「大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン」大人の怪獣映画。

大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン [DVD]

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1966(昭和41)年大映
製作:永田雅一
監督:田中重雄
音楽:木下忠司
出演:配役
本郷功次郎:平田圭介
江波杏子:カレン
夏木章:平田一郎(圭介の兄)
藤山浩二:小野寺
早川雄三:川尻
北原義郎:天野教授
藤岡琢也:あわじ丸船医・佐藤
阿部脩:あわじ丸船員

<あらすじ>
航空会社を退職した平田圭介は足の悪い兄の代わりに
小野寺と川尻とともに「ニューギニアの奥地の巨大なオパール」を回収に行く。
だが小野寺は川尻を見殺しにし圭介も手榴弾で生き埋めにしてオパールを独り占めにしようとする。
オパールだと思われていたものは千年に一度誕生する伝説の怪獣・バルゴンの卵だった。
あわじ丸船内で赤外線照射されたバルゴンは異常発達して巨大な姿を現し、神戸、大阪地区で暴れまわる。
そこに復活したガメラが襲来、2大怪獣の決戦が始まる。

子供の頃、劇場で見ました。
どこの大映かはわかりませんが劇場のでかい看板に2大怪獣の絵が描かれていた記憶があります。
昭和ガメラ作品で唯一、まったく子供が登場しない映画。
作品はダークなトーンで支配され重々しい展開。
バルゴンが緒戦でガメラに勝利した後は徹底的に人類の対バルゴン作戦が展開されるが
この辺りの本編と特撮は見事に融合している。

【本編】
圭介の兄の友人?小野寺が徹底的に悪役として描かれていて
オパールを独り占めしようと裏切って圭介を生き埋めにしようとしたり
日本に帰ってから口が滑って「こっちは人二人殺してるんだ(圭介と川尻のこと)」って言ってしまって
圭介の兄と口論になって兄とその妻を殺したり、
バルゴンを誘導するための巨大ダイヤモンドを奪おうとしたりまさに反省の色なしの悪行の限りです。
その行為がたたってか最後はダイヤごとバルゴンに飲み込まれてしまうんですが。

バルゴンは本来成長するまで時間がかかるんですが
小野寺がオパールだと思って持ち込んだあわじ丸の船内で卵を磨いていると
船員が入ってきて強引に麻雀に誘う。
上着のポケットに無造作に入れられた卵に、小野寺が使っていた水虫治療の赤外線が当たりっぱなしになって・・・
バルゴンが誕生してしまいました。

小野寺を麻雀に誘った船員は・・・体格といいどう見ても阿部脩ですね。
当時大映で俳優をしていたらしくて、赤胴鈴之助作品でも野人の役で出演している。
このあわじ丸事件で生き残ってその後国際プロレスの笛のレフェリーになったのかどうか・・・。

それからバルゴン対策で奔走する天野教授の助手の林って役名の人が
何回も天野教授から「落ち着いて」と注意されるところが笑える。

あとは・・・バルゴン対策でニューギニアの村から来日したカレンが
事の経過を知らされていないのかクライマックスまで全然ガメラを認知していない様子なのは謎です。

【特撮】
バルゴンが四足歩行怪獣の本領を発揮して大暴れ。
四足歩行怪獣の最大の難点は後足、特に膝が中に入っている人間の形になってしまうことですが
正面からのシーンの多用、足を木や建物から隠すなどの工夫をして極力目立たなくしています。
それでも見えるシーンでは見えますが、その辺は仕方ないと考えます。

ガメラとバルゴンの大坂城での対戦は
横に長いスクリーンで真ん中に大阪城の天守閣を配置してその両サイドに
ガメラとバルゴンを向かい合わせるという効果絶大の構図。
しかもこの作品だけガメラも最初は四足歩行していてバルゴンと睨み合う場面で
両者の目線が合っているような感じがして迫力がある。
ガメラの火炎は本当の火を放射しているのでこれまた独特の迫力。
攻防はバルゴンの冷凍液噴出でガメラが大坂城ごと凍らされてしまってバルゴンの圧勝。
だが不用意に近づいたバルゴンにガメラが最後の力を込めて手刀一閃!
爪がバルゴンの顔面を貫いて紫色の血が流れる。

この後の昭和の対ガメラ怪獣は
バイラス、ギロンのように鋭角的な頭部で攻撃してきたり、
ギャオスのように超音波メスを使ったりと
東宝のゴジラ作品とは対照的にガメラが傷ついたり流血する展開が多いが
この作品は対戦怪獣のバルゴンが出血する場面しかない。
まあバルゴンの武器は冷凍液と悪魔の虹(殺人光線)なのでガメラを流血させる方向にならないということと
おそらく次の作品から「ガメラを流血させる方が
見てる子供が危機感を持ってガメラを応援する」という意見が出たのかも知れません。
そう言えば平成三部作も「切れる」「刺す」武器の相手が多いですね。

第1戦のあと人類のバルゴン対策が延々と続くのですがどれもバルゴンを滅ぼすまでに至らず、
そこで冷凍が解けたガメラが飛来して第2戦が行われます。
ですがバルゴンは人類のヘリからの水噴霧作戦で冷凍液が出せなくなっていて(バルゴンは水に弱い)
直前に自分の虹を鏡で跳ね返される人類の作戦で背中に大ダメージを負ってしまっていました。
なので肉弾戦で戦うしかなく、ガメラに首を噛まれたまま琵琶湖に引きずり込まれ
水中で皮膚が溶けて紫の血が流れ出し絶命します。
断末魔で琵琶湖からバルゴンの虹が出てくるのはガメラシリーズ独特の作風で、ギャオスでも見られます。

かように独特の迫力に満ちた作品で、「子供が出る昭和ガメラ」とは一線を科す出来です。
音楽もライトモチーフがある作風ではありませんが迫力があって
作曲家は「水戸黄門」なども担当されているそうですね。

(2014.1013)

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