No.355 IGF 「GENOME6 闘魂BOM‐BA‐YE」これが猪木のやりたいプロレスなのか。


↑第8試合のバーネットvsアボット。

IGF「GENOME6 闘魂BOM‐BA‐YE」
2008年8月15日 東京・両国国技館
同行者=千里眼

会場は向上面全部潰して舞台、入場ゲートに。
パンフレットは無料配布。ただし対戦カードはどこにも記載ナシ。
選手の身長は2メートル未満は「193センチ」などと全部aでアナウンス、
2メートル以上になると「2メートル15センチ」とbaを混ぜてコール。
ルールは3カウントあり、10カウントノックアウトあり、しかし場外カウントはない模様(笑)。
レフェリーは和田良覚と平直行

オープニングは「馬鹿になれ」の歌から松をバックに狂言の舞台、



それから花火爆発のあと
猪木が函館ロケの出演映画のメイクと衣装で子役連れて登場してひとしきりコメント。
映画の宣伝はわかるけど、はっきり言って余計。
その後立会人の藤原喜明、チャイナ(ジョーニー・ローラー)、スタン・ハンセンが紹介される。

【第8試合】
バーネットvsアボット。
試合は「セミファイナル」とか「メインエベント」などコールせず
最後のこの試合も「第8試合」。
アボットはその昔横浜アリーナのUFCジャパンで安生戦見たが、
相変らず腹が出ていて少し足も引きずっている。そうコンディションがいいわけではなさそう。
総合格闘技みたいな間合いからアボットがパンチ、
ジョシュグランドに持ち込んでヒールホールド。
スタンドの展開でアボットの当たったんだかわからないパンチでジョシュ大の字。
カウントが進むがジョシュ立ち上がってスープレックスから足関節。
たまらずアボットギブアップ。
見た目総合だかプロレスだかわからない中途半端な試合でした。

【第1試合】
久々に「AOコーナー」で大塚登場。
最初はハマーに持ち上げられたが下からの三角絞めで反撃。
ジャーマンなどを見せたが怪力ハマーに苦戦。
最後は肩を決められながらのフロントスープレックス風の投げ(ハマースパイク)にカウントアウトのKO負け。

【第2試合】
若翔洋は試合前のスクリーンの選手紹介の画面でのアップ見ても顔に気迫がなく、
どう見てもプロレス・格闘技向けではないな。
肉もぶよぶよに見えるし。
入場では化粧回しを付けてリングインというスーパー勘違い。両国だからなおの事。
試合はブチかましと突っ張りオンリーでとてもプロレスの動きではない。
中途半端な選手は客の前に出さない方がいいのでは?

【第3試合】



タカ・クノウは柔術家。道着を着用して試合。なぜか「G線上のアリア」で入場。
アンダーセン怪力でタカを持ち上げて叩きつける。上からパンチ。
タカ、足を取ってヒールホールド。
脱出したアンダーセン、コーナーに詰めてパンチ、中央に叩きつける。
タカ、ビクトル投げから足関節、しかしロープブレイク。タカ、ドロップキックなども見せる。
アンダーセン、タックルから上になってパンチ(軽い)。
スタンドでタカ、ぶら下がり一本背負いを狙うがバックから首を取られてヘッドロック。
これでタップ。
場内の決まり手は「ニルヴァーナ」と発表。
サンスクリット語で「涅槃(ねはん)」という意味です。
タカは純然たるレスリング選手ではないが技など他の選手にないいい味出してた。

【第4試合】
イグアスは身長2メートル15センチと発表される。確かにすごくでかい。両者ともOFグローブ着用。
トムコ蹴りで牽制するがイグアスがちょんと前蹴り出すだけでボディに決まってトムコダウン。
トムコローキックで反撃するがイグアスの1発のローで再びダウン。
トムコタックル、グランドになってイグアス上になって殴る(軽い)。
トムコ下から足を取って極めるとイグアスたまらずギブアップ。
これも長身のキックボクサー対プロレスラーの異種格闘技戦みたいな試合。
何か唐突に決まる大味な試合が続くなあ。

【第5試合】
暑い日にはこれ、ザ・プレデター!
ベートーベンの運命が鳴って、次いで全日で使用された「移民の歌」インストゥルメンタルのカバー・バージョン。
鎖を振り回してプレデターの登場。例によって客席を破壊しまくる大サービス!
しっかしハンセンが見てる前でブロディのマネをやるってのはどうなんでしょ。
ボビー・ラシュリーは元WWEの黒人選手。
・・・らしいけどおいらが見てた頃には出てなかったのか?知らない選手。
試合はプレデターが圧倒。



場外戦でプレデターがラシュリーの左腕を攻撃。
リングに戻ってプレデターがコーナー上から腕にニードロップ。
さらにラシュリーの痛めた左側の肩をスタンディングで決める。
こういう説得力のある攻めが出来るところにプレデターの本格性を感じる。
ラシュリー脱出してブレンバスター、カウント2。
プレデターがアルゼンチンバックブリーカー。
ラシュリー、パンチで脱出するとロープに飛んでスピアー。
これ一発で決まってカウント3、あっけなくラシュリーの勝利。
でも実力的にはプレデターの方が全然上じゃない?
試合運びもプレデターがリードしていたように見えた。

第5試合終了後に猪木が出て来てスピーチ。

「元気ですかー!元気があれば何でも出来る、IGFも見に来れる・・・。
今日は奇しくも終戦記念日、俺も長い間の戦いで体がボロボロになってます。
どこかで直さないといけないということで今日は猪木の修繕記念日、
トンカチ、ノコギリ、七つ道具が揃ってます。
何かケーキがあるけど・・・これは麩(ふ)か?麩ケーキ(不景気)?
くだらねえこと考えるやつがいるなあ」

と言ってハンマーで麩ケーキを破壊してバカヤロー123ダー。
・・・おいら途中でつまんなくなって天井見上げてしまいました。
まだいつぞやの年末の紅白仮面の方が面白かった。
試合が面白くて場内が熱くなれば不景気打破のパフォーマンスも生きるけど
試合が盛り上がらないのに下手なパフォーマンスじゃ場内が真夏なのに冷え込むばかり。
はっきり言って猪木がでしゃばって出て来てつまらないコントまがいのパフォーマンスやる暇があったら
もっともっといい試合を見せて欲しいと思った。

【第6試合】
何と早くも小川登場!
メイン出場じゃないの?



と、入場時花道で誰かが後ろから小川を襲撃・・・
安田でした。
大事に至らず、小川、前回負けているシウバと睨み合い。
シウバは2メートル25センチ、と紹介される。
確かに大きいが・・・細身で肉が全然ついていなく受身とか取れそうになくてヤバそう。
小川投げから背中にキック。小川ロー連発。
小川さらに足4の字固め、シウバ脚力で裏返す。
ロープブレイク後小川チョップ、シウバも打ち返してキックからパンチ。
シウバヘッドロック、小川ためにためてバックドロップ。
さらに自らロープに飛んでのSTO。しかし2回目ははね返されてキックされ、
コーナーに振られてキックを食う。
シウバ、ボディスラム、エルボードロップからコーナー最上段に登ってセントーン、
小川これをかわしてシウバ自爆。
小川キックから腕ひしぎ逆十字、これで決着。

試合終了後イグアスらが乱入して乱戦、シウバは小川に馬乗りになって攻撃。
トムコが入ってきて団子状態の連中をちぎっては投げ。
小川は乱闘のダメージか失神して担架で運ばれる。
プロレスは不器用な小川がさらにプロレス初心者みたいなでかいシウバを相手に中途半端な試合。
やられっぱなしの小川から殺気は見られず、
どうせならデカい相手でもいきなりぶん殴って関節決めて秒殺しちゃった方がインパクトあったのでは。

【第7試合・3WAY戦】
この試合が初めてこの日の対戦カード発表の試合だったんだけど、
もうその時点でがっかり。
以前も全日本とかWWEなどで3WAY戦見たことがあるんだけど
鬼ごっこみたいな印象しかない。
間違っても選手の実力が垣間見えるシュツエーションではない。
それでも試合巧者のヴァン・ダムとカシンの出場でそれなりには楽しめましたが・・・。
ネクロ・ブッチャーはカシンのベルト攻撃?で流血してましたが、
見た目はヒゲ生やしてシャツ着てるタダのはだしのおっさん。
カシンがジャックナイフ式エビ固めでネクロをフォール、しかも自分の足はロープに掛かってる反則フォール(笑)。
この辺りはやるなあ、カシンと思う。
ヴァン・ダム、カシンにパワーボムからムーンソルト、カウント2。
ヴァン・ダムもう一度コーナー上からの攻撃を狙うが
カシンが飛び付き逆十字。
その時背広姿の男性が乱入。
誰かと思えばサイモン(笑)。
ヴァン・ダムがカシンの逆十字でタップしてるのにレフェリーはサイモンに気を取られて気づかず(笑)。
ヴァン・ダムがサイモンの上にカシンを乗せてコーナー上からボディアタックを敢行しましたが
カシンがよけちゃったもんだからヴァン・ダムがサイモンを直撃ー!(大笑)



カシン、タランチェラ風の攻撃なども出しましたが
最後はヴァン・ダムがコーナー上からのボディアタック(ローリングサンダー)で3カウントを奪って勝利。
で負けたカシンはヴァン・ダムに何だかわからないベルトを進呈、マットに置いて退場。
でもヴァン・ダムはそのベルトをしばらく凝視した後ポイッとばかりに放り投げて帰っちゃった!

最後の試合が終了後猪木、出場選手、立会人のハンセン、藤原、チャイナらがリングに上がって
猪木の123ダーで締め。
参加選手がノーサイドでおしまいにリングで集合するっていうのはK-1とか総合を意識しているように思えるが
遺恨勝負が売りのプロレスで果たしてそんなことやる必要があるのか。もっとも小川、カシンの姿は見えなかったが。

プロレスらしい試合はプレデター対ラシュリーとヴァン・ダム、カシン、ネクロの3WAY戦ぐらい(両方とも元WWEが出た試合だ)。
トムコ対イグアスは下手な異種格闘技戦、メインのジョシュ対アボットは総合の試合をプロレスでやったように見えた
(いっそのことリアルでやった方がよかったのでは?)。
澤田対若翔洋は前座以下、プロレスになってない。
小川も相手がレスラーじゃないのにプロレスを強いられて見映えなし。
大塚はレスリング的な動きで善戦したけどマッチョマン相手に敗北。
タカ・クノウはレスラーではないが面白い動きを時々出してなかなか。

さて全体の感想だが・・・正直言ってものすごく期待はずれだった。

猪木はただ身長ばかり2b越えのでかい奴、あるいは筋肉モリモリ男、総合OB、元WWEと集めて何がしたいのか。
彼が現役時代名勝負と絶賛されたD.F.ジュニア戦、B.ロビンソン戦のような本格的なレスリングの勝負をする団体にしようとは思わないのか。
彼が本当にあの名勝負をした猪木なら、そういうスタイルで団体を推し進めるべきだと思う。
それが集客力で弱いと考えているのなら、
’70年代のブッチャー、シン、シークのような客を呼べる強烈な悪役の育成を望む。
反則、凶器、流血オーケー。筋肉モリモリである必要はあまりない
(但しある程度大きくないとインパクトないだろう、その点でただのおっさんに見えるネクロは失格)。
私生活、前歴を公表せず神秘のオーラに包まれて血を求め観客の憎悪を一心に集められるような強烈な悪役の存在。
前記した3人の共通項を考えるといい。あるいはそこにブルーザーやエリックのエキスをちょいと注入。
エースのバーネットが凶器攻撃で血の海に沈んだらインパクトあるだろう。
T.J.シンだっていろいろな文献を読むとそもそもカナダで正統派だったシンを
サーベルやら伊勢丹前襲撃事件やら付け足して悪役にプロデュースしたのは猪木と新日本だったようだから、
ということでゲノムも血の凍るような悪役を育成したりして、
もう一度おいらに足を運ばせるようなプログラムを練ってもらいたいもんだ。

(2008.0820)

IGF 「GENOME6 闘魂BOM‐BA‐YE」
2008年8月15日 東京・両国国技館
観衆7288人(満員=主催者発表)

*全試合時間無制限1本勝負。

1.○エリック・ハマー(KO、7:03)アレクサンダー大塚●
*ハマースパイク(肩を極めての反り投げ)で10カウント。

2.○澤田敦士(片エビ固め、4:42)若翔洋●
*DDT。

3.○ジョン・アンダーセン(ニルヴァーナ<=ヘッドロック>、4:44)タカ・クノウ●

4.○トムコ(膝十字固め、2:01)ダニー・イグアス●

5.○ボビー・ラシュリー(片エビ固め、10:54)ザ・プレデター●
*スピアー。

6.○小川直也(腕ひしぎ逆十字固め、9:16)モンターニャ・シウバ●

7.3WAYマッチ ロブ・ヴァン・ダムvsケンドー・カシンvsネクロ・ブッチャー
1.○カシン(ジャックナイフ式エビ固め、12:14)ネクロ●
2.○ヴァン・ダム(片エビ固め、15:13)カシン●
*ローリングサンダー。最後に勝ち残ったヴァン・ダムが勝利、試合はランニングタイム。

8.○ジョシュ・バーネット(足首固め、4:55)タンク・アボット●

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