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「怪獣を兵器としてコントロ−ルして戦う侵略宇宙人と地球人の攻防」
と書けば「怪獣大戦争」の豪華版あるいは発展形という見方が出来るが、
何しろ過去にない11大怪獣の登場ということで
(まあバラゴンやバランみたいにさぼってるといいますか、あまり出番がない怪獣もいますが)
新怪獣が登場しなくても十分楽しめる内容でした。
オープニングは二段構えで、タイトルが出た後ナレーションによる世界観の説明があった後、
タイトル・バックの「怪獣総進撃マーチ」がかかる。
まあ伊福部作品全てを網羅したわけではないのですが
この「怪獣総進撃マーチ」と侵略の時かかるフレーズはこの作品ではじめて聞いて耳に新しく感じました。
ゴジラ、ラドン、モスラの三大怪獣+マンダによる
東京(浜松町周辺)大破壊は圧巻。
マンダが浜松町のモノレールのコースに巻きつき破壊するシーンは、
まあ巻きつくシーンをワンカットで取っているわけではないのですが、
その奥でゴジラが別に破壊を続けている、というとても奥行きが深く芸が細かい映像。
このシーンはキラアクに操縦されている小林夕岐子の真鍋杏子が赤いコートを着て見守っているのがまた印象的。
この映画は「20世紀の終わり」とナレーションがあるので
昭和作品の中で唯一設定世界がリアルタイムではない、近未来の作品。
だから本当は公害が社会問題となった時期の「ゴジラ対ヘドラ」や
沖縄海洋博などに絡むメカゴジラ2部作などよりは時系列的にはあとの作品である。
だから!この際「ゴジラ対ガイガン」も時系列的に前の作品だと考えると、
「総進撃」の富士山麓での怪獣格闘シーンでキングギドラは絶命して地割れの中に落ちて行ったのだから、
「ガイガン」でのギドラは書物によっては「2代目ギドラ」と表現されているが
「ガイガン」と「総進撃」を比較して「ガイガン」が先の世界のストーリーだったら
ギドラは初代一頭ですむ計算になる。
キラアク星人のコスチュームも、髪を隠した尼僧のようなデザインで独特。
全員女性に見え、出てくる時はバックに女性コーラスが聞こえ、
言い方は穏やかなんだけど結局は侵略、っていうのも新しかった。
低温では「うーん」って感じでくにゃり、っていうかしんなりダウンして
虫みたくなっちゃって岩のように固まる。
月基地で久保明に「それ(固まったキラアク)、集めろ!」って言われた隊員が
「えっ、気持ち悪・・・」って感じのリアクションするのが笑えます。
どうなんでしょうかその後、高温でキラアクを復活させる実験、とかやったんでしょうか?
囚われのキラアク、って何か猟奇的(笑)。
あとストーリーのコンセプトが忠臣蔵だって文章もどこかで読んだ記憶ありますね、
だからキラアク=吉良悪・・・。あ、この辺りウィキに出てました。
また序盤で、キラアク星人に操縦された土屋嘉男の大谷博士が
ホテルの窓から身を投げるシーンは子供ながらに衝撃的でした。
あとウルトラマンでハヤタ隊員演ってる黒部進が
操られているとはいえ宇宙人側っていうのもまた衝撃でしたね(そもそもハヤタが宇宙人側ってことか?)。
それから月のキラアクの基地への攻撃のパートはよかったです。
コントロール装置がなかなか壊れない場面はスリリングで
怪獣メインの子供のころのおいらも充分手に汗握る攻防でした。
【地底怪獣】
「地底怪獣」と言えばバラゴンのことですが作品中に「パリに地底怪獣が現れました」と報道されるニュースがある。
そのシーンで地底から凱旋門を破壊するのは・・・なぜかゴロザウルス(笑)。
その他にもキラアクの基地があると思われる伊豆地方で「地底怪獣」が確認されたりとセリフの上では結構登場してますが、
バラゴンの出番は殆どない。
出典不明ですが過去に見た文献によると、
凱旋門シーン撮影中に地底から登場するはずのバラゴンの耳が引っ掛かるアクシデントが発生して
急遽ゴロザウルスの着ぐるみに登場してもらった、という説を読みました。
劇場公開当時に発表されたコミックでも地底怪獣はバラゴンでしたので
コレ撮影進行中の押し迫った時の差し替えで人間ドラマ部分の音声の差し替えまで間にあわなかったのではないかと思う。
でもゴロザウルス、あの短い前足では穴掘れないだろうと思うのですがね。
今まで登場した怪獣がほとんど登場し、確かに総集編みたいな雰囲気だし、
ラストも怪獣ランドで穏やかに暮らすゴジラなどが出てくると最終回みたいな感じで
映画館のおじさんも「これで怪獣映画は終わり」みたいなことを言っていたんですが
東宝が思っていたより客が入ったので怪獣映画はまだ製作されることになったらしいです。
だけどこの次の作品が流用フィルムたっぷりの「オール怪獣大進撃」だったので
そのつまらなさにガッカリしたなあ・・・。
1968(昭和43)年・東宝
製作:田中友幸
脚本:馬淵薫、本多猪四郎
音楽:伊福部昭
監督:本多猪四郎
特技監修:円谷英二
出演:配役
久保明:山辺克男(ムーンライトSY-3艇長)
小林夕岐子:真鍋杏子(怪獣ランド職員)
愛京子:キラアク星人首領
佐原健二:西川月基地所長
伊藤久哉:多田参謀
黒部進:黒岩(コントロールセンター所員)
宮内恵子:キラアク星人
池谷三郎:ニュースキャスター
佐田豊:巡査
沢村いき雄:農夫
土屋嘉男:大谷博士
田島義文:杉山警備指令
アンドリュー・ヒューズ:スチーブンソン博士(国連科学委員会委員)
田崎潤:吉田博士(国連科学委員会委員)
<あらすじ>20世紀の終わり、かつて世界を席巻し破壊した怪獣は小笠原の怪獣ランドで国連の管理下で飼育されていた。
しかし怪獣ランドはキラアク星人に攻撃され、怪獣たちは星人にコントロールされて世界中を攻撃し始める。
月ロケット・ムーンライトSY-3は任を受け月のキラアクの基地を攻撃、コントロ−ル装置を取りはずす。
怪獣のコントロールに地球側が成功し、富士山麓のキラアクの基地へ怪獣たちの総攻撃が始まった。
(11.0104)
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