No.139
激突 新日対Uインター
新日本プロレス「激突!!新日本プロレス対UWFインターナショナル全面戦争」

新日本プロレス「激突!!新日本プロレス対UWFインターナショナル全面戦争」
1995年10月9日 東京ドーム
同行者=千里眼

話題性、観客動員数、場内の興奮度、試合内容など
どれをとっても日本プロレス史上有数の大ヒット興行となった「10・9」である。


会社定時ダッシュ。東京ドームは入り口のところで人がごった返していて異様な雰囲気。
入ってみるとまだ試合が始まっていないのにすでに超満員。
すでに崩壊した某団体の水増し入場者数記録も裸足で逃げ出すかと思われそうな人、人、人。
千里眼はすでに来ていて「何で宮戸が出てこない!(註1)」と辛辣。
進行はそれほど派手な演出、余計な装飾はなく田中リングアナの口上もいつになく控え目。
それでかえって急遽決まった大会で準備期間がなかったという雰囲気がつくられ場内に緊張感、決闘ムードを醸し出していた。
試合が始まる前から観客はすでにレッドゾーン、会場内に異様な殺気が充満!

●石沢、永田−金原、桜庭
金原は「U−COSMOS」の藤原喜明を連想させるような裸足にムエタイトランクスで登場。
スタンド戦を挑むという意思表示だったのか?
しかし試合はアマレス出身の三人の攻防が主。下から三角絞めを決めた石沢が爆勝でオープニングを決めた。

●大谷−山本
試合開始3分ぐらいで大谷のグラウンドでのひじゴリゴリが炸裂して山本はボロボロ。
飛龍原爆2連発からUインター側の得意技であるはずのダブルリストロックで大谷の快勝。
山本マイクアピールするも何だか説得力なし。

●高山−飯塚
飯塚が裏投げ、フェースロックで長身の高山を追い込むが腕ひしぎで敗戦。
ダブルリストロックを逃げられたのが痛かったか。

●佐野−ライガー
この試合だけ普通のプロレスの試合(笑)。
ライガーのトペ、吊り天井、ダイビングヘッド、佐野までトペを出した。
ピンフォール決着はこの試合だけ。

●長州−安生
この日最大の遺恨戦、かと思いきや安生何も出来ず。
長州キックを食うも受け流し(註2)フィニッシュはサソリ。

●佐々木−垣原
開始から圧倒していた佐々木だったが一瞬のスキを突かれたか垣原に足関節を決められてギブアップ。レフェリーの山本に叱咤される。
垣原という選手はいつぞやの武道館でのアレン戦でもそうだったが
相手がスキを見せるまで待ち続けてワンチャンスをものにするような戦い方を試しているのかもしれない。

●橋本−中野
橋本文句なしの圧勝、やはり体重差は大きいか。

ここまで見ていてUインターの選手はほとんどが掌底やキックを出さんがためにアップライトに構えていて
その分脇が開いてすぐ新日の選手にタックルで捕まって投げられたりしてしまうと感じた。
グラウンドでは関節を取ることを先に考えているようでコントロールが甘いようなのですぐ上に乗られて疲労が蓄積していってしまう。
それとUインターの選手は息が上がるのが早い。新日本の選手は負けてもそれほどのダメージがなさそうなのにUインターの選手は勝っても負けても何だかボロボロになって帰っていくよう。

●武藤−高田
大技がそれほど出ない展開ながらもお互いの持ち味が出た好勝負。
武藤のムーンソルトさすがに高田食らわず空かす。
高田のローキック武藤ディフェンスできず。
しかし最後は高田のキックをキャッチした武藤がドラゴンスクリュー連発から意表をつく「これぞプロレス技」の爆発でギブアップ勝利(註3)。

終わってみれば5勝3敗ながら新日本の圧勝、
新日ファン大興奮の場内に歴史に残る野次「前田が泣いてるぞ!」が響き渡った。
田村?田村は新日本との対抗戦路線を拒否。
K−1のリングでパトリック・スミスとのVT戦を敢行したり第1試合で当時若手の桜庭と対戦するなどの末Uインターを離脱、リングスに移籍。

(1995.1009の日記を元に再構成、2004.0501)

追記:新日本側の後半4試合に出場した4人が既に新日本を離脱しているという現実(佐々木はその後フリー参戦しているが)に時の流れを感じる。
(2004.0502)

(註1)この日蝶野正洋対宮戸優光の「団体ブレーン対決」もマッチメークされていたが
宮戸のUインター退団?により消滅。→蝶野と東京ドームの項参照のこと。
(註2)もっとも顔面蹴撃はなかったようで。
(註3)このDスクリューからの足4の字固めという連続パターンは膝元への低空ドロップキックを加えて、膝の負傷でムーンソルトを使用しなくなったのちの武藤の必勝パターンとなる。

新日本プロレス「激突!!新日本プロレス対UWFインターナショナル全面戦争」
1995(平成7)年10月9日 東京ドーム
観衆6万7000人(超満員札止め)

1.30分1本勝負
○石沢、永田(三角絞め、10:47)金原、桜庭●

2.15分1本勝負
○大谷(羽根折り腕固め、7:18)山本喧●

3.30分1本勝負
○高山(腕ひしぎ逆十字固め、7:39)飯塚●

4. 30分1本勝負
○佐野(猛虎原爆固め、10:14)獣神サンダー・ライガー●

5.45分1本勝負
○長州(サソリ固め、4:45)安生●

6. 45分1本勝負
○垣原(膝十字固め、9:13)佐々木●

7. 45分1本勝負
○橋本(三角絞め、7:20)中野●

8.IWGPヘビー級選手権(60分1本勝負)
○武藤(足4の字固め、16:16)高田●
*武藤が4度目の防衛に成功。

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