No.213
船木誠勝の美しすぎるスタンド勝負 プロフェッショナルレスリング藤原組「STACK OF ARMS 」


1992(平成4)年10月4日 東京ドーム
プロフェッショナルレスリング藤原組「STACK OF ARMS 」
同行者=千里眼

SWSが押さえていた東京ドームだったが崩壊したため提携していた藤原組にお鉢が回ってきた、ということらしい。
しかしながらメンバーは旧ソ連勢、アマレスの五輪出場選手、ムエタイ、アメリカ勢の打撃系と多彩。
第2試合のジョー・ソルコフ(G.マレンコの息子)のフィニッシュは強烈。
股裂き、レッグロック、フェースロック、と背骨への圧迫を同時に仕掛ける複合技。
第3試合の佐野はSWS崩壊後初の試合、フリーの身分での登場、入場曲はSWS時代のオリジナル曲、シューズには縦に「SWS」のロゴが。
試合はジェリー・フリンに圧勝。
第5試合は「U-COSMOS」高田戦以来の東京ドーム、
プロ試合登場のデュアン・カズラスキーだったが旧ソ連戦士のナニエフ・オレッグのレッグロックにギブアップ。サブミッションへの対応が感じられなかった。
組長・藤原はアームレスリングのヨーロッパ王者の2M超・ザオールに足を決めて完勝。

異種格闘技戦・高橋の相手のスパマン(スーパーマンの意か)はムエタイの強豪。デル・クックとも引き分けたという。
試合は一瞬の隙をついた高橋のタックルが決まりグランドへ。
そのまま相手をヘッドロックに決めた高橋が腕固めに移行してギブアップ勝ち。

シャムロック対ニールセンは異色の対決か。藤原組長はニールセンに格闘技戦で2連敗しており本来なら第3ラウンドがあるものと考えていたが。
試合は開始と同時にシャムロックが両手を前に出して制空権を取る構え。似たような構えでも北尾のそれとは迫力が違った。
タックルでニールセンを倒したシャムロックがバックを制しフェースロックへ。ニールセンはロープにエスケープ。
再開後、ニールセンの左ローキックに合わせるようにシャムロックが再び胴タックルを敢行。
仰向けにニールセンを倒したシャムロックが上から覆いかぶさり左腕にアームロックを決める。
これでニールセンがギブアップ、シャムロックが秒殺勝利、見事組長の仇討ちに成功。

鈴木みのるは1988年ソウル五輪フリースタイル130.0kg金メダル、
1992年バルセロナ五輪フリースタイル130.0kgクラス銅メダルのゴベリシビリ・ダヴィッドを裸締めで仕留めて5分余で勝利。
身長がかなり違うのに、アマチュアキャリアが雲泥の差なのに、なぜ鈴木が勝つんだ、と頭にきたものです。若かった筆者切鮫は。

メインはモーリス・スミスと船木の一騎打ち。
グローブをはめたスミスに対して船木は素手で掌底攻撃、何と打撃で勝負。
しかし試合巧者スミスを捕らえることは出来ず時間は刻々と経過してゆく。
4R、スミスのパンチで船木がカウント7のダウンを喫する、しかし船木起き上がり続行。
最終ラウンドは決定打が出ずに時間切れ。場内には「決着がつかなかったため、この試合はノーコンテストになります」とのアナウンスが。
「ノーコンテスト」という単語のニュアンスにプロレス独特の反則乱戦、血みどろ決着つかずを連想してしまい後味悪いフィナーレ。
「時間切れ、判定なしのルールなので引き分け」これではいけなかったのだろうか。
船木はよく戦った、当時世界最強のキックボクサーだったモーリス・スミスを相手にほぼスタンドの打撃勝負(註1)で5ラウンド戦い抜いたのだから。

(2005.06??、追記20050729)

註1:実際にはタックルなども敢行した。

1992(平成4)年10月4日 東京ドーム
プロフェッショナルレスリング藤原組
「STACK OF ARMS 」
観衆4万800人

1.30分1本勝負
△石川雄規(時間切れ引き分け)柳澤龍志△

2.30分1本勝負
○ジョー・ソルコフ(リバース・ヴァイパー・ホールド、8:02)ガルタバ・ゲオルギ●

3.30分1本勝負
○佐野直喜(羽根折り腕固め、11:18)ジェリー・フリン●

4.30分1本勝負
○バート・べイル(KO、10:26)メドベジ・アレクセイ●

5.30分1本勝負
○ナニエフ・オレッグ(足首固め、8:59)デュアン・カズラスキー●

6.30分1本勝負
○藤原喜明(アキレス腱固め、6:10)ツタハゼ・ザオール●

7.異種格闘技戦3分5ラウンド
○高橋和生(腕ひしぎ首固め、1R2:37)スパマン・オー・ソットサバー●

8.異種格闘技戦3分5ラウンド
○ウェイン・シャムロック(腕固め、1R0:45)ドン・中矢・ニールセン●

9.30分1本勝負
○鈴木みのる(裸締め、5:17)ゴベリシビリ・ダヴィッド●

10.異種格闘技戦3分5ラウンド
△船木誠勝(5R時間切れ"ノーコンテスト")モーリス・スミス△

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