。
その曲の歌詞は「天国への階段」と共通のものがあるように感じました。
だけどロイ・ハーパーがツェッペリンのことについて問われた時、
「あのことは忘れたことがない」といって語ったこと。
「(ツェッペリンのライブで)一人の女の子が突然立ち上がり、涙を流し出した」
そう語るロイ・ハーパーの表情から、ちょっと悔しそうな気持ちを感じました。
それは楽曲のドラマチックな演出、構成の部分についてだと思うのです。
番組の中では「女の子が突然立ち上がり、涙を流し出した」のがツェッペリンの何時のライブの何という曲での出来事だったのか、
そういう説明はありませんでした。
しかし番組の構成からするとその時の曲が「天国への階段」であることは確実ではないでしょうか。
ロイ・ハーパーが番組の中で、アコースティック・ギターで披露した曲とツェッペリンの「天国への階段」歌詞の内容は類似性を感じました。
しかし「天国への階段」のアコースティック・ギターでの静かなイントロで始まり、
中盤からクライマックスにかけてのエレキギターの叙情的かつドラマチックな構成と比較すると曲全体の完成度はやはり
「天国への階段」に軍配を上げざるを得ません。
それはリフの優秀なクリエイターたるジミー・ペイジと、ロバート・プラントの歌詞の幸福なめぐり合わせの産物だったのでしょう。
ロイ・ハーパーのちょっと悔しそう表情というのは、そういった部分をいいたかったのではないでしょうか。
それから番組では日本のロック評論家が「天国への階段」を語るときに着目する曲の終わり近くの歌詞
「TO BE A ROCK AND NOT ROLL」について言及することはありませんでした。
この言葉の解釈は、番組の中でジミー・ペイジが楽曲に対して語ったようにさまざまな解釈が成り立つと思います。
しかし自分が日本語で表現するに当たって一番気に入っているのは
「(我々は)確固たる存在となり、決して流されることがない」
という解釈です(どこに載っているかは忘れました、多分渋谷陽一氏の文章ではないかと記憶しています)。
この一文にまずツェッペリンという単独グループがマスコミからの批判攻撃などに屈しない、
それからロック・ミュージック全体が全世界に影響力をあたえる存在となるであろうという強力な決意表明が伺われるのです。
番組ではその部分を語っていませんでした。
結論。
ロイ・ハーパーの存在はレッド・ツェッペリンに多大な影響を与えたが
ツェッペリンというバンドの多義性を考えると構成要素のひとつに過ぎないのではないか。
そう思いました。でも自分もロイ・ハーパーという人は存在は知ってましたけれども曲はあまり聴いたことがないので断言はできません。
>ベンジーさん
自分の解釈は以上です。
番組としてはいい出来だったのは間違いありません。
緑の芝にそびえるストーンヘンジの映像、
そのバックにかかる「天国の階段」。
ロイ・ハーパーのインタビューもいい素材でした。
番組を企画、制作、放送してくれた関係者の方々に感謝いたします。 切鮫
(2003・0726 イビジェカフェ 音楽カフェ)*イビジェカフェ内の音楽カフェはすでに閉鎖されました。
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