No.228 「プライド1」高田、ヒクソンに完敗。


KRS「プライド1」
1997(平成10)年10月11日 東京ドーム
同行者=千里眼

東京ドーム初の、総合格闘技興行。
Uインター時代からヒクソンの名前を出していた高田側が遂に対戦を実現させた。
グッドリッジ対タクタロフは、パンチを警戒したタクタロフが見ている状態で、スタンドでの膠着が続く。
と一瞬グッドリッジのパンチがヒットしてタクタロフがうつ伏せにダウン、
そこにグッドリッジが追い討ちのパンチを顔面に打ち続け、セコンドがタオル投入(実際はタオルより早くノックアウトの宣告が)。
元UFCトーナメントの覇者タクタロフの壮絶KO負けに衝撃。

小路はヘンゾに粘っての引き分け。
グレイシー一族の不敗神話が続いていた当時は引き分けでも殊勲の印象があった。
小路、マイクで「何が日本最弱じゃあ!」と絶叫。
専門誌の見出しに使われた「日本最弱」に説得力のあるクレーム。

ハーフタイムショーはロックバンドの生演奏。
女性ボーカルが盛り上げると場内アナウンスで「ボーカル、藤谷美和子!」場内騒然。
藤谷が芸能界でのプッツンなら、かつて相撲界でプッツンだった北尾が登場。
グラウンドでの腕関節(ややもたもたしていたが)で総合初勝利?

シカティック対ホワイトはキックボクシング的ルール。
K-1GP初代王者シカティックのパンチを食らったホワイトがもつれて場外に転落。
上がってきたら頭にすごい大きなたんこぶ。
多分シカティックのパンチで出来たのではないかと思ったが、結局負傷のためかノーコンテスト。
いやしかし、すごく大きなたんこぶだった。

メインダート対元極真空手の黒澤の対戦は不可解。
メインダートは2メートル近い白人の巨漢。黒澤との身長差は相当。
1R、もつれて倒れた時にメインダートの体が黒澤の足の上にかかり、体重で黒澤は足を負傷。
しかし試合は延々と続けられ、メインダートは黒澤の足にタックルを連発。
足を踏ん張れない黒澤は蹴りを出した自分が倒れる状態。
ようやくレフェリーが試合をストップしたのが3ラウンド。
黒澤はKRSの構成メンバー、大舞台で自分の見せ場を作りたかっただろうが相手が大きすぎた。

キモ対スバーンはけっこう期待したのだが、なぜか30分延々とスタンドで消極的にボクシングを続ける両者。
ともにグランドのフィニッシュを得意とするはず。
なぜタックルで倒そうとしないのか。
スバーン、翌日の両国「格闘技の祭典SPECIAL」にも出場予定だったから、怪我を恐れたか。
でも結局両国にはスバーン出場しなかったし。
ということで超期待はずれのセミ。

さてメイン。
頭をそりあげて白いタイツのヒクソンはリングの中心から動かず。
その周りをぐるぐる回る高田。
ヒクソンが距離を詰めての胴タックル、高田下がってコーナーへ。
その時高田がロープに手を置いた。
これがルールに抵触し注意1。
次に同じことをやったらルールに基づき失格負けとなる。

ヒクソンはかつてVTJで当時リングスの山本が使った「ロープを使ったチョーク」で散々苦しめられた経験があるので
ロープをつかむことを反則として提案したのだと思う。
高田からすればプロレスラーとしての本能的な何気ない動きだったと思うが
ルールを理解してなかったのか自らの軽率な行動であっという間に追い詰められてしまった。

1R終盤、組み合った両者。
体重の軽いヒクソンが高田を持ち上げてマットに叩きつける。
そしてあっという間の腕ひしぎ逆十字。
高田は情けなく足をバタバタさせた後にギブアップの意思表示。

「最強」対「400戦無敗」の対決はあっけなく終わった。
ヒクソンと対戦するのに総合の実戦経験(OFG着用)が全くない高田は無謀すぎたのではないか。

この試合の後高田は腰を痛めていてコンディションが悪かったことを明かす。
確かに当日の高田はすごく動きが悪かった。
しかしこの日の全く反撃できない敗戦では言い訳にすら聞こえない。
この試合の失望感は猪木・アリ戦の比ではなかった。

(2005.1015)

KRS「プライド1」
1997(平成10)年10月11日 東京ドーム
観衆4万6863人

1.5分3R
○村上一成(腕ひしぎ逆十字固め、1R1:34)ジョン・ディクソン●

2.10分3R
○ゲーリー・グッドリッジ(RSC、1R4:57)オレッグ・タクタロフ●
*グラウンド状態でのパンチ連打。

3.10分3R
△小路晃(時間切れ引き分け)ヘンゾ・グレイシー△

4.5分3R
○北尾光覇(脇固め、1R2:14)ネイサン・ジョーンズ●

5.スタンディングバウト3分5R
ブランコ・シカティック(NC、1R1:52)ラルフ・ホワイト

6.3分5R
○イゴール・メインダート(RSC、3R1:16)黒澤浩樹●

7.30分1本勝負
△ダニエル・スバーン(時間切れ引き分け)キモ△

8.5分12R
○ヒクソン・グレイシー(腕ひしぎ逆十字固め、1R4:47)高田延彦●

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