「寄生獣完結編」勿体無い完結編。

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4月28日、錦糸町で見る。
二部作の完結編。

しかし前作のように劇的なシーンが少なく、
編集、構成がうまくいっていないような感じ。
前作見たとき見せ場になるな、と思っていた後藤のヤクザ事務所襲撃、市役所での後藤対特殊部隊は見事にはしょられている。
スプラッターシーンを極力避けたのか。
スプラッターはあまり好みではないが、原作は読んでいるので視覚的な見せ場は必要だと思った。

また市役所での殲滅作戦と田宮良子の最期が時間軸として同時に描かれているため
濃厚な場面が逆に集中力を欠いてしまって見える。
田宮リンチ(夜)～公園での田宮の最期(昼)～市役所殲滅作戦(昼)～新一＆ミギー対後藤by森の中(昼)～
新一と里美のラブシーン（夜)～新一対後藤by清掃工場(昼)
ここまで全て1日半ぐらいの出来事としてハナシの展開を進めているのはあまりにも駆け足過ぎないだろうか。
近年邦画は二部作が多いようですがここは後藤のヤクザ事務所襲撃～田宮良子の最期までを「2」として
市役所殲滅戦～ラストまでを「3」にした三部作にした方が時間軸に余裕が取れたのでは。
そう考えると実に勿体無い感じがします。

事実上のクライマックスである新一対後藤戦も後藤がなぜ新一殺しに執着するのかあまりよくわからないし
後藤の最期もあっけない。まあ原作にそった出来ではありますが。
対決の舞台の清掃工場にほとんど人がいないというのも謎。
それにしてもあの清掃工場、中が燃えているシーンは映画「ターミネーター2」の工場を想起させました。

田宮の最期のシーンは一般市民も見ているせいか、新一、警察が集まってきて盛り上がる原作の感じが出ていないが
それでも我が子を守ろうとする寄生生物・田宮を演じる深津絵里の演技には心を打たれました。
原作と違って田宮が新一の母の面影を使って新一の心を惹くシーンはありませんでしたが
それは映画として実現してもあまりいいシーンとは思えない。
むしろ実現したシーンは田宮が自分の心（の声）で新一に訴えている感じがよく出ていたと思います。

子供を守る田宮の眼は涙でうるんでいるように見えました。
人間のような感情のない寄生生物が涙するとは思えないのですが―
それはもしかしたら寄生生物・田宮が人間的な感情を新一（あるいはその後ろの警官たち）
らに訴えるための作りの顔だったのかも知れませんが―
素直に子供との別れを悲しんでいたのかも知れません。
子供への愛情が感じられる原作にはないセリフも泣かせます。
でも新一が田宮の願いに対して何の言葉も返さなかったのは不満（最終的に願いは受けたのですが）。
新一が敵視していた田宮と心の邂逅を遂げるといういいシーンだったと思うので残念。

「最後の相手は人間」！
この辺、原作もそうだったのですが「デビルマン」「エヴァンゲリオン」との関連も感じます。
そして殺人犯・浦上のセリフが記者・倉森のセリフと、
里美のセリフが広川、後藤のセリフと重なるように我々に重くのしかかります。
「人間は大昔から殺し合いをしている」「人間が人間の子供を殺すと思ったか」
「人間こそ地球を蝕む寄生獣ではないか」「（人間を殺せと声を発しているのは）お前たちだ」
「化け物は、あんただ」

【その他】
・浦上がガラス越しに寄生生物関係者を調べるシーンの二人目のビジュアルが、
原作で島田に硫酸ぶっかける女生徒の兄で、似顔絵描いてる人に似ている。

・ラブシーンありますね。橋本愛がブラジャー姿になりますが、何か昭和的な雰囲気が感じられます。

・里美は右手のない新一と会ったり、清掃工場から遠景でミギーを目撃したりするんですが何も言わない。
冒頭、学校の島田が暴れたところで閉鎖されている場所で、亡くなった同級生に花をささげるシーンがあるのだけれど
その時は説明を求めているんですが、全てを知っても心の中に収めたんでしょうね。
最後のシーンでは新一の右手に「ありがとう」と言っているようにも見える。

（15.0505）

2015年日本　映画「寄生獣」製作委員会
配給：東宝
原作：岩明均「寄生獣」
監督：山崎貴
脚本：山崎貴、古沢良太
音楽：佐藤直紀
主題歌：BUMP OF CHICKEN「コロニー」

出演：配役
染谷将太：泉新一
深津絵里：田宮良子
阿部サダヲ：ミギー(声の出演)
橋本愛：村野里美
大森南朋：倉森
北村一輝：広川剛志
ピエール瀧：三木
新井浩文：浦上
國村隼：平間
浅野忠信：後藤

＜あらすじ＞人間側が寄生生物の拠点・市役所に殲滅作戦を仕掛けるが失敗。
特殊部隊を全滅させた後藤は新一＆ミギーを殺しに向かう。

寄生獣（1作目）はこちら
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「寄生獣 完結編」勿体無い完結編。

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