No.197
「U‐COSMOS」UWF東京ドーム 6大格闘技戦


1989(平成元)年11月29日 東京ドーム
UWF
「U‐COSMOS」
同行者=千里眼(他にいたかもしれない)

のちにSWSを創設するメガネスーパーがスポンサーになっての東京ドーム大会。
この大会の直前の11月25日、後楽園Hで全日本キックを観戦してたら、
東京ドームの異種格闘技戦に出場する外国人選手が登場してリング上で紹介された。
ムエタイの巨象、チャンプアがミドルキックでバックを蹴るデモンストレーションを披露、
物凄い音を場内に響かせた。

そのチャンプアは安生と対戦。安生の前進に合わせてパンチを打つチャンプアだったが、
安生の足取りがだんだん決まり始めると、ロープに逃げる展開が多くなり
両者決定打を欠いて引き分け。

鈴木は当時世界最強のキックボクサーといわれていたモーリス・スミスの、
打撃の集中放火を浴びて4ラウンドノックアウト負け。
タックルはディフェンスされ、殆ど有効打のないまま敗れた鈴木。
逆にスミスは余裕を持ったままの勝利で、
試合後はリング上でバック転を披露するサービス。


藤原の相手は、過去2度対戦が流れたオランダのキックボクサー「クレン・“ザ・マシーン”ベルグ」だったが故障で引退。
代打で登場したキックボクサー、ディック・レオン・フライは髪に「目白ジム」と読める染め分けをほどこしての登場。
「ワルキューレの騎行」で入場した藤原は、赤いムエタイのトランクスに裸足!
意地でもレガースをつけない態度に感服!
試合は雑な打撃で攻めるフライの攻撃をいなしていた藤原が2R、スタンド式のアキレス腱固めを決めて快勝。
寝技ではない関節技で、広いドームでもよく見えるようなフィニッシュを選択した藤原の皮膚感覚はさすが。
でも後述するルールに当てはめれば、「お互い常時ファイトしているスタイルによって戦う」と明記されているので
通常戦っている時のレスリングのコスチュームで出てこなかった藤原は厳密に言うと失格ですね(笑)。

山崎対ドールマンはジャケットマッチ列伝9を参照のこと。

セミファイナル、グレコローマンレスリングのソウルオリンピック代表のカズラスキーに対して、
高田序盤からハイキックでダウンを奪う。
カズラスキーは投げで対抗するも、立っては蹴り、グラウンドでは関節技で攻め込まれなす術なし。
最後は高田の逆十字でギブアップ。
メイン、巨漢の柔道家ウィルヘルムは腕十字狙い、前田はローキック連発で徐々に攻勢。
2R、カニバサミから膝十字に移行して前田のギブアップ勝ち、やや大味の内容だがそれほど不満の声は聞かれなかった。
なお船木は当時骨折の怪我が癒えずこの大会は欠場した。

日本各地で観客動員満員を続けてきた新UWFが遂に東京ドームに進出した大会。
だが器も大きいドームとなると集客のため話題性の大きい大物格闘家を招聘しての異種格闘技戦というスタイルをとらざるを得ず、
本来のプロフェッショナルレスリングの試合が前座になってしまうのはやはり理想と現実のギャップがあったといえるのではないか。
一方的に決まってしまう試合が多かったという印象はあるが、この大会でUWFがブームの頂点を極めたことは間違いないだろう。

(2005.0424)

1989(平成元)年11月29日 東京ドーム
UWF
「U‐COSMOS」
観衆6万人(超満員)

1.プロフェッショナル・レスリング30分1本勝負
○中野龍雄(裸締め、7:09)宮戸成夫●

2.異種格闘技戦(3分5R)
△安生洋二(判定引き分け)チャンプア・ゲッソンリット△

3.異種格闘技戦(3分7R)
○モーリス・スミス(KO、4R1:29)鈴木みのる●

4.異種格闘技戦(3分7R)
○藤原喜明(アキレス腱固め、2R0:37)ディック・レオン・フライ●

5.異種格闘技戦サンボジャケットマッチ(5分7R)
○クリス・ドールマン(腕ひしぎ逆十字固め、3R0:48)山崎一夫●

6.異種格闘技戦45分1本勝負
○高田延彦(腕ひしぎ逆十字固め、10:55)デニス・カズラスキー●

7.異種格闘技戦(5分7R)
○前田日明(膝十字固め、2R1:28)ウイリー・ウィルヘルム●



異種格闘技戦ルール
1.試合形式
2.選手のファイトスタイル
3.勝敗の決定
4.その他

★前田vsW.ウィルヘルム
1.1ラウンド5分、休憩1分の7R制。
2.前田はレスリング用のタイツ、シューズ、プロテクターを、
ウィルヘルムは柔道着をそれぞれ着用する。
3.10カウントのKO、ギブアップ、TKO(レフェリーストップ、ドクターストップ、セコンドによるタオル投入)
のほか、30秒間の押さえ込みによって決まる。

★高田vsD.カズラスキー
1.45分1本勝負。
2.お互い常時ファイトしているスタイルによって戦う。
3.10カウントのKO、ギブアップ、TKOのほか、UWFルールによる3カウントのフォールによって決定する。

★山崎vsC.ドールマン
1.1ラウンド5分、休憩1分の7R制。
2.両選手ともサンボ着を着て試合を行う。
3.10カウントのKO、ギブアップ、TKOによって決定する。

★藤原vsD.L.フライ、鈴木vsM.スミス
1.1ラウンド3分、休憩1分の7R制。
2.お互い常時ファイトしているスタイルによって戦う。
フライ、スミス両選手は10オンスのグラブを着用する。
3.10カウントのKO、ギブアップ、TKO。
4.ダウン制:フリーノックダウン制。
禁止技:サミング、急所攻撃。
ロープブレイク:グラウンドの状態において、手首、足首以外がロープより外に出た場合において認められる。
寝技制限:グラウンドはフリー。
ヒジ、ヒザ、頭突き:すべてOK。

★安生vsチャンプア
1.1ラウンド3分、休憩1分の5R制。
2.お互いスネ当ては着用しない。なおチャンプアは8オンスのグラブを着用し、安生は素手で戦う。
3.10カウントのKO、ギブアップ、TKO。
4.ダウンルール:フリーノックダウン制。
禁止技:サミング、急所攻撃。
ロープブレイク:グラウンドの状態において、手首、足首以外がロープより外に出た場合において認められる。
寝技制限:グラウンドはフリー。
ヒジ、ヒザ、頭突き:すべてOK。

週刊プロレス352号緊急増刊より。

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