No.126
綱引き4対4 新日本プロレス 「闘魂シリーズ第24戦(最終戦)」

新日本プロレス
「闘魂シリーズ第24戦(最終戦)」東京・蔵前国技館
1983(昭和58年)11月3日 
同行者=同級生二人



当日の状況について克明に記録されたノートが発見された。
以下それに基づいて書いてゆく。

●綱引きによるカード決定
リングアナが無人のリングに上がると若手選手が何人かで巨大なロープの塊を運んできた。
正規軍対維新軍の対抗戦のための抽選が行われるのだ。
テレビアナウンサーの古館氏がリングに上がり両軍団の入場を促す。
その間にも若手選手によりリング上の抽選用の装置は着々と組み立てられてゆく。
リング状でより合わされたロープの4本×2=8つの先端はリングの左右に立つ両軍団の選手の前にたらされて、
さらにより合わされたロープの上にはシートをかけて絡まっている状態さえも見えなくなっている。
その上に選手たちの前には布製の「壁」が置かれ対岸の選手がどこに立っていてどのロープを引くかさえ、
相手選手間ではわからないようになっていた。
場内にテーマ曲がかかると維新軍・谷津、浜口、キラー・カーン、そして長州。
続いて反対側からは正規軍・前田、藤波、坂口、アントニオ猪木の順に入場。
「両軍団、8選手がリング下に集結しました!」
山本小鉄が綱引き開始のホイッスルを吹いた。
だが8選手誰も動かない。
2度目のホイッスル。
まだ引かない。
先に綱を引き始めたのは維新軍だった。正規軍の面々も小鉄に促されてようやく引き始める。
徐々に壁が取り払われ、続いてシートも撤去された。若手選手がリング上の絡み合ったロープをほどき始める。
「さあ、谷津選手は誰と当たるか・・・」
古館アナの場内アナウンスが観客をあおる。
「谷津選手と・・・猪木選手です!」
ワーッと歓声が響いた。
このシリーズ凱旋帰国した谷津は開幕戦メインに乱入して維新軍入りを声明。
それ以来猪木は谷津に対して怒りをあらわにしており、ここでついに決着戦となったわけだ。
抽選はまだまだ進む。
「長州選手と前田選手・・・長州と前田!」
これも好カードだ。
「坂口と浜口、藤波選手はキラー・カーン選手とです!」
全てのカードが決まり両サイドで互いに相手選手を挑発する姿も。
大歓声の中退場する選手を眺めながら、同行の友人はカード的には維新軍が有利だろうと言っていた。

●綱引き4対4
坂口-アニマル浜口戦は坂口のパワー殺法が久々に爆発したが場外戦で浜口をフェンスの外に投げてしまい
(というかフェンスに振られた浜口が勝手に外に飛び出してしまった)痛恨の反則負け。
長州-前田戦は完全に決まった長州のサソリ固めに前田がギブアップせず頑張りぬいたがレフェリーストップ。
藤波-カーンは両者リングアウト。
猪木-谷津の注目の一戦は猪木のナックルパンチ、延髄斬りで谷津まったくいいところなくフォール負け。
この結果維新軍が2勝1敗1引き分けで勝利した。
謎なのが前田に完璧なサソリ固めを決めて勝ち誇ってもいいはずの長州が
サソリをかけたまま「撮るなよ、写真撮るなよ、お前らいいか!」とリングサイドのカメラマン達に絶叫していたこと。

前田の頑張りに対する敬愛の心、かどうかはよくわからない。

(1983年のノートを元に再構成)
追記:若き高田・山崎のタッグマッチも彼らが善戦して盛り上がった。
それから後に知ったことだが千里眼も会場に来ていたそうだ。
ということでこの時が初ニアミス。
(2004・0321)
 
新日本プロレス「闘魂シリーズ第24戦(最終戦)」東京・蔵前国技館
1983(昭和58年)11月3日
観衆1万3千人(超満員)

1.15分1本勝負
○荒川真(原爆固め、10:33)新倉史祐●

2.20分1本勝負
○G.浜田(メキシコ式回転エビ固め、10:31)クロネコ●

3.30分1本勝負
○寺西、小林邦(体固め、12:00)高田、山崎●

4. 30分1本勝負
○P.オーンドーフ(体固め、2:59)栗栖正伸●

5. 30分1本勝負
○B.J.スタッド、S.ライト(体固め、8:31)木戸、剛●

6. NWA世界ジュニアヘビー級王座決定戦(60分1本勝負)
○ザ・コブラ(体固め、20:03)D.スミス●
*コブラが新王者。

7.正規軍対維新軍対抗戦綱引き4対4・60分1本勝負
○A.浜口(反則、8:11)坂口●
*場外フェンスアウト。

8.同
○長州(RSC、12:57)前田●
*サソリ固め。

9.同
▲K.カーン(両者リングアウト、14:14)藤波▲

10.同
○A.猪木(体固め、9:48)谷津●
*この結果2勝1敗1分けで維新軍の勝利。

ザ・コブラ対D.スミスについては別枠を設けました→こちら

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