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<あらすじ>長野の聖明女子短大に東京から赴任した心理学の教師・白井は
到着した当日学長から次期学長に推薦されて驚く。
さらに二日前に事故死したとされる学長夫人を目撃する不思議な夢を見る。
学園では寮生の失踪騒ぎ、さらに土地に二百年前の吸血鬼伝説があることを知る。
'14年4月26日、渋谷のシネマヴェーラの岸田森特集で見る。もっとも以前見ています。
シリーズ3作目、「日本の地方の洋館での怪異」というプロットは継承されています。
白木が学園に到着したその日、
死んだはずの学長夫人と失踪した女学生が迫ってくる夢を見る。
このシーン、人外の連中が迫ってくるとき歩いていないで
空中浮揚的に向かってくるのがちょっとユーモラス。
田中邦衛の校医は前半語り部的役割を担い
その後白木の協力者となるが吸血鬼に始末されたのか途中でフェードアウト。
吸血鬼の正体は、約二百年前この地に漂流したキリシタンの白人で
彼は日本で迫害されたのち改宗を迫られ。十字架につばを吐いた。
そして砂漠に追放されたが、生きるために彼は自分の血を飲んだ。
吸血鬼となった彼は娘を襲い、その血を飲んだ。
彼女が死んだあと、彼は涙を流した。
しかし彼女は復活した、吸血鬼として。
地元民は彼らを恐れ、撲殺して鉄の棺桶に入れて木の根元に埋めた。
白木と下村が言い伝えの棺桶を調べたところ、骨のかけら一つ残っていなかった。
吸血鬼たちは復活していたのだった。
と今回は映像的に吸血鬼が誕生するまでは砂漠のシーンなどかなり長く流されていて
このシリーズが不条理モノとは一線を科すこだわりといいますか深みを感じさせる部分です。
今回の吸血鬼は、男女の吸血鬼の霊魂だけが生き続けていて
肉体が崩壊する前に別の人物の顔を挿げ替えて別人として生き続ける。
可哀そうな寮生がハサミで顔の皮をはがされて学長夫人がその生皮を面のように被るシーンがある。
このシーン、特撮はチープですがグロいです、注意。
学長と学長夫人の吸血鬼はずっとそうやって生きながらえていたのだ。
だから岸田森の顔も本当の吸血鬼の顔じゃなくて前任の犠牲者の顔。
寮侵入の容疑をかけられた学長が「白木と背が同じぐらいだ」というのは
「背が同じぐらいだから(白木と)顔を差し替えても誰も気がつかない」という意味なのだろう。
感のいい観客は学長夫人の顔挿げ替えシーンでこのセリフを思い起こす仕掛けになっている。
吸血鬼が血を吸うと、寮生の部屋に飾られた水差しの白いバラが赤く染まる。
タイトルに符合するいい描写です。三作の中で一番いいタイトルでは?
血を吸う相手がほとんど女学生ということで多くのように首筋に噛みつくのではなくて
左胸の上の方、肩とおっぱいの中間ぐらい(確かに心臓の上の方だから説得力はある)を狙う。
そういうわけで三部作最終作でエロスの要素が出る。
吸血鬼の下僕の教授・吉井が白木と沼の岸辺で格闘するんだけど、
突然鳴った雷にビックリして白木に沼に突き落とされておしまい(笑)。
人外なのに雷にビックリするかよ(笑)。
それとも光が苦手だったのか。
沼に落ちた後足から一直線にずぶずぶ沈む。相変わらず吸血鬼の手下は弱い。
それからこの映画はBGMが上品なジャズで怪奇ムード、
効果音としてではなくて何か曲として成立しているような完成度だと思います。
おいらはジャズは全く分からないのですが、そんな感じがしました。
吸血鬼が絶命するシーンだけ、和風の笛が使われています。
これがシリーズ最終作なんですがオカルトのブームというのは何年周期かであるので
「日本の風土での洋館の怪異」を一貫したテーマとして
もっと作ってもらいたかったです。
女優メインのヴァージョンと、岸田森で交互に。
先に書いたエロス系描写の芽生えもグロに走らないで本作品のように格調高く育ててもらいたかった。
(2014.0506)
1974年東宝
製作:田中文雄
監督:山本迪夫
助監督:小栗康平
音楽:真鍋理一郎
出演:配役
黒沢年男:白木(聖明女子短大教師)
望月真理子: 西条久美(寮生)
太田美緒:三田村雪子(寮生)
荒牧啓子:林杏子(寮生)
麻理ともえ(阿川泰子):野々宮敬子(蒸発した女生徒)
田中邦衛:下村(校医)
佐々木勝彦:吉井(教授)
岸田森:学長
桂木美加:学長夫人
伊藤雄之助:高倉(刑事)
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