No.260
マイク・タイソン東京ドームで圧勝、超豪華なメンバーの観客席にも圧倒
1988(昭和63)年3月21日 東京ドーム
日本テレビ「WBA、WBC世界ヘビー級タイトルマッチ」
同行者=千里眼(他に1名いたかも?)
↑当日購入したパンフレットの表紙
G.フォアマン対ジョー・キング・ローマン以来の世界ヘビー級選手権日本開催(註1)。
格闘技系では東京ドームこけら落としの興行という点でも注目された。
全世界衛星中継に合わせてか、会場がAM9:30、メインの世界ヘビー級戦の開始が12:30という異例の興行。
観衆5万1000人は日本のボクシング興行史上最高。
東京ドームのフィールドに入ってみればあちこちで有名人を目撃。
動く黒山の人だかりの中心は、生き神モハメッド・アリ。
興奮度が一気に上昇。
挑戦者タッブスは一時減量に成功したとの報道があったが、リングに上がった姿は明らかに太め残り。
王者タイソンが入場、控室で充分なウオーミング・アップを行なってきたせいか玉の汗。
ガウンなど何もつけず臨戦態勢での入場、まるで汗が俺のガウンだと言わんばかり。
リングに上がったタイソンがシャドーボクシングでパンチを出すと、そのスピードに場内が早くもどよめく。
試合開始、タッブスがジャブ。
インに入ったタイソンはもみ合いの中からボディブロー。
2R、タイソンがタッブスのボディーに集中攻撃。
2分過ぎのボディアッパーが強烈、ブレイク後タッブスは足をもつれさせてふらふらする。
そこにリング中央で待ち構えたタイソンの左フックが炸裂、
強打にバランスを失ったタッブスはニュートラル・コーナーで倒れこむ。
タイソンそこに飛び込んでいってとどめとばかりに強烈な左フックを突き上げるがこれは空振り。
タッブスがリングに崩れ落ちるのとほぼ同時に、タッブス側のトレーナーがリングに入り込んで試合ストップ、ノーカウントでタイソンのKO勝ち。
ビジョンに映ったタッブスの右目尻はタイソンのパンチで切り裂かれ、真一文字に血が流れていた。
僅か354秒のKO勝利、タイソンはこれで34連勝30KO。
著名人の観戦感想は一様に「凄かった、驚いた」「短かった」などだったが
元WBC世界ライト級王者ガッツ石松のコメントが秀逸なので紹介する。
「いつもよりパンチを食っていたようだが、タイソンは完璧。
宇宙から誰か連れて来ないと王座は動かないんじゃないか」
アメリカのコミックで、スーパーマンとモハメッド・アリがボクシングで対決するストーリー(註2)を読んだことがあるが、
石松はそのコミックを知っていたのか。
それともプレデターでも呼ぼうとしていたのか。
ともかくこの日の東京ドームのリング上でのマイク・タイソンは、まぎれもなく世界最強のプロボクサーだった。
(2006.0211)
註1:念のため、モハメッド・アリの来日戦はノンタイトル戦。
註2:クリプトナイトの影響でスーパーマンとしてのパワーが出せず、ほぼ普通の人間の能力でアリと対戦。
参考:ボクシングマガジン1988年5月号(ガッツ石松のコメントも同誌)
日刊スポーツ昭和63年3月22日付け
1988(昭和63)年3月21日 東京ドーム
日本テレビ「WBA、WBC世界ヘビー級タイトルマッチ」
観衆5万1000人
1.10回戦
○マーク堀越(判定3-0)フラッシュ・エマヌエル●
2.10回戦
○カーロス・エリオット(TKO、5R2:50)レトナ・アンガラ●
3.日本ウェルター級タイトルマッチ10回戦
○吉野弘幸(KO、4R1:27)坂本孝雄●
*吉野が王座獲得。
4.WBA、WBC世界ヘビー級タイトルマッチ12回戦
○マイク・タイソン(KO、2R2:54)トニー・タッブス●
*タイソンが3度目の王座防衛。
なお当初セミで元世界王者の浜田剛史の試合が行なわれる予定だったが浜田選手引退のため行なわれなかった。
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