No.33 ザ・マミー
96年6月頃に「メモリアル力道山」という大会を見に行った。横浜ア
リーナだった。
一部の例外を除いては同じ団体同士の試合がほとんどで、新日・全日の
両メジャー、インディー、女子と16団体ほどが参加していた。
第二試合が「IWA格闘志塾・鶴見五郎対ザ・マミー」だった。
ザ・マミーは不気味な入場曲で入場してきた。ミイラ男らしく全身白い
包帯状のコスチュームで覆われていた。
ゴングと同時にマミーは奇声をあげて踊るように回転した。全身から白
い粉が舞った(*1)。
しかしその粉を吸い込んだリングサイドの観客が眠るように倒れていっ
たり、
グレイトゼブラが味方のはずのタイガーの頭を蹴っ飛ばしたりす
るようなことはなかった。
試合は意外にも(?)地味に進行し、マミーが倒れている鶴見にトップ
ロープからのダイビング・ヘッドバットを敢行した。
しかし彼の急降下攻撃は鶴見には命中せず、頭がマットに激突した。か
なり危険な角度だった。
自爆したマミーはピクリとも動かなかった。
やや慌てたようなそぶりの
鶴見が倒れているマミーに「軽く」逆片エビ固めを決めた。マミーは
弱々しく、かすかにタップした。鶴見が勝った。
その後もマミーは倒れたままで、最後は担架で運ばれていった(*
2)。
退場するマミーを見送っていた鶴見がマイクを取って、凍りついた観客
に向かって言った。
鶴見:こいつの実力はこんなもんじゃない!俺はもう一度こいつとや
る!いいか!俺はこいつともう一度やる!(*3)
このマイクアピールを聞いて観客はまた引いてしまった。失笑すら出な
かった。
こいつ怪奇派かばって何になるんだかな〜。
おもいっきりはずしてるぞ鶴見。
俺はそう思った。
まあマミーの中身が鶴見の弟子筋の者で(*4)いきなりのアクシデントで見せ
場を作ることもなしに大舞台での試合が終わってしまい、
しかも危険な
頭部・頸部に負傷をしてしまったかもしれないということでの動揺は少
なからずあるだろうが。
むしろ鶴見は何も言わないで退場したほうがよかったと思う。
アクシデントは気の毒だったが(*5)マミー(の中身)の技術のな
さ、鶴見五郎のアドリブの下手さに背筋が寒くなった一戦でしたとさ。
あ観客の背筋を寒くしたということでは最終的に怪奇派の勝ちかもしれ
ない。
(*1)選手紹介の時かも知れない、うろ覚え。
(*2)担架もはっきり覚えていない。もしかしたら後で自分で脚色し
ちゃったかもしれない、
でも少なくともマミーは自分の足で歩いて帰っ
てはいない、と記憶している。
(*3)マイクアピールも一言一句正しいとは限らない。意味的にはこ
んな感じだったと思う、あしからず。
(*4)マミーの正体は高杉だったかも知れないという説もある、だとしたらセブンのミイラということか。
(*5)もちろんアクシデントを笑っているわけではない、念のため。
(旧演撃カフェ 2002/06/05 1847)
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