No.20
3・中国・大連&日本発:ダリアンガールズは芸能かプロレスか?
2004年2月1日、品川プリンスホテルの「クラブe]」でダリアンガールズの公演を観てきた。
わからない人のために説明すると、
「ダリアンガールズ」は日本の大手芸能プロであるホリプロが2002年夏に中国・大連市を中心に
テレビ、ラジオ、新聞などでスポーツ・エンターティナーオーディションとして募集し選ばれた15名の中国人少女の精鋭。
新しいスポーツ・エンターティメントという分野の戦士として1年数ヶ月の歌と踊りとレスリングのトレーニングを受けた。
レスリングのコーチは元全日本女子プロレスの伊藤薫。
そして『大連少女隊』が結成され2003年10月に日本でデビューした。
フジテレビの深夜番組の「ダリアンガールズ」その存在は知っていたが前日の1月31日にはじめて見た。
試合形式だということがわかって、驚いた・・・。
そもそもビューティ・ペアの時代から女子レスラー自身が歌うリング上での歌謡ショーというジャンルは存在していた。
それがまさに格段のスケールで再現されたか、
はたまた旧ジャパン女子の発足時のコンセプトはこのようなものではなかったのだろうか、などと考える次第。
客層はさまざま。親子連れ、若者のグループ、一人で来ている薄暗い色のジャンパーのおじさん・・・。
黒いスーツに真っ赤なネクタイ、長いコートで殺し屋ルックの俺。
開演。
さまざまな色の照明の中、黒い制服のようなカッコで決めたガールズたちが転がりこみながらリングイン、
勢揃いするとダンスを披露。
なかなか決まっている。
そのあと試合が始まる。
試合のコスチュームは色の多様さ、カットの斬新さなどが目に付く。服が上下分かれていておへそ出してる選手も。
靴はダンスもやる関係かいわゆるレスリングシューズではなく全員足首までの短い靴を履いていた。
テレビアナウンサーの場内実況放送つきで、プロレスを知らないお客さんにも楽しめる配慮が。
さすがガールズはオーディション通過の厳選されたメンバー、みんな背が高い!
パンフの公式発表によると一番小さいショウエイ、キョウで163センチ、一番大きいテイテイが172センチだ。
それに日本人より手足が長い。
だからダンスでは一つ一つの動作が決まっている。
そして運動神経のよさ、中国大陸特有?の体の柔軟度!
ラリアートをスウェーバックならぬブリッジでかわす柔らかさ。
第2試合、虹色のコスチュームのショウエイはかつて猪木が見せたことのある鎌固め
(リバース・インディアンデスロックの体勢からブリッジして相手の首を捕らえ、首と足を同時に決める技)を脅威の柔軟度で披露。
藤波辰彌から無我・西村修に継承されたかの感があるジャパニーズ・レッグクラッチホールドも難無くこなす、
そしてその体勢から立ち上がる。
逆に全員柔らかすぎて逆さ押さえ込みを仕掛けても肩関節が決まらないのですぐ脱出してしまう場面も。
柔軟性、身体能力は相当のものだがまだ試合キャリアが浅いせいか技が決まらない状況も発生。
だが落とす技以外ほとんどといっていいほど顔面への攻撃がなかった。
そのせいかドロップキックの打点が低い。
顔を狙わずに胸から下ばかりだからあまりかっこよくない。
彼女たちの身長からするともっと高く飛べるはず。
間が悪かったりもするが。
思うにドロップキックほかの技による顔面攻撃は怪我の問題とか殺伐とした状況を避けるためとか
その他のいろいろな制約から制限されているのかもしれない。
あと、キャリアが浅いせいかまだからだに肉がついていないね。
でもこれは美的感覚、ダンスとの兼ね合いを考えると難しい問題だ。
第3試合終了後、リング上で歌と踊りのコーナー。
一曲目、「狙い撃ち」。
うらら、うらら、うらうらら、うららー、うらら、うらうらら・・・
ブンハクという娘がダンスがうまい。
指先から手首の使い方が綺麗で決まっている。
笑顔もいい、日本人好みの顔をしている。
パンフを見ると「ダンスでは誰にも負けたくはない」とのこと。
そう公言するほどの努力のあとが感じられた。
試合では・・・やや小さいせいか(それでも公称165センチ)攻撃されてました。
でも「ブンちゃーん」って声援も飛んでいたな。
ブレイクするかも。
2曲目は中国の曲、3曲目は3月発売の日本での新曲「ダンシング・スター」。
リングはスプリングが他のリングより利いているような気がする、すごく跳ねた。
場外戦は想定していないのか、はたまたダンスの邪魔か、エプロンサイドにマットは敷かれてなかった。
結論からすると、公演は試合形式で行われているし
場内に決着タイム、決まり手などがアナウンスされているしで選手の未熟度はあるとしても
これはもうプロレスの範疇ではないかと思う。
ただダリアン同士の試合に戦いのテーマが希薄なのは現状最大の問題なのではないか。
それにしてもダンスの華麗さ、レスリングの激しさ、今日は満足。
エンターテイメントとしては今後非常に可能性が高いと見たが。
(2004・0201)
*携帯カメラなのでピンボケすまん、しかも後ろ向きばっかり。
同日の伊藤薫−中西百重戦、その他試合結果はこちら
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