「メカゴジラの逆襲」存在感薄い没落ゴジラと真船桂の悲劇性。

メカゴジラの逆襲 [DVD]

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<あらすじ>恐龍(チタノザウルス)の存在、
そして恐龍をコントロールできる研究を完成する宣言をした真船博士は学会を追われる。
ブラックホール第3惑星人は真船博士に近づき、
コントロール装置操作中の事故で死んだ博士の娘・桂をサイボーグとして復活させ、
天城で1号の残骸から創造したメカゴジラ2のコントロール装置として使うことを博士に強要する。

メカゴジラ登場第2作目なのでゴジラ第2作目「ゴジラの逆襲」に引っかけてのタイトル命名みたいな気がしますが、
ゴジラシリーズ史上初そして今のところ唯一の、敵役怪獣の名前しかないタイトル
(「ゴジラ」という単語はありますが意味的に「メカゴジラ」)。
この辺りに昭和後期のゴジラの没落っぷりが見て伺えます。着ぐるみも「メガロゴジラ」の延長でカッコ悪い。

ゴジラは侵略側2大怪獣の添え物みたいな感じで、ストーリー上はあまり存在感がありません。
超音波と妨害電波で操縦が出来なくなった2大怪獣を自衛隊の特殊兵器が片付ける、でも充分ハナシは成り立ちます。
むしろ違和感ありありの地球防衛側の迎撃兵器的なゴジラ、を登場させないで自衛隊が勝利した方がまっとうなハナシという感じがします。
でもそれじゃ腐っても看板、のゴジラの出番がないので・・・。
内容は久々の監督・本多猪四郎、音楽・伊福部昭でストーリーは桂の悲劇性主体でお子様向けではなく
まあ後述する子供がゴジラ呼ぶと唐突に登場するシーンとか、チタノザウルスの麦踏みなど失笑の場面もありますが
一之瀬と桂のほのかな出会い・恋愛が大人のテイストを生んでいて
作品のトーンは重め。

ゴジラは2回登場するが、
1回目はチタノザウルスの出現に合わせて、
2回目はチタノザウルスに襲われて逃げる少年たちの
「ゴジラ、助けて〜」の叫びで唐突に出現する。
まるでゴジラも真船博士が開発した、
生物をコントロールする装置で防衛側のどなたかに遠隔操作されてるみたい。
だけど2対1とはいえはっきり言ってザコ怪獣のチタノザウルスに投げ飛ばされる、っていうのはホント没落。
しかし全弾発射のメカゴジラ2に向かって長い距離を突進するシーンはなかなか迫力ある。

この作品中しきりに「15年前」ってことばが出てくるけど、
まあ作品世界の時間が発表年と同じ昭和50年だとする。
この作品は前作「ゴジラ対メカゴジラ」で沖縄海洋博がらみの話が描かれていたから時期的には間違いない。
んで昭和50年からさかのぼる15年前って、昭和35年・・・。
東宝の特撮の歴史に重ねるとモスラの日本襲来より以前であり、
この時期ゴジラは休眠中でキングコングとの対戦は2年後、ということになる。
ブラックホール第3惑星人はミステリアン、ナタール人よりはあとですけど
X星人より先に地球に潜伏していた、ということになるんですが・・・。

作動失敗で桂が一度死ぬ回想シーン?では真船博士はまだ白髪もなく若そうに見える。
ということは桂の最初の死は作品世界の現在進行時間よりかなり前?
また真船博士が天城で津田にメカゴジラを見せられるまで
彼らが宇宙人と知らなかったフシがセリフから見受けられる。
桂を生き返させてもらった超科学力を見せつけられたはずなのになあ・・・。

ブラックホール第3惑星人の基地から捕虜(大門)が逃亡した時、
宇宙人側は円陣で囲んで四方から捕虜を撃って射殺。
でも全方位から一度に撃ったら味方に当たる可能性大だと思うけどな・・・。

平田昭彦演じるマッド・サイエンティストの真船博士は
猫背気味の姿勢、「うん、うん」と老年さを強調するような言葉づかいといい感じ。
真船邸の使用人?役の沢村いき雄も殆どセリフがなく不気味な出来。

藍とも子の真船桂が場面場面で衣装を替えていてコスプレ天国。
グリーン或いは白のロングドレス、
色着いた手袋、
ピンクのパンタロン、赤のコートなど。
最後は宇宙人と同じ銀のコスチューム。
サイボーグ手術の時は乳まで出してる(作りものだけど)。
ゴジラの映画で乳ってすごいです。
どうして乳が出るかというと、
それはサイボーグ手術で体の中が機械だということを視覚に訴えさせるためだけど、
でもそれはお腹でも説得力に変わりがないと思う。

胸を見せるのはやはり桂が「女」であるということを指し示し
若い娘がマッド・サイエンティストを父に持ってしまったために恋愛も出来ず
機械の体にされてしまう、あるいは普通の女の子のような恋愛も出来ないという悲劇性の強調であると考える。
そのための乳だから理由があります。

【チタノザウルス】
「チタノ」はタイタンから。巨人あるいは巨大、みたいな意味ですよね。「タイタニック」とか。
実は「ガイガン」「メガロ」と続く「巨大な」シリーズ的命名。
首がタテに長くて何だかワイドスクリーンへの反逆児、みたいな造形。
ディアゴスティー二の解説でもありましたが、さぞや撮りにくかったと思います。

劇中ではなぜか恐竜ではなく「恐龍」と表記され、
呼び方も多くが「きょう↑りゅう↓」とアクセントが「きょう」にかかるヘンな呼ばれ方。

ゴジラを埋没させた土の上からチタノが踏みつけるんだけど
腰の後ろで手を組んでて何だか「麦踏み」みたいで牧歌的(苦笑)。
誰?このユルい演出考えたの。

武器は尻尾のヒレを開いてお尻を振っての突風攻撃。
・・・ってその程度の動作でビルが壊れるような突風が吹くもんなんでしょうか。
ラドン、モスラ、キングギドラなどの有翼怪獣に比べると明らかに迫力不足な突風。
でもそれでゴジラが突風に押されるシーンがある・・・。

真船博士は第3惑星人へのライバル心からか「メカゴジラなど、チタノサウルスの敵ではない」と言い張るが
肉弾戦はメカゴジラ弱いかも知れないけど、圧倒的な火力を持ってすれば「敵ではない」のはチタノサウルスの方だと思いますがね。

本来「おとなしい恐龍」のはずなのに、真船博士に操縦されて
無理矢理都市破壊やゴジラと対戦させられたりと、実は可哀相な怪獣です。

真船博士はチタノサウルスに操縦音波を受信する装置、どうやって装着したんだろう。
それともそもそも受信装置ってなし?

まあメカゴジラは前作もそうですが、総じて着ぐるみの中に入っている人の手の演技が過剰って言うか、擬人的って言うか、
そんな違和感がありありで、それはメカゴジラのフィンガーミサイルの前の見栄の切り方とか、
チタノザウルスの尻尾のヒレを開く時の手のゼスチャーとかの部分に感じられ、
またゴジラもバンザイするシーンが多く、手を前にかざした特有のファイティング・ポーズが出ない。
中島春雄氏が「ガイガン」でゴジラの中身を降りたのは大きいと感じました。
しかしラストに夕暮れの海に帰っていくゴジラには何か言い知れない哀愁が漂っており
今改めて見ると昭和ゴジラの事実上の終焉という感が強い。

1975年(昭和50)年、東宝映像製作
製作:田中友幸、西野一夫
脚本:高山由紀子
音楽:伊福部昭
監督:本多猪四郎
特技監督:中野昭慶

出演:配役
佐々木勝彦:一之瀬明(海洋学者)
藍とも子:真船桂
麻里とも恵:山本ユリ
内田勝正:村越二郎(インターポール)
中丸忠雄:田川
大門正明:草刈(インターポール)
沢村いき雄:真船家の老人
佐原健二:防衛隊司令
伊吹徹:津田副官(ブラックホール第3惑星人)
睦五郎:ムガール隊長(ブラックホール第3惑星人)
平田昭彦:真船博士

(10.1223)



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