「イップ・マン 序章」戦争による反日映画ではあるが「見たい」と思った方々がいたからこそ本邦公開された映画。

イップ・マン 序章 [DVD]

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2008年香港
原題:IP MAN
監督:ウィルソン・イップ
アクション監督:サモ・ハン・キンポー
音楽:川井憲次

出演:配役
甄子丹=ドニー・イェン:イップ・マン
池内博之:三浦(日本軍)
渋谷天馬:佐藤 (日本軍)
任達華=サイモン・ヤム:周清泉(綿工場の経営者)
樊少皇:金山找(道場破りの武術家)
ラム・カートン : 李サ(仏山の警官/日本軍の通訳)

'11年3月5日、新宿武蔵野館で見る
この映画館で「イップ・マン 葉問」を見た人が5000人を超えたので
この「イップ・マン 序章」がめでたく上映の運びとなった。
ほぼ満席、観客数多い。


↑劇中に登場する木人のモデル。劇場にて。

イップ・マンは弟子も取らずに仏山の結構な豪邸に妻と息子と三人で住んでいる。
使用人までいる。収入は?

数々の挑戦者を破り街で評判のイップ・マン。
しかし日中戦争がはじまると彼の家は日本軍の司令室として没収され(註1)、
その日の米にも困る極貧状態。

やむなく彼は日雇いで石炭を運ぶ仕事を行う。顔真っ黒。
そこで知り合いだった林と再会するが
彼は日本軍が行う武術の試合(賞品として米一袋が出る)に参加しに行き戻らなかった。

イップ・マンは林の姿が見えなくなったのを不審がり
日本軍の誘いに乗り武術場に行く。

そこではかつてイップ・マンと対戦した中国武術家が1対1の試合の後1対3を希望。
しかし負けてしまう。負けた後米袋を取ろうとすると、バルコニーで見ていた日本軍の佐藤がピストルを撃つ。
イップ・マンは林がここで死んだことを悟り、1対10の試合を希望する。

10人を苦も無く倒すイップ・マン。たちまち10個の米袋が投げ与えられるが、米は受け取らない。
その実力に驚く三浦が名を聞くがイップ・マンは「ただの中国人だ」と答える。
しかし通訳(かつて仏山の警察官でありイップ・マンのことを知っていた)が
「ようもん。また来る」と三浦に告げてしまい、ようもん=イップ・マンは名が知られてしまう。

住まいを突きとめた日本軍の佐藤が妻に手を出しそうになったため、
イップ・マンは咄嗟に攻撃、あっという間に複数の、武器を持つ日本軍の兵士を倒す。
騒ぎをおそれ一家は逃げる。

しかし日本軍の追及は友人が経営する綿工場まで及び
工員に迷惑がかかることを恐れたイップ・マンは遂に日本軍に捕まる。
三浦はイップ・マンの腕を高く評価し、日本軍に中国武術を教える教官の座を与えようとする。

イップ・マンはこの申し出を拒否。
残忍な日本軍、実効支配で民衆を貧困に追い込んだ日本に協力することはできないと宣言。
捕えられたイップ・マンは与えられた食事にも手をつけない。
やがて三浦との公開試合が行われることが決まる。
しかし佐藤が独断でイップ・マンに「わざと負けろ」と八百長を強要、遂に決戦の舞台にイップ・マンは上がる。

詠春拳は徹底した実戦主義のため高い蹴りはない、とどこかで読んだ記憶があるのですが
この映画ではイップ・マンやや低めですがハイキックをやります。まあそこは映画です。
日本軍が空手の鍛錬をしている、っていうのも空手のその頃の普及度から考えてどうかな・・・と思います。
そもそも空手は沖縄経由だし、戦前軍部にどれだけの空手の達人がいたかと考えると疑問符が。
でも柔道じゃ打撃の勝負にならないし、仕方ありませんか。

三浦との決戦を終えたイップ・マンを称える観衆。
しかし中国武術の勝利を潔しとしない佐藤の銃口がイップ・マンに向かって火を噴く・・・。

映画内の宗派の違いはあるが弟子ブルース・リーが主演した「ドラゴン怒りの鉄拳」と酷似したクライマックス。
日本(軍)の罪深さを感じる次第。日本が第二次大戦以前にアジア諸国に残した爪後はまだまだ消えないのか。
そう思うと悲しい。実在のイップ・マンは日本人の弟子には一定の指導以上はしなかったらしい。
「武術を通じた反日映画」という点でも「怒りの鉄拳」と類似している。
中盤の、黒雲の中を飛来してくる日本軍の戦闘機のシーンは不安感を煽るという点で充分。

註1:実際には葉問の財産を没収したのは日本軍ではなくて中国共産党だそう、ウィキより。

(2011.0324)

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