No.220
橋本、絶頂への戴冠、高田からIWGP王座奪取。新日本プロレス「’96BATTLE FORMATION」
新日本プロレス「’96BATTLE FORMATION」
1996(平成8)年4月29日 東京ドーム
同行者=千里眼
GW興行、「10・9」の流れを受ける対Uインター(高田)第3弾がメイン。
当時ムタ、新崎、そしてWWFのアンダーテーカーを「運動神経抜群でオカルト・ギミックを取り入れた卓越した選手」と認識しており
対戦したら面白いだろうなあと考えていたのだが、それが実現した。
しかしながら早々の場外乱闘でムタが卒塔婆で新崎を攻撃して流血させる。
折れた卒塔婆に、ムタは新崎の額から流れ出る血を指ですくい「死」の文字を書き込んでみせる。
テレビでも放送されたこのシーン、今考えるとけっこうグロい。
流血のダメージでどんどんスタミナがなくなってゆく新崎、それでもロープに登っての拝み渡りを決行。
だが最後はムタのムーンサルトにフォール負け、体格差もさることながら流血によるスタミナ切れが大きかった。
天龍-藤波戦も流血戦となった。
気合の入る藤波が場外の天龍にドラゴンロケットを敢行、しかしこれが失敗、顔面がロープにぶつかって引っかかってしまう。
そこに天龍が場外から藤波の鼻にパンチの連打連打。藤波鼻から流血。ロープに顔面を当てた際、鼻を負傷した様子。
鼻血の止まらない藤波、必死に応戦するが天龍がパンチ、最後はパワーボムを決めて天龍のピンフォール勝ち。
試合後天龍が藤波に近づき何か言葉をかける。あとで新聞か何かで「鼻は大丈夫なのか」と訊いたと読んだ。
しかし藤波は「大きなお世話だ!」とばかりに天龍の胸を突く。常に優等生的イメージを背負っている藤波の、意地を見た。
これも後で知ったことだが藤波の鼻骨はロープに激突した際骨折していて全治2ヶ月だったそう。
アクシデントは仕方ないことだがそこから想定外の方向に試合が進んだ感。
負傷箇所を徹底的に攻める天龍、大流血で負けっぷりのよさを見せた藤波に説得力を感じアクシデントの後をうまくまとめたという印象。
到底名勝負とはいいがたいしどちらかといえばアクシデント発生による凡戦といった内容だが、印象に残る試合ではあった。
さて、メインのIWGP戦。「10・9」では敗退したものの
1月4日に武藤から王座を奪取したUインター・高田
(この勝利で当時のIWGP王座全て―ヘビー、ジュニア、タッグ―を制覇した初の選手となる)は、
3月1日のUインター・日本武道館大会で越中詩郎を破ってIWGP王座初防衛。
ここで新日本は1勝1敗である武藤との決着戦ではなしに、切り札「橋本真也」を投入した。
橋本は袈裟斬り空手チョップの連打で高田を追い込む。
腹部へのミドルキックで高田の足が浮いた、橋本の重爆キックだ。
さらに大きく持ち上げての垂直落下式ブレンバスター。
ドスン、といった感じで決まってその後はグランドに移行しての三角絞め、これで高田からギブアップをもぎ取った橋本が王座返り咲き。
「最強」が旗印のUインターの大将・高田に勝利しての戴冠はまことに意義のあるものであり、この勝利こそが「橋本時代」の絶頂期であったと思う。
しかしその橋本も9年後、2005年のゼロワン解散からの復帰を目指していた7月、突然の死を迎えた。
あまりにも早い死に驚きと無念を隠せない。
(2005.0807)
新日本プロレス 「’96BATTLE FORMATION」
1996(平成8)年4月29日 東京ドーム
観客6万5000人(超満員)=主催者発表
1.30分1本勝負
○永田裕志、石沢常光(片エビ固め、11:20)大谷晋二郎、金本浩二●
2.45分1本勝負
○長州力、飯塚高史、西村修、小島聡(体固め、11:04)越中詩郎、小原道由、斉藤彰俊、野上彰●
3.IWGPジュニアヘビー級選手権(60分1本勝負)
○ザ・グレート・サスケ(猛虎原爆固め、19:27)獣神T.ライガー●
*サスケが第27代王者。
4. 60分1本勝負
○R.サベージ(首固め、9:49)天山広吉●
5. 60分1本勝負
○蝶野正洋(STF、14:34)R.ルガー●
6.60分1本勝負
○アニマル、ホーク、パワー・ウォリアー(片エビ固め、14:15)S.ノートン、S.スタイナー、R.スタイナー●
7.60分1本勝負
○グレート・ムタ(体固め、19:44)白使(新崎人生)●
8.60分1本勝負
○天龍源一郎(片エビ固め、9:16)藤波辰爾●
9.IWGPヘビー級選手権(60分1本勝負)
○橋本真也(三角絞め、12:33)高田延彦●
*橋本が第19代王者。
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