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<あらすじ>台風8号の影響でインファント島に遭難した第二玄洋丸の乗組員は、
インファント島が核実験場であったはずなのにまったく放射能被害の形跡が見られなかった。
乗組員の説明により無人島のはずのインファント島に原住民がいることが明らかになり
核実験を行ったロリシカと、日本が共同で調査隊を編成した。
島で調査隊は謎の小美人と遭遇したが、帰国した調査隊は島の平和を考えその存在を公表しなかった。
しかし調査隊のスポンサーだったネルソンは部下と共に再び島に行き、小美人を捕え日本でショーに出演させる。
島では小美人の歌声によりモスラが孵化し、小美人を奪回するために進軍を開始する。
おいらが物心ついて怪獣映画などを見始めた時期はすでに「怪獣対怪獣」バトルの時代に入っていたので
単発モノの怪獣映画を見たのは後のことでした。
なので昭和29年の「ゴジラ」も「空の大怪獣ラドン」も、そしてこの「モスラ」も見たのはずっと後。
特にこの「モスラ」はテレビ放送時と劇場リバイバルで各1回ずつと、「ゴジラ」「ラドン」に比べると極端に見た回数が少なく、
今回ディアゴスティー二のDVDを購入しての鑑賞がじっくり見るのはおそらく初めて。
近年「大坂城物語」「悪い奴ほどよく眠る」で注目していた香川京子が出てるってのも知らなかった。
で映画ですがこれはまぎれもなく平和讃歌であり、
東宝初の(いや日本初かも)怪獣と人類の共存が達成された画期的な内容です。
ストーリーも面白いし映画全体が陽性の出来で、
特撮映画出演も珍しいフランキー堺のコミカルしかしヒューマンライクな役・演技も上等。
悪役ネルソンも今見るとスタイリッシュなせいかそれほど敵意が生まれませんし。
確かに小美人誘拐してショー行うのは反社会的行為かもしれませんが、
でも小美人のショーも見たいしな。
ショーで舞台に小美人が登場して「モスラの歌」歌ったシーンは涙ものでした。
その後のピーナッツの和服のコスプレもなかなか。
特撮部分ですが、モスラがでかい。
幼虫は進撃してビルを破壊するんですが、顔の高さだけで30〜40メートルぐらいありそう。
そして東京タワーに取りついて繭を作るんですが、
尺からして「逆襲」のキングコング&メカニコング、平成ギャオスぐらいは簡単に踏みつぶしそうな巨大さ。
資料によりますと幼虫の着ぐるみは7人ぐらいの演者がムカデ競走よろしく並んで入ってたようですが、
精巧なミニチュアセットと合わせて迫力満点。
さらに東京タワー周辺のセットの緻密さ。
成虫モスラが繭を破って登場し羽化するシーンはちょっと短いですが、
飛ぶシーンの羽のしなり方が特筆モノ。
とても優美に飛ぶモスラ、下は突風で大変なことになってますが。
以下は、まあちょっと気になるところ(笑)。
●小泉博の中條博士がインファント島で「吸血植物」に巻きつかれて気を失うシーン。
「吸血」、してるかなあ…?まあ特撮映画は意味なく「吸血」をつける場合がありますので。
「マタンゴ」も「吸血」とか宣材にある。
博士は「小さな人(小美人)に助けてもらった」みたいなこと言ってましたが
彼女らは何もしないで見てるように見えるんだけど(歌声で植物を撃退したのか?)
●調査隊帰国後、中條邸で博士と善ちゃんが会話してるシーン、
F.堺のうしろの階段から誰か下りてくる足が映ってる(今はなきケイブンシャの「ゴジラマガジン」でも指摘されてました)。
でも展開はその後も博士と善ちゃんの二人っきり。泥棒?(笑)
●モスラ幼虫は太平洋上で爆撃を受けた後行方不明になるが、突如第三ダムに出現。
善ちゃんも「どうしてこんなところに?」とセリフで申してますが、
そりゃ見てる方も?です。
海底から土を掘って地底からダムに出たか、テレポートしたか、どっちかしか頭に浮かびません。
でもあの顔面突進で土掘れそうもないし。当時から「地底怪獣」と仲が良かったのでしょうか?
第三ダム崩壊のシーンは善ちゃんが大八車が橋の上に落としてしまった赤ん坊を
ダッシュで引き返して救出するシーンも感動的。
笑える場面。
●善ちゃんがネルソンの部下と1対5で乱闘になるシーン。「話せばわかる」とか言って…。
●中條博士の弟が小美人救出のため楽屋裏に侵入。
その時のドタバタでネルソンが部下に「バカ!」連発。日本語うまいよな。
ラスト近くの中條博士の「モスラのマークは十字架に太陽の逆光がモデル」っていうひらめきから
マークを空港に描いてみる、ってのも賭けでしたよね。
で平和が戻って終わる。写真撮り忘れてしまった花山女史も帰国したらデスクに大目玉、のはずなのに笑って終わる。
明るく終わる。これがいい。
インファント島のシーンで神の声?みたいなナレーションが聞こえる場面が2回あり
画面は碑文の文字を追いかけているのでそこに書かれている文章だと思うが
最初がモスラが卵から孵化するシーンで「モスラよ、永遠の命よ(中略)今甦れ」
次が最後のシーンで「平和こそ、永遠に続く繁栄の道である」と聞こえる。
その時石碑がスライドしてるように見え神秘的な効果を出している。
モスラ初登場なので孵化、羽化など他怪獣とのバトルシーン以外のモスラの魅力が全て見られます。
まあ先にも述べましたが羽化のシーンだけは短く、平成以降の作品の方が時間掛けてますが。
幼虫は地上進撃と東京タワーに絡むシーン、
成虫は羽のしなる所が素敵ですね。
「モスラ対ゴジラ」、「ゴジラxモスラxメカゴジラ 東京SOS」は直接の続編であり、
本作を見てから見るとより楽しめると思います。
「東京SOS」は小泉博の中條博士が再登場しますし、
モスラを呼ぶシーンの再現も素晴らしい。
(2009.1231)
1961(昭和36)年東宝
原作:中村真一郎、福永武彦、堀田善衛 『発光妖精とモスラ』
脚本:関沢新一
音楽:古関裕而
監督:本多猪四郎
特技監督:円谷英二
出演:配役
フランキー堺:福田善一郎(スッポンの善ちゃん=日東新聞社会部記者)
小泉博:中條信一(言語学者)
香川京子:花村ミチ(カメラマン)
ジェリー伊藤:クラーク・ネルソン(調査隊スポンサー、興行師)
ザ・ピーナッツ(伊藤エミ、伊藤ユミ):小美人
上原謙:原田博士
志村喬:天野貞勝(日東新聞社社会部デスク)
田島義文:防衛軍指揮官
佐原健二:海上保安庁ヘリ操縦士
平田昭彦:核総合センター院長
小杉義男:第二玄洋丸船長
ハロルド・コンウェイ:ロリシカ大使
オスマン・ユセフ:ネルソンの部下
中村哲:ネルソンの部下
広瀬正一:第三ダム監視員
ロバート・ダンハム(ダン・ユマ):ロリシカ政府関係者
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