「原子人間」宇宙飛行士モノその他の父です。

原子人間 [DVD]

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1955年イギリス・モノクロ
原題:The Quatermass Xperiment
監督:ヴァル・ゲスト
製作:アンソニー・ハインズ
音楽:ジェームズ・バーナード
出演:役名
ブライアン・ドンレヴィ:クォーターマス博士
リチャード・ウォーズワース:ビクター・カルーン宇宙飛行士

<あらすじ>クォーターマス博士が打ち上げた英国初の宇宙探査ロケットが墜落した。
中にいるはずの3人の宇宙飛行士からは応答がなく、扉を開けてみると
ビクター宇宙飛行士のみがよろよろと現れ、残りの2人は宇宙服を残したまま行方不明になっていた。
ロケット内部を撮影したフィルムを現像すると、謎の物体がロケットの中に入り込み、ビクターに寄生して他の二人を取り込んでしまっていた。
ビクターは入院させられたが、病室にあったサボテンの鉢植えに手を伸ばすと、サボテンを吸収してしまった。
手がサボテンのようになってしまったビクターは夜の街でさまよい、出合った人間や動物を次々吸収していった。
ロンドン市警はビクターを捜索し、ウェストミンスター寺院の天井に巨大な怪物を発見する。
寺院を撮影するためにカメラを持ち込んでいたBBCテレビのスタッフが偶然発見したその怪物は、ビクターが変形したものだった。
現場に急行したクォーターマス博士は、怪物が動き出す前に退治しようと作戦を実行する。

ずいぶん前にNHKのBSで放送されたのを見る。
この映画も結構その後の特撮作品に影響を与えた「父」である。
帰還した宇宙飛行士の変身譚というストーリーは、日本ではウルトラマンのジャミラが最も悲劇的且つ有名か。
「宇宙」には行かなかったが、「ガス人間第一号」もこの変形パターンかも知れない。

見せ場はやはりビクターがよろよろと街をさまよいながら人間や動物を吸収していくシーン。
とは言っても強烈な特撮シーンがあるわけでもないが。
ビクターは動物園を襲撃しそこの動物達をも吸収してしまい、
ヒトデのようなタコのような巨大な怪物に変形、寺院の天井に隠れる。
クォーターマス博士は怪物を退治するためにロンドン市中の電気を止めて高圧線を集中させ、天井の怪物を焼き殺す。
そのために市内は大規模な停電になる。

もちろんこの大規模停電によるエネルギー集中というシュツエーションはエヴァンゲリオンのヤシマ作戦
「ゴジラxメカゴジラ」での機龍へのエネルギー供給のシーンに伝播している。

まあ・・・怪物は発見されてからも天井で撮影のための足場に引っ掛かっているので大暴れするわけでもなく、
意外に地味に退治される。
宇宙飛行士が3人も亡くなったというのに実験責任者?のクォーターマス博士の責任が追及されるような描写があるわけでもなく、
意外に地味に映画は終わる。
怪物化したビクターが人間に戻れるわけでもなく退治されちゃってかわいそうなのに、あんまりそういう悲劇的な部分は描かれない。
だけど、上記2点のネタ元がこの「原子人間」だったとしたらその後の作品に影響を与えたという点でやはり偉大な作品と言えるでしょう。
ちなみに原題直訳すると「クォーターマスの実験」になるようだけど、邦題の「原子」って何なんでしょうかね。

(08.1221)
参考:映画秘宝「あなたの知らない怪獣マル秘大百科」洋泉社1997年



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