No.217
猪木対ベイダー、すっ飛んだ面白さ 新日本プロレス「’96WRESTLING WORLD IN 闘強導夢」


新日本プロレス「’96WRESTLING WORLD IN 闘強導夢」
1996(平成8)年1月4日 東京ドーム
同行者=馬券師(仮)

現・元を含むUインター勢の出場が多く前年の「10・9」の続編的な内容の興行だったが、
異彩を放った試合が猪木対ビッグバン・ベイダー戦。
両者の対戦は初対決がベイダー日本デビュー戦、
暴動の両国「イヤー・エンド・イン国技館」昭和62年12月(猪木フォール負け)。
ここまでで最期の対戦は昭和63年7月有明コロシアム(猪木大巨人殺しの腕固めでギブアップ勝ち)、以来約8年ぶりの対戦。
ベイダーは新日本のレギュラーから1993(平成5)年Uインター初登場。無論新日本とUインターの間で契約問題が発生。
以来1995(平成7)年までUインターのマットに出場しており、その間は新日本で名乗った「ビッグバン・ベイダー」が使用できず「スーパー・ベイダー」と名乗っていた。
そういう過去のいきさつから考えるとこの日の新日本登場は意外な出来事である、おそらくはワンマッチ契約であろうが。
ベイダーは新日本登場時の入場曲、レインボーの「アイズ・オブ・ワールド」で入場。感慨深い。
開始早々ベイダーの強烈な張り手が猪木に炸裂。
早くも猪木が花道でのパワーボムで失神(?)。
そこにベイダーが「イノキサーン、ガンバッテー!イノキサーン、ガンバッテー!」と連呼しながら気つけ?の張り手連打。
しかし蘇生後も猪木の苦戦は続く、本部席の机の上に猪木を叩きつけるベイダー。
何時しか両者流血、血まみれになりながらグランドのベイダーにパンチを振り下ろす猪木。
狂気じみた色を浮かべるものすごい目のひんむき方。
ベイダー猛攻、ラリアート、投げっ放しジャーマン、大きく持ち上げてのチョークスラム。
そして!グロッギーの猪木に向けて、ベイダーがコーナー最上段に上がった!
空から恐怖の大王降臨のムーンソルト!
これを食ったら猪木はおしまい、当然かわすと思ってみていたら、
まともに食らったー!信じられーん!(註1)
フォールするベイダー、しかし猪木カウント2で返す!信じられーん!
ベイダーが猪木を引きずり起こしてコーナーに振った、突進するベイダー、肉弾アタック!
しかしこれを猪木がかわして、反動をつけて持ち上げボディスラム、そこから一気に腕ひしぎ逆十字!
これでベイダーギブアップ、猪木が死の淵から生還の大逆転勝利。
かつてのシン、ハンセンらとの対戦とも遜色のない壮絶な一戦を、53歳の猪木が制した。
怪物ベイダーの猛爆肉弾攻撃を全て受けきった意地、根性、精神力。
引退間際の燃える闘魂が魅せた強烈なるパフォーマンスだった。

この試合の後に長州力が登場、前年「10・9」で佐々木健介から金星を奪った垣原に圧勝。
彼の有名なセリフを使わさせていただければ「これがお前のやり方か」。

橋本は垂直落下式ブレンバスターで元Uインターの山崎に勝利。
メインは「10・9」の再戦。
「高田がここで2連敗したら平成のストロング小林だな」などと話していたが
腕ひしぎ逆十字で高田の勝利、星を1勝1敗とした。
敗者武藤の無表情での帰還は何を意味するのか。
そして奪われたIWGP王座を奪還するための新日本側の代表として、早くも橋本真也の名前が挙がり始めた・・・。

(2005.0723)

註1:あまりにも衝撃のシーンだったためか?この時なぜか声を上げて大笑いしてしまった筆者。なぜ笑いだったのか、自分でもわからん。

新日本プロレス 「’96WRESTLING WORLD IN 闘強導夢」
1996(平成8)年1月4日 東京ドーム
観客6万4000人(超満員)=主催者発表

1.30分1本勝負
○永田裕志、大谷晋二郎、石沢常光(腕ひしぎ逆十字固め、10:15)金原弘光、桜庭和志、山本健一●

2.30分1本勝負
○天山広吉(片エビ固め、9:24)小島聡●

3.IWGPジュニアヘビー級選手権(60分1本勝負)
○獣神T.ライガー(片エビ固め、18:59)金本浩二●
*ライガーが第26代王者。

4. 45分1本勝負
○越中詩郎(首固め、9:45)蝶野正洋●

5. 45分1本勝負
○冬木弘道(片エビ固め、6:42)安生洋二●

6.60分1本勝負
○佐々木健介(体固め、16:36)馳浩●

7.INOKI FINAL COUNTDOWN 5th(60分1本勝負)
○A.猪木(腕ひしぎ逆十字固め、14:16)ビッグバン・ベイダー●

8.60分1本勝負
○長州力(サソリ固め、5:46)垣原賢人●

9.60分1本勝負
○橋本真也(体固め、9:18)山崎一夫●

10.IWGPヘビー級選手権(60分1本勝負)
○高田延彦(腕ひしぎ逆十字固め、17:57)武藤敬司●
*高田が第18代王者。

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