新品価格 |
<あらすじ>パシフィック製薬の宣伝部長・多胡は自社番組の視聴率アップのため、
南海の孤島から「大いなる魔神」キングコングを捕獲して日本に連れてこようとする。
一方、北極海でゴジラが復活、原潜シーホーク号を撃沈して日本に上陸。
日本でキングコング対ゴジラの世紀の激突が展開される。
史上初・日米一枚看板の巨大怪獣同士による世紀の対戦。
コングの権利が複雑らしいのでおそらく今後二度と実現しないのではないか。
いろいろな資料から「ルー・テーズ対力道山のプロレス世界選手権」がモチーフとされているよう。
「アメリカから世界的に有名な強豪を招聘し、その時点での日本側の最強者と戦わせる」スタイルは
先の「テーズ対力道山」
(当時はプロレスが今以上に世間的に認知されていた時代で、
おそらく当時の日本で「力道山」を知らない人はいなかったのでは?)、
そしてこの「キングコング対ゴジラ」
のちの「モハメッド・アリ対アントニオ猪木」の3例しかないのではと思う。
また再見するとゴジラが豊登がやる手を交差させて脇の下で音を出す「かっぽんかっぽん」をやるんだけど、
あのムーブをやるゴジラははこの映画でしか見れない。
昭和37年という時代性(力道山が存命で空前のプロレスブームが続いていた)を考えると
この映画を語る上で「力道山プロレス」の存在は外せない。
またプロレスだけでなくテレビ番組での宣伝合戦を繰り広げる製薬会社の名前も「セントラル」「パシフィック」と
日本のプロ野球の2リーグの名前で対立構造をふくらませる。
本編は意外やコメディで、宣伝部長の多胡(たこ=ファロ島で大ダコ登場時藤木悠が間違える場面も)が毒ガス出しまくり。
しかしギャグはハイテンションでテンポよくすべらない(有島一郎の手の動きが注目、よく手が動く)。
「宣伝」「視聴率」がいかに優先されるかという現代でも通じる消費社会への風刺とも受け取れる作風。
だが何で「2大怪獣世紀の対決」なのにハードなシナリオじゃなくてコメディなんだろうか。
コングとゴジラの対戦が完全決着がつかないで終わることで暴動が起きることを防ぐため、
あらかじめ殺気立ったステージを用意しないでお笑いでユルく緩和させたのだろうか
(猪木対ウィリーの後の「ヤマハ対おかまコンビ」のタッグマッチみたいに、ちょっと違うか?)。
さて、那須における2大怪獣の初激突は熱線放射のゴジラが圧勝。
しかしこの後防衛隊が設置した高圧電流鉄塔による防衛線「100万ボルト作戦」でなぜかゴジラは防衛線を突破できず。
逆にコングは電気を吸収して帯電体質?に。
何でこの映画のゴジラは電気に弱いのだろうか?
昭和29年の第1作、そして第4作「モスラ対ゴジラ」でも高圧線は突破したのに?
コングの身長をを45メートルにグレードアップしただけではゴジラに通じないので
ゴジラを電気に弱い設定にして逆にコングを電気に強いとしてハンデ埋めてったか。
富士山麓における第2ラウンドでも序盤はゴジラ優勢。
コング石投げから回転してのタックルが自爆して自分で頭打って昏倒。
そこにゴジラが石を蹴ってコングを埋没させてしまうが
突如雷が発生し、落雷によりコング電気を帯びて復活。
コングがゴジラに触れるとアニメーション合成で電気の「びりびり」が表現されるんだけど
この作品のゴジラは電気に弱いからこれ以降はコングに圧倒されっぱなし。
でもこの電気のびりびり、昔っからゴジラの脇の下をコングがくすぐって
ゴジラがもがいてるようにおいらには見えてしまう。
終盤コング一本背負い、木をゴジラの口に突っ込む攻撃。
さらに突進してのヘッドバットでゴジラ大きく吹っ飛ぶ。
崖の上に追い込まれたゴジラは熱海城の後ろへ。追うコング。
2大怪獣に挟まれた熱海城はあっという間に崩壊!
組み合った2大怪獣はそのまま海に落ちていき、両者リングアウト!(笑)
…結末までプロレスです。
「終」の字が出てから両怪獣の咆哮が聞こえ「まだ終わってないぞ」みたいな余韻をもたらす。
大猿と二足歩行の巨大爬虫類の取っ組み合いは大変絵になり、
幼少の頃この映画のパロディみたいなものを漫画などでよく見つけたものです。
まさに大娯楽作品。
【その後のパシフィック製薬?】
コングに壊された国会議事堂や熱海城の弁償請求があって会社が傾く。
牧岡博士が報告したファロ島の住民が飲んでいた「赤い汁」を製品化して発売、
起死回生の一発になるか?なんてストーリーがあったらね。
【その他】
CMでドラムを叩く高島父。
「イエーイ」ってキメる笑顔(笑)。
でもここでドラムを叩いてるってのは後半で浜美枝をコングから救出する時の
太鼓をたたくネタにつながってくる。
浜美枝の絶叫っぷり。
1.東北本線がゴジラ出現でストップして、救援のトラックに乗り遅れると
パニックになったのか?
酔っ払ったように一人でふらふらしながら河原をさまよう。
んでざっぷりと川の水につかる。
かなーり危ない人みたい。
2.丸ノ内線で避難しようとすると彼氏の佐原健二と満員電車でドアが閉まり離れ離れ。
でその電車が運悪くコングに捕まってしまい、コングの手の中に。
「助けてー、%E6%B5%9C%E7%BE%8E%E6%9E%9D・・・」
途中で何言ってんだかわからなくなるぐらい強烈な絶叫でコングの手の中でぐにゃぐにゃ。
見てるこちらも可哀想な気分と可笑しい気持ちが複雑に交錯。
ゴジラへの「埋没作戦」で落とし穴を掘る防衛隊。
パワーショベルやブルドーザーが動くシーンのかかるメロディーは
のちの「キングコングの逆襲」のメカニコングのライトモチーフに似ている。
また平成の「ゴジラvsメカゴジラ」でもサウンドトラック内の未使用曲で
メカゴジラのメロディーとこのメロディーが合体したような曲がある。
イメージ的に「機械が動いてる」シーンの曲なんですね。
コングを富士山麓まで輸送する方法として気球が使われるが、
当時はアドバルーン広告というものがあったから
気球で浮遊するコングの下に「パシフィック製薬」の広告がぶる下がっていたら
もっと笑えることができたでしょう。
浜美枝と若林映子ってまんま日本ロケ敢行の「007は2度死ぬ」にスライドするんだけど、
これって007の関係者がアメリカで「キングコング対ゴジラ」を見たからなんだろうかな。
昭和37年東宝
監督:本多猪四郎
脚本:関沢新一
音楽:伊福部昭
特技監督:円谷英二
出演:配役
高島忠夫:桜井修(テレビ局員)
佐原健二:藤田一雄(製糸会社社員)
藤木悠:古江金三郎(テレビ局員)
浜美枝:桜井ふみ子(修の妹、藤田の恋人)
若林映子:たみ江(ふみ子の友人)
平田昭彦:重沢博士
田崎潤:防衛隊総監
松村達雄:牧岡博士
松本染升:大貫博士
有島一郎:多胡(パシフィック製薬宣伝部長)
大村千吉:通訳コンノ
小杉義男:ファロ島の酋長
沢村いき雄:ファロ島の祈?師
根岸明美:チキロの母
堺左千夫:大林(パシフィック製薬宣伝部員)
田島義文:第二新盛丸船長
田武謙三:テレビ番組解説者
(2010.0131)
偏食ムービーに戻る
目次に戻る
SAMEDASU扉に戻る
「モスラ対ゴジラ」はこちら
「怪獣大戦争」はこちら
「怪獣総進撃」はこちら
「ゴジラ対メガロ」はこちら
「ゴジラ対メカゴジラ」はこちら
「メカゴジラの逆襲」はこちら
「ゴジラ(1984年版)」はこちら
「ゴジラvsビオランテ」はこちら
「ゴジラvsメカゴジラ」はこちら
「ゴジラ2000 ミレニアム」はこちら
「ゴジラxモスラxキングギドラ 大怪獣総攻撃」はこちら
「ゴジラxメカゴジラ」はこちら
「ゴジラxモスラxメカゴジラ 東京SOS」はこちら
「ゴジラ・ファイナルウォーズ」はこちら
「シン・ゴジラ」はこちら
ハリウッド版「GODZILLA」(トライスター版)はこちら
ハリウッド版「GODZILLA ゴジラ」(レジェンダリー版)はこちら