No.401 千里眼作:小橋建太の原点は京セラ・稲盛和夫イズムだ!



いきなり「稲盛和夫」なんていう名前を持ち出すと「そんなレスラーいたか?」
「いや昔の格闘家の名前じゃないのか?」という質問や疑問符が猛者の皆さんから出るとは一切思ってません(笑)
千里眼は「JAL再生に乗り出す経営のカリスマ」として、マスコミを賑せるこの人物が説くイズムが
実はプロレス界にも大きく影響している、そしてそれが今岐路に立つひとりのプロレスラーの判断に影響するであろう、
というお話を皆さんに披露してみることと思いついたんですが、
まず前提としてこの文章を見てくれる皆さんに稲盛和夫氏が説く「経営の原点・12か条」というものを紹介しておきましょう。

1 事業の目的、意義を明確にする
2 具体的な目標を掲げる
3 強烈な願望を心に抱く
4 誰にも負けない努力をする
5 売上を最大限に、経費は最小限に
6 値決めは経営
7 経営は強い意志で決まる
8 
9 勇気を持って事に当たる
10 常に創造的な仕事を行う
11 思いやりの心で誠実に
12 常に明るく前向きで、夢と希望を抱いて素直な心で経営する

8番目ってなんでブランクなの?と思ったあなた!
実はここにプロレスファンならみんな知ってる有名なフレーズが入るんです。
もちろん「明るく、楽しく、激しく、経営する」とかいうものではありませんよ。

ところで話は飛ぶのですが(結びつくまでもう少々がまんを)、
今心配なのは「プロレスの鉄人」(ルー・テーズじゃなくて)小橋建太のことなんです。
彼はここ数年、連続する怪我、疾患に泣かされ続け、
現在(2010年1月時点)も肘部管症候群で療養中。
「鉄人」と言われてもぼろぼろにくたびれ果てた、鉄は鉄でも鋼鉄ではなくずいぶんと錆付いた鉄の鉄人なのでは、と懸念される状態だ。
しかも、療養中に腹心とも言える菊地毅や本田多聞が所属団体プロレスリング・ノアから解雇されるという冷たい風にも晒されている始末。

更に大胆に妄想すると、実は千里眼はノア経営陣のリストラ大本命は体力は下がってもギャラは下がらない小橋そのもの、
腹心たちの追放劇は「いやなら、あなたもどうぞ出て行ってください」という仲田ドラゴンや丸藤副社長からの暗示だ、と見ているんです。

そんながけっぷちの小橋建太が次の自分の進路についてどんな判断をするか、勝手に千里眼が想像しているとき、
まったく偶然にも小橋が全日本プロレス入門前に勤務したという企業の創業者の名前を思いついた次第なんです。
その男の名前が稲盛和夫。で、ふたつが結びつくわけです。

この稲盛和夫氏はご存知の方も多いはずだが、一応改めて紹介しますと、
1 日本を代表する企業のひとつ京セラの創業者であり、
世界的にも優良企業に同社を育て上げ、現在は名誉会長職にある。
2 若手起業家のための経営塾「盛和塾」の主催者。
3 「短髪の御姉様のサディスティックな詰問に動揺する役人たち」で話題になった行政刷新会議の構成メンバーでもあった。
それから名前のごとく京セラという企業は小橋の故郷、京都の会社ですね。

さて経営のカリスマが説くイズムがどんなものか、またそれが意外にも小橋建太につながっているということを紹介してみましょう、となるんです。
まず、冒頭の「経営の原点12か条」ですが、
「第2条 具体的目標を掲げ」「第3条 強烈な願望を心に抱き」「第4条 誰にも負けない努力をする」とありますね。
プロレスラーになるという強烈な願望を抱き、
その中で三冠王者になるという具体的目標達成のためにひたすらトレーニングに明け暮れた小橋の姿そのものでしょう。
また「第10条 常に創造的な仕事を行う」というのは北海道でカニと戯れ、あわや胸の一部が・・・という場面にあう、
という実に創造的な仕事をする小橋にぴったり重なるじゃないですか。

また稲盛イズムのキーワードに「1対1で対応させる」という言葉もあります。
この場合、稲盛氏は主に商取引上の「売り」と「買い」を対応させて収支を明らかにせよと説いているんですが、
猛者の皆さん、小橋のビッグマッチでの試合の流れを思い浮かべてほしいんです。

例えば三沢戦なら
1 三沢のエルボー主体の打撃技に対して小橋はチョップというこれまた打撃で返す。
2 タイガースープレックスには、ハーフネルソンスープレックスで返す。
3 場外での攻防になると奈落式タイガースープレックスを仕掛けられると花道でのパワーボムで返す。
4 三沢が回転式エルボーバットを出せば、小橋は至近距離からの豪腕ラリアットを出す。
なんと小橋の試合構成というのは実は見事なまでに、
すべての攻防を「1対1」で対応させているっていうものだとに気が付いたんです。

「利他心」という言葉も稲盛氏は用いますが、
これこそ相手の技を正面から受け、相手を光らせた上で勝つ四天王プロレスのスタイルそのものですよね。
稲盛氏は「仕事の結果」は「考え方×熱意×能力」である、とも説いています。

これは取り立てて能力のない人でも考え方がしっかりしていて、熱意溢れているならば、必ず成功するはず、という意味なんですが、
ご存知のとおり特別なアマチュアスポーツのキャリアが無い小橋が、
特待生ばかりの全日本プロレス(小橋の入門時期にも田上、高木、ジョン・テンタ、輪島といった
大相撲出身の特待生が履いて捨てるほど在籍した状況)
でメインエベンターまで駆け上ったのは、この稲盛公式の実践しかなかったはず。

このように、なんと小橋のこれまでの姿は実は京セラ・稲盛イズムの実践だったのです!
おそらく18歳で親元を離れ、初めて就職した工場で、
折に触れて上司あるいは稲盛氏自身から講話されたであろう内容が(おそらく無意識に)
小橋に強烈にインプットされていたのでは、と勝手に想像します。

「京セラ・プロレス」「稲盛和夫式プロレス」とでもいうべきものを実は実践していた小橋建太ですが
冒頭に述べたように現在(2010年1月時点)大変な岐路に立たされています。
また本人以外にも菊地や本田多聞といった腹心にも失業という現実が襲い掛かっているわけで、
それ以外にも小橋をノアの社長に推した百田光雄という存在も今何を企んでいるのか気になるところです。
その辺を組み合わせて飛躍的に言うならば、小橋建太は百田や菊地、多聞といった面子のために
「新団体結成」という決断をするのではないか、というのが千里眼の妄想なんです。

もし周囲から小橋建太に新団体結成の勧誘があった場合、
その受諾判断の基準は「闘う場を失ったものたちを救う」という理由付けになることがまず推測されます。
それは稲盛イズム曰くの「社員のための経営」動機に重なります。
さらにその「行動の動機を善と判断する」ならば行動せよ、という稲盛イズムと合致してくる、とまで考えるのです。

稲盛氏本人も、新卒で入った企業からの独立を果たしていたり、
KDDIの設立や今回のJAL会長就任の判断基準も全て「「社員のため」「動機善」だと伝えられています
また稲盛氏は健全企業の発展は税収アップという形で国家に貢献できる、という思想で若手経営者向けの経営塾を主催しています。
小橋も自ら団体を主宰し、ドリームマッチを連発することで低迷するプロレス界の起爆剤になろう、
と思い描くのではないだろうか、とも妄想は尽きません。

さてはたして、本当に小橋建太は千里眼の妄想どうりにプロレスにおける稲盛和夫イズム実践の総仕上げとして新団体を結成し、
新たな夢の対決実現でプロレス界を復興させる決断をするでしょうか。

いや、やってほしいのです。
まだシングルでの武藤戦が残ってるじゃないか。
舟木(ママ)との遭遇はどうする。
盟友・秋山との最終決着ドラマはどうなる。
棚橋や中邑にも体で伝えるものがあるんじゃないか。

それらを実現した時に稲盛和夫氏から公式コメントが出れば、これはプロレスファンも経済通もびっくり、ですよね。
稲盛氏だってWIKIなんとかの「京セラ」の項目で
「京セラ出身の有名人・小橋建太」という表現があることを知らないはずはないでしょうから。
稲盛氏の公式HPのトップで稲盛・小橋、両氏が握手する画像が掲げられる日がくることを妄想して結びとさせてください。


−蛇足−
悪い癖なんだけど、稲盛→小橋の妄想から、
稲盛和夫氏が説く「経営の原点12か条」を眺めていたら変なことに気が付いたんで書いときます。
まぁ、舞台版「ガス人間第1号」のラストみたいなもんだと思って読んでください。

その鍵は、冒頭の12か条でわざと欠落させた第8条なんですが、それは、

8 燃える闘魂

猛者のみなさん、ニヤリとしましたね。

そう、あのアントニオ猪木が新日本プロレスを設立・発展させた経過のなかに
「経営の原点12か条」と1対1で対応する事象が満載なんです。
以下にアントニオ猪木版・経営の原点12か条を勝手に作成してみました。
(作成の一部に盟友・切鮫さんの知恵を拝借しました。ありがとうございました。)

1 ストロングスタイル・プロレスの確立
2 格闘技世界一。または乱立する世界タイトル統一としてのIWGPの設立
3 打倒、ジャイアント馬場
4 忙しくても練習は欠かさない(晩年はともかく新日結成時は)
5 ギャラの高いアメリカンレスラーに頼らない。ハンセンやシンを育てる
6 借金話は坂口へ
7 どうしてもアリ戦を実現させる
8 もちろん、燃える闘魂
9 必要なら相手の腕を折るセメント行為もいとわない。
10 アリ戦・大物日本人対決・ドーム興行
11 離脱・離反した選手も許す(UWFとか長州力とか。上田馬之助なんかもそう)
12 この道を行けばどうなることか危ぶむ無かれ。踏み出せばその一足が道になる。迷わず行けよ。行けば分かるさ。

なんと小橋建太以前に、あのアントニオ猪木こそ稲盛和夫イズム溢れる経営手法で
新日本プロレスを業界ナンバーワンに育てあげたわけだ。
猪木が稲盛イズムを知っていたとは思えないって言い切ると猪木に失礼か。
猪木特有の嗅覚が自然と「経営の原点・12か条」と同じようなものにたどり着いた、としか思えません。
おそるべし、アントニオ猪木。

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(2010.0117)

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