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昭和37年の「キングコング対ゴジラ」に続く対決作品。
「キングコング対ゴジラ」は日米決戦だったが
「モスラ対ゴジラ」は日本初の「デビューが国内単独作品(タイトルが単一怪獣名)登場同士による初対決(タイトル)」であり
今後も「ゴジラ対バラン」あるいは「対ドゴラ」
「対ガメラ」「対大魔神」
「対ギララ」「対ガッパ」
などのタイトルの作品が実現しない限り唯一の存在。
あらすじは昭和36年「モスラ」と途中までそっくり。
台風8号(8号も「モスラ」と同じ)の影響でインファント島からモスラの卵が日本に漂着。
それを興行師が浜の網元から買い取り、「卵から何が生まれるか?」と興行の予定を立てる。
小美人が「卵を返して下さい」と興行師に懇願するが、
彼らは小美人を手に入れて彼女らも興行に組み込むことしか考えない。
(「モスラ」では小美人が捕まりモスラが救出に来るが、今回は卵が囚われの身になり、小美人が助けに来る)
新聞記者、女性カメラマン、学者の三人が何とか小美人と卵を助けようと考える。
ゴジラが出現するまではそんな展開で悪役は興行師の熊山と虎畑。
佐原健二の悪役は「海底軍艦」でもあるが珍しいと思う。
ゴジラ騒ぎで興行も吹っ飛んで仲間割れ。
ホテルの部屋で乱闘になり熊山マウントポジションから顔面パンチ。虎畑流血。
熊山金庫の現金を奪おうとするが虎畑ピストルを持ち出して熊山を射殺。
虎畑現金持って脱出しようとするがゴジラにホテルを破壊されて瓦礫の下敷きとなる。
この時の佐原のコケ方→足が上がってズッコケー、って感じにひっくり返るシーンは
過去のMOOKでもその面白さが指摘されている。
ゴジラ初登場、干拓地の泥の中から出現するシーンは迫力。
今回のゴジラは動きにユーモラスな部分が多々あって、
鉄塔に尾を巻き付けて引っ張ろうとしたら尾が抜けて前のめりに倒れ、
その上に倒れた鉄塔が落ちてくる、とか
名古屋城では濠に足を取られて城に倒れこむとか。
ゴジラと成虫モスラの対決シーンは燥演対着ぐるみという難しい組み合わせを
意外とコマ割りなどを駆使してうまく処理。ちゃんと戦っているように見える。
老衰とゴジラの攻撃によるダメージで力尽きる成虫モスラが最後に卵のところまで飛んで行って
翼を卵に乗せ寄り添うように、卵を守るようにして息絶えていくシーンは心を打つ。
成虫モスラが斃れた後、自衛隊の作戦が進む。
高圧線と人工放電によりA作戦は鉄塔をゴジラに破壊されて失敗。
次いでB作戦。ブルドーザーによる足場づくりの描写が丁寧。
空中からヘリでゴジラに向けて帯電ネットを落とし鉄塔から放電。
倒れてのたうちまわるゴジラ。
自衛隊員の「よしっ、勝てるぞ」藤田進の司令官も「うむ」とうなずく。
見る側に高揚と期待が生まれる。
しかしトドメとばかりに電圧を上げたばっかりに
巨大なバッテリー?がショートし電線が切れてしまう。
電撃に耐え抜いたゴジラは起き上がり熱線で鉄塔や戦車を真っ赤に溶かしてしまう。
自衛隊、昭和作品では対ガイラに匹敵する活躍で金星目前でしたが残念。
このB作戦のシーンでは「ゴジラの動機」がフルに聞くことができ貴重。
そう、音楽も充実。伊福部昭氏による初のモスラ作品。
モスラ関係は小美人、卵、モスラとライトモチーフが用意されているし、
ザ・ピーナッツによる「聖なる泉」は幽玄、儚さを感じさせ
「マハラ・モスラ」は力強さと神秘性が強調された名曲。
61年古関祐而氏の「モスラの歌」もアカペラで歌われる。
先に述べた「ゴジラの動機」とも合わせて
モスラ登場作品の中でもこと音楽という点ではナンバーワンではないだろうか。
ストーリー展開の節々にはほぼ星由里子が絡んでいる。
干拓地でのゴジラの皮膚?発見、ゴジラ出現の目撃、
インファント島での原住民の説得など。
お笑い部門ではまたしても「ドデカ」藤木悠が大活躍。
田崎潤のデスクとの卵をめぐるやりとりはいちいち笑えるし(しょっちゅうゆで卵食べてるし)、
ゴジラ対成虫モスラが終わった後、つかまって見ていた自衛隊のジープがそのまま発車して…(笑)。
しかし彼がポロっと言ったひとことが、ゴジラ撃退のためにモスラを呼ぶきっかけとなる。
(2010.0103)
1964(昭和39)年東宝
脚本:関沢新一
音楽:伊福部昭
監督:本多猪四郎
特技監督:円谷英二
出演:配役
宝田明:酒井市郎(毎朝新聞記者)
星由里子:中西純子(同カメラマン)
小泉博:三浦博士
藤木悠:中村二郎(毎朝新聞記者)
田島義文:熊山(ハッピー興行社)
佐原健二:虎畑二郎(熊山の黒幕の興行師)
田崎潤:丸田毎朝新聞デスク
藤田進:対策本部長
沢村いき雄:神主
ザ・ピーナッツ:小美人
小杉義男:インファント島長老
谷晃:網元
大村千吉:漁民
宇野晃司:漁民
田武謙三:県会議員
佐田豊:校長
八代美紀:分校の女教員
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