No.154
国技館震撼!馬場、三沢、ブッチャー、佐竹、藤原、サガット、青柳、佐山、小橋、キューティー、風間・・・
WKA世界空手道連盟「’88格闘技の祭典」
WKA世界空手道連盟「’88格闘技の祭典」
1988(昭和63)年4月2日 東京・両国国技館
同行者=千里眼(他に1名いたかも知れない)
異種格闘技戦、イスマル・チャンガニー(イランのヘビー級ボクサー、キックも使う)
の対戦相手はオランダのキックボクサー、ロブ・カーマンだったが負傷のため欠場。
大会数日前に代打として当時新日本所属だった藤原の出場が発表された。
全日本勢の参加はすでに決まっていたのでここに突発的ながら実に、実に9年ぶりのオールスター戦が実現!
今こうして眺めると驚愕の参加メンバーである。
青柳政司は誠心会館館長の空手家。翌年の第2回「格闘技の祭典」で
負傷引退からカムバックし当時フリーのレスラーだった大仁田厚と異種格闘技戦を戦う。
この試合が青柳がプロレスに傾倒するきっかけになったことは間違いない。
青柳はこの後FMW旗揚げでの大仁田との再戦、パイオニア戦志での剛竜馬との対戦、その後新日本に登場。
獣神サンダー・ライガーとの対戦を経て反選手会同盟(のちの平成維震軍)に参加して大暴れ。
現在はメインでタイガーマスクだった三沢光晴が社長を務めるプロレスリング・ノアに出場している。これも何かの縁か。
この日の空手トーナメントでは2回戦で佐竹の打撃をボディに受け沈むような1本負け。
その佐竹は当時は正道会館所属のアマチュアフルコンタクト空手家。
この日は優勝してリング上で元UWFの前田日明あるいは藤原喜明に対して挑戦状を読み上げる運びになっていたようだが
決勝戦で柳澤の飛び膝蹴りを顎に食らって判定負け、挑戦表明は柳澤が読み上げた(が、よく伝わらなかった)。
佐竹はこの後全日本キックでのドン・中矢・ニールセン戦でプロ初勝利を飾った後、リングスでの活躍を経てK−1黎明期の日本人エースとなる。
が・・・2002年のレッスル1でこの日メインに出場したA.T.ブッチャーとリング上で対峙するようになるとは・・・まさに神のみぞ知る未来。
13.14.15.の対戦相手同士がその後の団体分裂で別れ別れになっているというのも運命の妙か。
元祖女子プログラビアアイドル・キューティー鈴木はまだこの頃弱くて(最後まで弱かったという説もあるが)
きゃーきゃー言いながら試合をしていた。
小橋健太(当時は健の字に「にんべん」がつくリングネームだった)は丸刈りに近い髪型で新人っぽかった。
開始のゴングと同時の豪快なドロップキックは「これは」と思わせたが最後は渕の老獪なテクニックに屈した(フィニッシュはパイルドライバー)。
シューティング・佐山サトルのエキシビジョンは映画ロッキー3のメイン・テーマ曲「アイ・オブ・ザ・タイガー」でスタート。
多人数でのマスゲームみたいなウォーミング・アップから佐山のエキシビジョン。
あびせ蹴りからアキレス腱固めというどこでも見ることができない連続技、それからミット打ちなどを披露。
その後司会者の計らいで2代目タイガーマスク(三沢)がリングインして初代&2代目の夢のツーショット実現。
が、マイクを向けられた2代目タイガーは「えっ、いやあ・・・」何だか冷ややかだった。
ムエタイのサガットは当時ライト級前後のクラスでは最強と目された一人。
長いながーいワイクー(ムエタイ独特の試合前の舞踊)はリングの四方に鷲の舞。
今にして思えばハルク・ホーガンのパフォーマンスに近いものがある・・・。
試合はハードパンチをヒットさせたサガットがノックアウト勝ち。
異種格闘技戦は前述した通りロブ・カーマンが負傷欠場。
それで藤原の出場が決まったのだが、カーマンは欠場の挨拶のため、会場入りはしていたらしい。
ところがあまりにも待ち時間が長くて、いつの間にか帰ってしまったらしい。
司会者が場内放送で「ロブ・カーマンさん、いらっしゃいましたら出てきてください」と言ったのはギャグではなかったわけだ。
しかし考えてみれば「異種格闘技戦」とうたっている以上、ロブ・カーマン対チャンガニーで打撃対打撃の試合になるよりは
レスラー対ストライカーの試合になったほうがより「異種格闘技戦」のテイストは味わえたはず。
そういうわけでカーマンには悪いがまさに「怪我の功名」。
異種格闘技戦、藤原のセコンドは新日本の山田、船木。
序盤の藤原のタックルでチャンガニーが場外に落ちそう。
その後も藤原、スタンドでの打撃をこらえながら何度もテイクダウンを試みる。
がロープブレークは認められるルールなのでなかなか得意のサブミッション炸裂、までは至らない。
中盤ではグラウンドでディフェンスする藤原に対してチャンガニーが
現在総合格闘技で見られる「4点膝攻撃」のような攻撃も。
終盤藤原が関節技を決めるもチャンガニー側のセコンドの不可解なリングインからのブレークなどもあって決定打にならず。
結局5ラウンドを戦って判定なしの引き分け。
完全決着を求める観客の罵声の中、主催者側は半ば強引に「オーヴァー・ザ・トップ」を場内に響かせ
空手リアル・チャンピオントーナメント決勝戦柳澤対佐竹を開始させた・・・。
メイン前の梶原氏追悼セレモニーでは歌手のジョー山中が登場、
「あしたのジョー」のイメージ曲である「熱いバイブレーション」という曲を
梶原氏の写真の大きなボードの前で熱唱。
時計の針は午後10時を回ったか、
メインエベント、豪華なガウンを纏った世界の巨人ジャイアント馬場が両国国技館のリングに登場した!
圧倒的な存在感が場内に広がる。
パートナーは2代目タイガーマスク、中身は三沢。
黒い恐怖アブドーラ・ザ・ブッチャーはジョージ・スコーラン(マネジャーで有名なアーノルド・スコーランの息子らしい)を
引き連れて御馴染みのピンク・フロイド「吹けよ風呼べよ嵐」の不気味なテーマ曲で入場。
程なく乱戦が開始された。
馬場の豪快なチョップ攻撃は圧巻!ブッチャーはいつの間にか流血。
桟敷席が近かったせいもあるが超ヘビー級の乱戦は大迫力。
フィニッシュは馬場とブッチャーが場外乱闘をしている間に
タイガーマスクがフライング・ボディプレスからピンフォールでスコーランを押さえ込み、
本日の主役梶原ヒーローが血戦を制した。
試合内容はやや大味だったが迫力は大変感じられ満足のメイン。
大会もいろいろなジャンルが一度に見ることができるというのはそれなりによかった。
最後に馬場が登場して、ブッチャーと単純明快でしかも興奮する乱闘プロレスを見せて
場内をバラバラにして騒然とした中で散会、っていうのは何だか正しい終わり方のような気がする。
ただ時間が長かった。2時ごろ始まって終わったのは10時20分から30分、座りっぱなしでお尻が痛くなりました・・・。
(2004.0822)
1988(昭和63)年4月2日 東京・両国国技館 WKA世界空手道連盟「’88格闘技の祭典」
観衆8500人
1.シュートボクシング・カーディナル級(10分1R)
○大村勝己(判定)大津享一●
2.空手リアル・チャンピオントーナメント1回戦(3分)
○青柳政司(再延長判定5-0)向井田晴也●
3.空手リアル・チャンピオントーナメント1回戦(3分)
○佐竹雅昭(本戦一本勝ち)山崎勝美●
4.空手リアル・チャンピオントーナメント1回戦(3分)
○松井宣治(本戦判定3-0)今西靖明●
5.空手リアル・チャンピオントーナメント1回戦(3分)
○モハメッド・イスマイル(本戦判定4-0)後藤介宣●
6.空手リアル・チャンピオントーナメント1回戦(3分)
○村上竜司(再延長判定5-0)川地雅樹●
7.空手リアル・チャンピオントーナメント1回戦(3分)
○長谷川一之(本戦一本勝ち)安里昌明●
8.空手リアル・チャンピオントーナメント1回戦(3分)
○杉原正康(本戦判定5-0)原田祐次●
9.空手リアル・チャンピオントーナメント1回戦(3分)
○柳澤聡行(本戦一本勝ち)シマアク・マハタビ●
10.キックボクシング・フェザー級(3分5回戦)
マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟
○山崎通明(判定)上田健次●
11.キックボクシング・ライト級(3分5回戦)
マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟
○越川豊(判定)高野徳之●
12.キックボクシング・マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟
日本フライ級王座決定戦(3分5回戦)
○松田利彦(判定、延長1回)林田俊彦●
*松田が第4代王者。
13.ジャパン女子プロレス(30分1本勝負)
○ハレー斉藤(首固め、13:38)ミスA●
14.ジャパン女子プロレス(30分1本勝負)
○風間ルミ(原爆固め、8:30)キューティー鈴木●
15.全日本プロレス(30分1本勝負)
○渕正信(体固め、9:01)小橋健太●
*シューティング・佐山サトルのエキシビジョン
16.空手リアル・チャンピオントーナメント2回戦(3分)
○佐竹雅昭(本戦一本勝ち)青柳政司●
17.空手リアル・チャンピオントーナメント2回戦(3分)
○松井宣治(本戦判定5-0)モハメッド・イスマイル●
18.空手リアル・チャンピオントーナメント2回戦(3分)
○村上竜司(本戦判定5-0)長谷川一之●
19.空手リアル・チャンピオントーナメント2回戦(3分)
○柳澤聡行(本戦一本勝ち)杉原正康●
20.ムエタイ(3分5回戦)
○サガット・ポンタウィ(KO、3R2:43)ラクティ・ムンスリン●
21.ムエタイ・タイ国フェザー級王座決定戦(3分5回戦)
○べッダム・ルウボライ(判定)サムランサック・ムンスリン●
*べッダムが初代王座に就く。認定団体不明。
22.空手リアル・チャンピオントーナメント準決勝戦(3分)
○佐竹雅昭(延長判定5-0)松井宣治●
23.空手リアル・チャンピオントーナメント準決勝戦(3分)
○柳澤聡行(延長判定5-0)村上竜司●
24.異種格闘技戦(3分5回戦)
△藤原喜明(引き分け)イスマル・チャンガニー△
25.空手リアル・チャンピオントーナメント決勝戦(3分)
○柳澤聡行(再延長判定5-0)佐竹雅昭●
*柳澤がトーナメント優勝。
26.全日本プロレス(60分1本勝負)
○タイガーマスク、ジャイアント馬場(体固め、10:15)アブドーラ・ザ・ブッチャー、ジョージ・スコーラン●
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