「007/死ぬのは奴らだ」さる映画の父かも。

死ぬのは奴らだ (アルティメット・エディション) [DVD]

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1973年イギリス
原題:LIVE AND LET DIE
監督:ガイ・ハミルトン
音楽:ジョージ・マーティン
主題歌:ポール・マッカートニー&ウイングス
主題歌作曲: ポール・マッカートニー、リンダ・マッカートニー
メインタイトル・デザイン:モーリス・ビンダー

出演・配役
ロジャー・ムーア:ジェームズ・ボンド=007
ヤフェット・コットー:ドクター・カナンガ/Mr.ビッグ
ジェーン・シーモア:ソリティア
クリプトン・ジェームズ:J.W.ペッパー保安官
ジュリアス・ハリス:ティービー・ジョンソン
ジェフリー・ホールダー:サメディ男爵
デヴィッド・へディソン:フェリックス・ライター
バーナード・リー:M
ロイス・マクスウェル:ミス・マネーペニー

<あらすじ>Mr.ビッグの麻薬取引を捜査していた英国情報員が次々に殺害され
英国情報部の“M”はジェームズ・ボンドを派遣する。
ボンドは米CIAのフェリックス・ライターと共謀してMr.ビッグの周辺を洗うが、
サン・モニーク(カリブの架空の島国)の国家元首・ドクター・カナンガが裏の存在として明らかとなり
カナンガの御付のタロットカードによる預言者・ソリティア、
鋼鉄の義手を持つ用心棒・ティービー、
ブードゥー教の魔神・サメディ男爵らとボンドは対決する。

いつものようにアシェット・コレクションズ・ジャパン社のDVD付きの本を購入。
勿論以前見てますんが。
ロジャー・ムーアが3代目ボンドとして初お目見え。
ショーン・コネリーとの差別化を図るために「ドライマティーニ、ステアじゃなくてシェイクして」じゃなくて
「バーボン氷なし」を注文する
(敵陣の店で注文すると倍額に割り増しされる、しかもボンド罠で捕まってしまって飲めない・笑)。
でもロジャー・ムーアのボンドもウイットが効いてて楽しい。
コネリー時代の「ゴールドフィンガー」では「ビートルズは耳栓をして聴くべし」
なんてセリフがあったのに、本作の主題歌はその元ビートルズのポール・マッカートニー(笑)。
まあ皮肉って言えば皮肉。
資料によると主題歌はP.マッカートニーから無料で提供されたそう(新バンド・ウイングスの知名度を上げるため)。
世界的、というか歴史的著名人たるビートルズの元メンバーたるマッカートニーに曲提供されてNOT言う人はいないだろうなあ。

映画は魅力的な俳優が多く出演していて、
ソリティア役の白人女性ジェーン・シーモアは出演当時20歳だったそう(最年少のボンド・ガール)。
彼女はビキニにこそならないが大きく胸元の開いた衣装を含めた七変化、
光沢のあるアイシャドーをつけた預言者のシュツエーション、
クライマックスで後ろ手に縛られた時の表情と
露出がそれほどでもないのに巫女たる役柄か清楚、儚さ、神秘的なエロスを感じさせる。
もっともタロットカードによる預言者の能力は処女であるからこそであり、
女ダイスキーのボンドにより初夜を迎えてしまってからは能力を喪失してしまったが
(カナンガに張り倒されて臥せってるシーンの表情も相当エロい)。

麻薬の精製?を行なっているワニ牧場、
その後のモーターボートによるチェイスのシーンは迫力とユーモアが融合して見せ場たっぷり。
特に、ストーリーとは直接関係ない保安官の見せ場が長々とあるが、
これでいいのかどうかは見る人次第。

あんまり出番はありませんが、笑い声が独特なサメディ男爵も強烈な存在感を醸し出す。
ボンドとの蛮刀での対決は秒殺でしたが、あの生きてるのか死んでいるのかわからないラストが
ユーモアでもあり不思議な感覚。

【その他】
敵のアジトのブードゥー・ショップでボンドが買おうとする蛇のおもちゃ、緑色で腹が黄。
島でソリティアを殺そうとする蛇使いが持つ蛇と体色が一緒。
二度の、ニューオリンズでのお葬式のシーンもいい出来。

【意外な作品の父かも?】
ここから先は「死ぬのは奴らだ」とは殆ど関係ない文章かも知れない。
’81年、ジェームズ・キャメロンは監督第一作となるはずだった
「殺人魚フライング・キラー」の製作のためローマにいたが
現地スタッフ、プロデューサーとの意見が合わず作品は最低の出来となってしまったそう。
そして悪夢を見た。炎の中から金属の骸骨のロボットが立ち上がるイメージだったそう。

「死ぬのは奴らだ」のオープニングとエンディングの映像は
「炎と髑髏」(そして女性)のコンビネーションがメインだ。
さらに作中に登場するカナンガの用心棒・ティービーはワニに食われた、と自分で説明するように
右腕が鋼鉄の義手である。
エピローグの列車の中でのボンドとティービーの対決では、
ボンドがティービーの右袖を引きちぎったため、ティービーの義手が肩まであるところが見受けられる。
しかしボンドはいつもの機転を効かせ、
工具で義手のワイアーを切断し、義手の先端を窓に引っ掛けるとティービーは動けなくなり
ボンドは足を引っぱって列車の窓からティービーを放り投げる。
だが強靭な義手は主の体を離れても窓に引っかかって残り、ボンドはそれを再び投げ捨てる。
そしてソリティアとお約束のラブラブとなるわけだが、
「炎と髑髏のイメージ」「残された鋼鉄の腕」。
もしキャメロンが「死ぬのは奴らだ」を見ていたとしたら、
のちのちのあの作品のビジュアルに少なからず影響を与えたのではないだろうか。
そりゃ、偶然の一致かも知れませんがね。

そしてもう一つの不思議な符合。
元ビートルズ、ポール・マッカートニー&ウイングスの「死ぬのは奴らだ」の主題歌は
ハードロックバンド、ガンズ・アンド・ローゼスの史上初同時新作アルバム2枚発売で話題を読んだ
「ユーズ・ユア・イリュージョン」のPt.1にガンズのカヴァーヴァージョンで収録されているが
「ユーズ〜」のPt.2には「ユー・クッド・ビー・マイン」が収録されている。
もう説明は不要だろうが、「ユー・クッド〜」はキャメロンが監督した
あの映画のシリーズ2作目の劇中、エンドロールにかかる曲である。
つまりガンズ・アンド・ローゼスが二つの偉大な映画シリーズの橋渡しをしている?

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(09.0705)

参考:ジェームズ・ボンド公式DVDコレクション10 アシェット・コレクションズ・ジャパン 2009年
「ブレードランナーの未来世紀」町山智浩 2006年洋泉社

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