「007は二度死ぬ」蔵前国技館で横綱佐田の山と会見するボンド。

007は二度死ぬ (アルティメット・エディション) [DVD]

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1967年イギリス
原作:イアン・フレミング
監督:ルイス・ギルバート
音楽:ジョン・バリー
主題歌歌手:ナンシー・シナトラ
主題歌:レスリー・ブリカッシー、ジョン・バリー
メインタイトル・デザイン:モーリス・ビンダー

出演・配役
ショーン・コネリー:ジェームズ・ボンド=007
丹波哲郎:田中=タイガー
若林映子:アキ
浜美枝:キッシー鈴木
ドナルド・プレザンス:エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド(スペクター首領=No.1)
島田テル:大里(大里化学社長)
カリン・ドール:ヘルガ・ブラント=No.11
チャールズ・グレイ:ヘンダーソン
バーナード・リー:M
デスモンド・リュウェリン:Q
ロイス・マクスウェル:ミス・マネーペニー
佐田の山:本人役
琴櫻:本人役
富士錦:本人役
大鵬:支度部屋の力士
柏戸:支度部屋の力士
ピーター・メイビア:殺し屋

<あらすじ>アメリカとソ連の宇宙船が宇宙空間で謎の飛行船に捕獲されるという事件が起こり両国間は緊迫。
香港で偽造死を演じた007は密命を受けて飛行船が着陸したと思われる日本に潜入、
ヘンダーソン、田中(タイガー)、アキらと接触、調査を開始する。

06年5月、アシェット・コレクションズ・ジャパンのDVD付きの本を購入して見る。もっとも過去に見ているが。
舞台の殆どが日本で、日本文化の表現にかなりの時間を割いている。
日本に潜入した007はまず大相撲本場所が行なわれている蔵前国技館へ。
そこでスキンヘッドの男性に尋ねる「サダノヤマ?」。
するとボンドは支度部屋に案内され、男性は奥をさして「佐田の山関です」。
ボンド日本語で「ドウモアリガト」と礼を言って奥へ。
正面に横綱佐田の山本人が座っていてボンドまた尋ねる「サダノヤマ?」。
佐田の山「ああ」とボンドと握手して「ディスイズユアチケット」券を渡す。
横綱がエージェントやってるなんてマスコミにすっぱ抜かれたら大変だあ(笑)。
そのシーンのバック、ウオーミングアップしてるのが柏戸
若い力士数人に綱を締めさせているのが大鵬

でもこのシーン、よく考えて見るとヘン。
この映画、公開が’67(昭和42)年だから撮影時期は’66−’67年であることでしょう。
第50代横綱佐田の山の昇進が’65年1月、第49代栃ノ海の引退が’66年11月だから
この時期は柏戸、大鵬、栃ノ海、佐田の山の4横綱時代あるいは栃ノ海引退で3横綱。
それが東方か西方かわかりませんが同じ方の支度部屋に横綱3人ってのはありえないんじゃないかと(笑)。
栃ノ海引退後の’67年の出来事だとしたら3横綱だからなおさら。
そりゃ、ショーン・コネリーと佐田の山が握手してるバックに
柏戸と綱締めた大鵬がいる、っていう絵は超豪華ですけどね。

それからこのシーンの直後、007は若い力士に誘導されて桟敷席に行って
後から現れた若林映子(アキ)と一緒に琴櫻富士錦の相撲(註1)を観戦するんだけど、
もう幕内の相撲が行なわれている時間なのに何で大鵬は支度部屋で綱締めてるんだろう?という疑問。
横綱が綱を締めて土俵入りするのは幕の内力士土俵入りの後で、
幕内の取り組みが始まってからは綱を締めて現れることはないというのは中継を見ていれば誰でもわかることですよね。
そりゃ、大鵬が映画に出てるのなら綱締めている方が絵的に豪華ですけどね(笑)。
相撲は小手投げ 琴櫻の勝ち。
ボンドとアキが席を立つ時、行司の「かたや、玉ノ島」という声が聞こえる。
だからその時の土俵上でちょっと写ってる力士のどちらかが玉ノ島のはず。
土俵のシーンは呼び出しが省略されています。写ってる審判は元・出羽錦と元・朝潮。

ボンドとアキはトヨタ2000GTでエージェント・ヘンダーソンのいるホテルに行く。
ボンドと会ったヘンダーソンはボンドのお決まり、ドライ・マティーニを出すが、
「シェイクしていないが(ステアしただけ)」と言ってボンドに渡す。
ボンドの注文はいつも「ステアじゃなくてシェイクして」だが、
和式の部屋だからシェイカーがなかったのだろう、あるいはヘンダーソンの勘違い?
ボンドは彼のことを思い「パーフェクト、チアーズ」と言って乾杯する。
しかし直後ヘンダーソンは障子越しに殺し屋に刺し殺され、ボンドはその殺し屋を追いかけ仕留め
彼の服と靴を奪い変装して敵の車に乗り込む。
この車を運転しているのがピーター・メイビア
メイビアはプロレスラーとしての初来日が’68(昭和43)年国際プロレスの第1回ワールドシリーズだから、
レスラーとしての来日より先に日本に来ていたということになる(註2)。
殺し屋役のメイビアは大里化学の一室までボンドを運ぶが正体がバレたボンドと乱闘になる。
メイビアは日本刀を振り回したりするが、仏像で頭部を殴られてボンドに敗北する。
仏像は真っ二つに割れる。
脱出したボンドは日を改めて偽名で大里化学の社長に面会するが、その時の部屋がメイビアと乱闘した時と同じ部屋で、
社長を待つ間ボンドが仏像を眺めて「あ、直ってる」或いは「新しくなってる」って表情するのが面白い。

ボンドはアキを追ううち田中(丹波)と出会う。
田中は日本のシークレット・サービスのボスで、専用の地下鉄で移動(笑)。
専用地下鉄の中は豪華で、着物の女性の接待付き。田中とボンドはそこで日本酒を飲む。
資料を見た後田中の自宅に行き、風呂に入る。
複数の女性に体を洗ってもらうボンド。
専用地下鉄とか、自宅にそんな風呂あるなんてうらましいぞ田中(笑)。

ボンドは謎の貨物船「忍法丸」を調査しに神戸に行くがそこで大里化学の男たちと乱闘になる。
ここで敵側に松崎真の顔が見られる。ボンドは捕まってヘルガに始末されそうになるが脱出。
ボンド、Qが運んできた小型ヘリで火山を調査、敵のヘリが出撃して空中戦。
そして姫路城で田中が訓練させている忍者(!)集団を見学した後作戦を聞かさせる。
島に忍者たち100人を労働者にまぎれさせ侵入、ボンドは日本人に変装、偽造結婚して島民の中に隠れる。
アキは寝てる間にボンドを狙うはずの刺客に毒殺されてしまう。
和式の祝言は3組合同で、最初2人の花嫁が年増で、ボンドがげっそり(笑)。
だが3人目は若い浜美枝(註3)で、田中が笑ってる。
この後火山内部の敵地にボンドが侵入、忍者みたいな格好で手と膝に吸盤。これで基地の天井をペタペタ。
田中の忍者軍団が基地に突入してからはスペクタクル。
ボンドの宿敵ブロフェルドも冷酷な感じがよく出ている。
ラストの潜水艦浮上もスケール大きく、宇宙のシーン、日本の場面なども楽しめる超娯楽作品。

ちなみにアシェット・コレクションズ・ジャパンの本では相撲のシーン、P.メイビアについてはまったく触れていない。

(09.0517)

註1:ずっと大鵬と玉ノ島(のちの横綱玉の海)の対戦だと勘違いしてました。
またウィキでは琴櫻と佐田の山が対戦したかのように書かれている。

註2:メイビアがどのような経路でキャスティングされたかは不明。
また大里化学の一室のセットは海外という可能性も有り得るので、もしかしたらこの時期来日していないかも知れない。

註3:アシェット・コレクションズ・ジャパンの本では浜の出演作品に「フランケンシュタイン対地底怪獣」とあるがこれは多分間違い。

参考:ジェームズ・ボンド公式DVDコレクション7 アシェット・コレクションズ・ジャパン 2009年

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