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おいらがまだ子供だった頃、生家のそばに東宝映画館があった。
怪獣映画の封切りが近付くと、映画館の入口はポスター、ロビーカード、看板などで飾られた。
ある時、次回作「ゴジラ対メガロ」を予告する大きなポスター(ボード?)が貼られた。
ゴジラ、ガイガン、昆虫型の新怪獣・メガロらとともに並ぶ
ロボット?みたいな中途半端なウルトラマン?みたいな奴…。
4匹の怪獣はポスターの中で前作「ゴジラ対ガイガン」よろしくマンガの吹き出しを使って自己紹介。
ロボット?みたいなそいつは吹き出しで「僕はレッド・アローン」と名乗っていた。
レッド・アローン…聞いたことあるなあ…。
幼少のおいらが頭の中の引き出しを探ってみると
スタジオから放送されていた怪獣のテレビ番組(番組名不明)で、
一般応募した怪獣の中から選ばれたそれがレッド・アローン。
でデザイン画が公開されると同時にすでに制作されていた着ぐるみのレッド・アローンがスタジオに登場。
その姿は…翼を持った鳥+昆虫+人型ロボットが赤、銀、黄色、青で着色されたような感じ。
でもレッド・アローンはそれっきり姿を見せることがなかった。
その「レッド・アローン」がゴジラの横に突如登場。
翼はなくなりより人型ロボット的なデザインとなったそれは
最初に見た時の印象と大きく変わったものとなり
面影は派手な色彩の胸部にしか感じられなかった。
笑っているかのように口の両へりを持ち上げた銀色の般若顔。
そしてさらに封切りが近付くと、
レッド・アローンは何故か「ジェットジャガー」と名乗っていた。
このもろヒーロー然としたロボットみたいな奴は何者なんだ?結構頭の中に疑問符が湧いた。
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映画が始まると、某国の原水爆実験で世界各地に影響が。
怪獣島にも被害が及び、火山噴火、地割れでアンギラスがひっくり返る。
ゴジラが右往左往の大騒ぎ。
海底の地下に王国を築いていたシートピア人にも被害が及び、
報復を宣言したアントニオは守護神・昆虫怪獣メガロを地上に派遣する。
…何で海底王国なのに昆虫怪獣?
それに何で核実験を行ったのではない日本に攻撃?
両手を合わせたら手がドリルになって回転し地底を掘って進む、ってその回転たぶん構造上ムリ。子供だったおいらだってわかった。
シートピア人はメガロを誘導する水先案内人にジェットジャガーを奪って使用。
ジェットジャガーは青年科学者・伊吹吾郎(スゴい名前…)が製作したロボット。この時点では等身大。
等身大なんだけど、ポスターとかロビーカードではメガロやガイガンと戦ってるシーンがあって
さらに謎が謎を呼ぶ…まあポスターとかは映画の中ではないシーンとかがあるからなあ、
だからジャガーが大きくて怪獣と戦ってるシーンは映画では出てこないシーンなんだろうなあ、などと考える。
で伊吹がジェットジャガーを奪回して、怪獣島にゴジラを呼びに行かせようと命令しようとすると
ジャガーが勝手に「オッケー」のポーズを手でして飛び立ってしまう。
伊吹たちは「おかしいなあ?」って感じ。
で怪獣島に行ったジャガーは、ゴジラと会話。
怪獣とロボットが会話、意思の疎通をするってのもすごい。
もっとも「ガイガン」の時みたいな吹き出しは出なかったが。
伊吹がゴジラを呼んだことを受けたアントニオは、
シートピア海底王国と友好条約を結んでいるM宇宙ハンター星雲人に連絡して宇宙怪獣ガイガンの応援を求める。
…んー、何で正体ゴキブリのハンター星雲人と海底王国が友好関係を結んでいるかなあ。いったいどこで知り合ったんだ?
そして連絡の指示をしたアントニオのダメ押しの台詞、「イースター島経由でな!」
何と!モアイが立ち並ぶ神秘の島は通信基地だった!まじかよ…。
んで前後関係は忘れたが、ゴジラが来るまで自分が何とかしなきゃ、とか自我を持ったジャガーが考えたらしく
突如ジェットジャガーが巨大化する!
うわっ!何でえ?
それも伊吹が「良心回路を持ったジャガーが自我に目覚めて〜」などと適当に解釈述べておしまい。
いくら何でもタダのロボットが巨大化しないだろ。
もうすごい行き当たりばったり感の強いストーリーに、子供だったおいらも絶句!
「このまま、このまま続けて見ていていいもんだろうか…でも(正当な)ゴジラの映画だしなあ…」
バッタもんならすぐギブアップだけど、東宝の映画館でやってるゴジラ映画だしなあ…
まあ子供だから途中で抜けるなんてもったいないことは出来ずに鑑賞続行。
んでガイガン宇宙から来るんだけど、自衛隊(防衛隊?)がメーサー殺獣光線車両繰り出す。
…って「サンダ対ガイラ」からまんま持ってきたライブフィルムなんですがね。
うまくカット割りで合成してる。
…それだけならまだいい。
進撃するメガロとガイガン。メーサー砲が準備される。
すると今まで二足歩行だったガイガンが突然伏せる。
メーサー光線が発射されるとガイガン這って逃げる。
…違うよ。
画面を暗くしているからわかりづらいけど、
光線で攻撃されて逃げ回ってるのはガイラですう!
「サンダ対ガイラ」のフィルムを流用してるんですから!
そのまんま見てたら、途中でガイガンがガイラに化けたという解釈しかできません。
んー、いかに低予算で他の映画から持ってきた場面をつぎ足したと言ってもここまで見苦しいのはどうかなあ。
強引に押し通しちゃう姿勢にはデリカシーも何んにも存在しないです。
そんなこんなでゴジラが到着、怪獣タッグマッチとなる。
一時はメガロが口から吐き出した爆弾みたいので火に取り囲まれるゴジラとジャガーだったが
(この場面、火に追い詰められたゴジラとジャガーが背中合わせになって防御の姿勢をするシーンも
お互いの意思の疎通が見られる<見られなくっていいのに!>。)何とか勝利。
メガロは地底に、ガイガンは宇宙に逃亡。
んでゴジラとジャガーが握手。ゴジラは島へ帰り
ジャガーは投身大に戻り、
子門真人の歌をバックに子供を肩車して伊吹らとともに歩いて行ってハイ、おしまい。
あとロビーカードにはゴジラが電柱を咥え大木を刀になぞらえて「おひけえなすって」
「木枯らし紋次郎」みたいなポーズを取っている写真があり
こりゃ子供だって紋次郎だとわかるし馬鹿にしてんのか?とも思いましたが
映画の中ではさすがにそのような紋次郎ゴジラのシーンはありませんで、
今思うとそんなヘンなものを見ておきたかったか見なくて良かったか複雑です。
まあジャガー巨大化、ガイガン→ガイラですから紋次郎ゴジラが出てきても
もうその時間帯は免疫ついちゃって何とも思わなかったかも知れません。
まあ「ゴジラ対ガイガン」の、吹き出しでゴジラとアンギラスがしゃべるシーンから1年後の作品がこれで、
しっかも今回はゴジラの造形も何だか顔に迫力がなく(のちに「メガロゴジラ」と命名された着ぐるみ)
この映画で「もうゴジラ見るのもギブアップかなあ」と思ったんですが
次の年に「ゴジラ対メカゴジラ」のポスターを見たらメカゴジラのカッコよさに気を取り直して
「もうちょっと行けそうか?」などと考えた子供時代でした。
それからこの映画は
水野久美様とかひし美ゆり子さんのような素敵なお姉さんがまったく出てこない、ってのも大きな減点です。
ということでこんなに突っ込みどころがあるゴジラ映画は他にありませんでしょう。
この映画、よく成立したなあって感じです。
はっきり言って楽しく見れるかどうかは本人の気持ち次第、です。
その東宝はもう随分前、まだおいらが子供だった頃に閉館してしまいました。
閉館の時、東宝の人からロビーカードをもらったんです。
…はああ、この映画の写真でした。
そういう意味では忘れがたい映画なんだがなあ。
【エヴァに続く余談】
それからずーっと後に再放送の「新世紀エヴァンゲリオン」(テレビ版)見たら
ある重工会社が政府に、人が搭乗するエヴァより安全な
原子力で動くロボットを売り込むがロボットが暴走し始める、っていう話の回があるんだけど
そのロボットの名前が「ジェット・アローン」!
…混ざってる!
勿論暴走するジェット・アローンが、自我を持って行動し始めたジェットジャガーのパロディであることに議論の余地なし!
にやけた口元そっくりだあ!
エヴァが使徒以外と対峙する唯一のエピソードなんだけど、
劇場版にも登場しないしこれももう忘れ去られてる話みたいだなあ。
まあ東宝怪獣界・エヴァ界の黒歴史たる
レッド・アローン→ジェットジャガー→ジェット・アローンという変遷を偲んで一杯やるのも一興かと(違うよ)。
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<あらすじ>
…もういいよ。
1973年東宝
製作:田中友幸
監督:福田純
特技監督:中野昭慶
脚本:福田純、関沢新一
音楽:眞鍋理一郎
主題歌:「ゴジラとジェットジャガーでパンチ・パンチ・パンチ」
作詞:関沢新一
作曲:真鍋理一郎
歌:子門真人
出演:配役
佐々木勝彦:伊吹吾郎
川瀬裕之:伊吹六郎
林ゆたか:陣川
森幹太:防衛隊前線本部長
ロバート・ダンハム:シートピア海底王国司令・アントニオ
納谷悟朗:アントニオの声
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