No.391
舞台「人間風車」
後藤ひろひと氏は伝説のプライベートマッチを予言していた?

人間風車 2000年版 [DVD]

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09年10月3日、25日と2回、日比谷シアタークリエで演劇「ガス人間第1号」を観劇した。
60年東宝の特撮映画をベースに現代風にアレンジした舞台は後藤ひろひと氏の脚本・演出の出来、
キャスト、スタッフの舞台に懸ける熱い心がひしひしと感じられ
ヒロイン・フジチヨ役の中村中のクライマックスの歌、演技に圧倒され
ラストでただただ感動に打ちひしがれ拍手しまくったという感じ(タダのおっさんのおいらが落涙寸前)。
素晴らしい舞台だった。

それはさておき!
過去の後藤作品、2000年発表の「人間風車」をDVDで鑑賞することができた。
後藤氏は特撮のみならずプロレスファン、らしい。
自分の演劇企画集団にもPiperと名付けており、これはロディ・パイパーからのネーミングであるそうだ。
さて「人間風車」だが、プロレス側からするとこの名前は当然ビル・ロビンソン、
あるいは彼の必殺技である「ダブルアーム・スープレックス」を喚起させる。

「人間風車」ストーリーは、売れない童話作家が主人公。
公園で子供に自作の童話を語って聞かせる。
童話が売れたことがないので収入は新聞配達。
で、童話内の登場人物は殆どプロレスラーの名前(大笑)。
山の名前は「西島洋介山」!

以下ネタばれあるのでこれから見ようと思ってる方は
ここらで回避してください(自主判断に委ねます)。

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その彼には友人が二人いた。
一人は童話作家で成功し収入を得ている男。
もう一人は元同級生でTVのディレクター。
売れない童話作家は彼らから金を借りていた。
その童話作家はテレビの収録を見学に行った際、
ささいな出来事から番組の司会のタレント=女優(斎藤由貴!)と知り合いになる。

賞に応募できるような作品を仕上げた売れない童話作家は
友人の童話作家にタイトルを付けてくれるよう依頼し、原稿を預ける。

童話作家は女優を家に食事に招待する。
間が持たなくて童話作家は、
公園で子供たちの輪の外で自分の童話を聞いている30代の変わった男、サム(オサム)の話を始める。

しかしサムは、女優の弟だった。
しかも彼女らが幼いときに姉の不注意により弟は頭を打ち、「変わった男」になってしまったのだった。

真実を打ち明けて女優は「これ以上私たちに近づかないで」と言って去る。

賞に応募した作品はあまりにも優れていたため友人が勝手に出版し、
売れない童話作家は逆に盗作の容疑がかけられ
以後の応募を遠慮するよう、賞を与える側、委員会?から伝えられる。
その一部始終をビデオ撮りして番組にしようとしたTVディレクター。

裏切られっぱなしの作家は怒りに燃える。
そこに作家の話を聞きたくてサムが入ってくる。
作家は対象者を呪うような童話をサムに語って聞かせる。
主人公はビル。英国のロビンソン一族11代目。復讐のため魔王と契約し、不死身の体を手に入れた。
ビルがディレクター、公園の子供、友人の作家、女優を次々と残酷な方法で殺してゆく話を、作家はサムに聞かせる。

すると怯えたように聞いていたサムは覚醒し、「ビル」との二重人格者になる。
そして「ビル」は作家が語った通りの方法で殺人を繰り返してゆく、あるいは他の人間に狂気を伝播させ、殺人を行う。
「ビル」になったサムは肉体までもが変質してしまったようで、刑事の拳銃の弾を受けても死なない。
というホラー。
サム=「ビル」役の阿部サダヲの狂気の熱演、斎藤由貴の儚げな演技が光る。

クライマックス、「ビル」になったサムは実の姉の女優にも手をかけようとする。
作家は突如即興で別の童話を語り始め、危機を回避しようとする。
最後の童話の主人公は「ダニー」。
翼を持った男、ダニーが目が不自由な女の子を通じて善悪・愛を理解する話だ。
この話を聞いて「ビル」はサムに戻る・・・。


さて!
よーく考えてるねー。
「ダニー」はまず間違いなくダニー・ホッジ。
ホッジの通称は「鳥人」。童話内の「ダニー」はその通り翼を持った男の話だ。









ん?
劇の最後はビル(ロビンソン)とダニー(ホッジ)が対峙することとなる。
この組み合わせ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。








「Gスピリッツvol.11」を紐解く。
ダニー・ホッジの特集には、2005年高円寺スネークピットで行われたトークショーで
突如ロビンソン対ホッジのスペシャル・プライベートマッチが実現したことが記載されている。
両者とも上衣を着たままエキサイト、夢の対決はあっという間に時間が過ぎたよう。

しかし・・・舞台「人間風車」。
後藤氏がクライマックスでセレクションしたカードはどうしてもこの記事にダブる。
近年になって明らかになったプライベートマッチだが、偶然なのだろうか。
フッカーたるロビンソンに勝つには、
ジュニアヘビー級ながら「史上最強」の候補にも挙がるホッジを持ってきた、としたら後藤氏すごい眼力だ。
2010年の後藤氏プロデュース「王立劇場」には川田利明が出演。
大王(後藤氏のニックネーム)ワールドは特撮映画「ガス人間第一号」を舞台化し
プロレス界にも影響を与え始めている。

(2009.1101)
参考:DVD「人間風車」
「Gスピリッツvol.11」辰巳出版

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