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深夜、山に向かって鳴くアンギラス・・・。
山が爆発して「ゴジラ」のタイトルが飛び出し、
二頭の相対する怪獣の咆哮が聞こえ「ゴジラ対メカゴジラ」タイトルとなる。
舞台は沖縄。海洋博パビリオン建設のため山地を切り開くと
洞窟からシ―サ―の置物が。
その置物が沖縄の伝説の怪獣「キングシーサー」を呼び起こすための「装置」であるため
ブラックホール第三惑星人との争奪戦となる。
そして、怪獣が出現するという謎の予言。
主人公は大門正明、ヒロインは田島令子。
田島令子さんといえば、もう「バイオニック・ジェミー」の声ですよね(声だけ褒めてるみたいですいません)。
見どころはまず、メカゴジラでしょう。
機械のゴジラ、って多分「キングコングの逆襲」で
コングに対してメカニコングが登場したのが元になっているのでは?
それにしてもメカゴジラのデザインは単なる「ゴジラの機械化」ではないところが素晴らしい。
まずゴジラにはない「角」があること。
胴体部分の恰幅のよさ。
尾がゴジラに比べて極端に短い(註1)、などの相違がある。
「角」っていうのは、よくつけたと思う。
角ないと全然しまらないメカゴジラになってしまう。
ゴジラには角はない、という既成概念にとらわれない意欲的なデザインに感心。
ワイドスクリーンでメカゴジラが真ん中で
首が後ろを向いて前後でゴジラとシーサーを同時にミサイル攻撃するシーンは圧巻。
そしてそのあとのオールウェポン攻撃。これこそメカゴジラのメカゴジラたる見せ場!
メカゴジラは全弾発射!が必須!
この映画、脇を固める方たちが豪華キャスト。
昔っからゴジラ映画見てる人は主役食ってる、と思うぞ。
シーサーの謎を解こうとする博士は小泉博。
スペースチタニウムの存在を明らかにする博士は平田昭彦。
豪華客船の船長は佐原健二。
そしてインターポール(ICPO=国際刑事警察機構)の捜査官は
ゴジラ作品最初で最後の登場の岸田森!
いやー、セリフまわしといいたたずまいといい、カッコイイです岸田森!
そして平田昭彦との夢の競演。
肝心のゴジラの造形がしょぼいメガロゴジラでも、
この映画は岸田森と平田昭彦の競演、
フィンガーミサイル、光学処理による七色の光線の乱射によるメカゴジラのオールウェポン攻撃の迫力、
そして後述する「ゴジラ対ゴジラ」のシーン、これだけで充分価値がある。
【でも・・・突っ込みどころ】
主な舞台が沖縄ってことでご当地怪獣キングシーサーが登場。
でも昔っから存在するのに何で英語の「キング」がつくんだろうか。
米軍がそう呼べ、って圧力をかけたのか。
舞台がタイだったら別のご当地、ハヌマーンが登場するところだったんだろうか(そりゃヤバいな)。
それから沖縄での戦闘だっていうのに米軍が出動しない(笑)。
ってか前半のにせゴジラの進撃でも、自衛隊が出てきまへん。
先兵となってにせゴジラと対戦するアンギラス。
なぜか地底から出現。掘る技術を得たのか。
ゴジラも、突如倉庫破壊して出てくる。
地底に穴掘って潜行していたらたまたま倉庫の下に出てしまったのか?
まるでアンギラスが危機関知装置で、
倉庫突き破って登場するゴジラが迎撃兵器みたいだ。
今はなきケイブンシャのゴジラマガジンでも指摘されてましたが
にせゴジラとアンギラスの対決のシーン、
まあにせゴジラってメカゴジラが皮かぶって変装してるって設定なんだけど、
だから手はフインガーミサイルのはずなんだけど
アンギラスの尾を「持って」地面に叩きつけたり
アンギラスの上下のアゴを「掴んで」引き裂いたり
なぜか自由に指を動かしてます。
メカゴジラは両腕に「MG」とロゴが入っているが、
普通敵(この場合地球人)の言語を自分たちの兵器のマークに使わないだろ。
まあ好意的に考えれば、
(威嚇として?)敵にもわかりやすい配慮をしているということになるが。
平田昭彦の博士が、娘を人質にされ第三惑星人に脅迫されたので
メカゴジラの修理をしなければならなくなる。
でそのあと、案の定第三惑星人は裏切って博士を娘、清水の弟の正彦らと共に監禁し、
熱い蒸気を部屋に流して蒸し殺そうとする。
ところが娘、暑いのに服を脱がない!
最後の最後まで恥じらいがあったのか?(笑)
まあ子供も見てますし。
つーか、第三惑星人は何で自分たちの星が造ったメカを敵である地球人に修理させるかなあ。
まあ好意的に考えれば、あの第三惑星人たちは「軍」であって技術者がいなかった、とも考えられるが。
じゃあ何で技術者が同行してないの!って疑問も湧きますが、ハイ。
沖縄の洞窟の奥の、第三惑星人の秘密基地の入り口、
入る時が、あ、合言葉!
「アルファー!」
「ケンタウロス!」
それも地球人の言語でしょ!
メカゴジラ造るんだから地球人より科学が進歩しているんだと思っていたのに、
秘密基地に入る時が合言葉!
暗証番号入力とか音声識別とか、いくらでも危機管理の手段はあるでしょ!
岸田森が侵入するために合言葉言うシーンは逆に見せ場の一つ(笑)。
キングシーサーを復活させるために、ベルベラ・リーンの国頭那美が砂浜で「ミヤラビの祈り」を熱唱。
・・・でもさ、この曲何で昭和歌謡曲みたいなアレンジの歌なんでしょうか。
シーサーを復活させるために代々伝わってる歌なら、沖縄民謡的な歌が普通なのでは?
沖縄の言葉を使ってるわけでもないし、ってな疑問が浮かびます。
でも「ハイサイおじさん」みたいな歌だと力抜けちゃって困るか。
それから那美んとこの爺さん。
ゴジラが出てくりゃ「安曇野家の代わりに、本土の連中をやっつけてくれ!」とか言い出すし、
那美が第三惑星人の人質になっちゃったら「お前たちのせいだ」とか地球人側をなじるし、
メカゴジラが倒されてゴジラが去り、シーサーも再び眠りについたら
「これで安曇野家も安泰じゃ」とか笑ってるし。
保身に走るボケ老人?としか思えまへん。
まあそんなワケで見どころもありますが突っ込みどころも満載であります(汗)。
まあ・・・「メガロ」よりははるかにマシですか。
(ってか、突っ込みどころの方が多い?)
【ゴジラ対ゴジラ!】
コンビナート地区でのにせゴジラ対ゴジラのシーンでは
「ゴジラ対ゴジラ」の夢の対決が見られる。
この辺、新作へのヒントになりはしないか。
ゴジラとゴジラが戦う。
メガロゴジラとかじゃなくって、もっと豪華に。
しかも名前を差別化しない。どっちもゴジラ。
「スーパーゴジラ」「キングゴジラ」なんて名前つけたらその時点で負け。
「ゴジラ(○○地区より出現の個体)」とかで充分。
名前が付いてないとおもちゃ屋さんが困りそうだけど。
ただしデザインの個体差はつける。キンゴジとかモスゴジ、とかのような。
んでどっちかが、勝つ。
もちろん「勝った方が人類の敵になる」わけ。
キンゴジ対モスゴジあるいは平成ゴジなんて新作だったらマニア狂喜するかも。
1974(昭和49)年東宝
製作:田中友幸
原作:関沢新一、福島正実
脚本:山浦弘靖、福田純
監督:福田純
特技監督:中野昭慶
音楽:佐藤勝
出演:配役
大門正明:清水敬介
青山一也 :清水正彦
田島令子:金城冴子
ベルベラ・リーン:国頭那美
松下ひろみ:宮島郁子
平田昭彦:宮島博士
小泉博:和倉博士
睦五郎:黒沼(ブラックホール第3惑星人司令官)
岸田森:南原(インターポール捜査官)
佐原健二:クイーン・コーラル号船長
草野大悟:ブラックホール第3惑星人
鳥居功靖:田村(インターポール捜査官)
今福正雄:国頭天願
【追伸】
円谷英二没後の作品で多いが、
この作品のゴジラも流血して赤い血を首から噴出させる。
「ガイガン」もカッターが装備されているサイボーグ怪獣だから
流血のシーンがあったが、
「昭和期」とひとっからげにするよりは昭和作品群も
円谷英二没前・没後という区分にしてもいいかも知れない。
さらに言えば、一作目と二作目のモノクロ作品も
その次の「キングコング対ゴジラ」まで7年の間隔があるのだから別にするべきでは。
それからこの映画は「東宝チャンピオン祭り」で上映されたんだけど
併映が以下。
・ハロー!フィンガー5
・新造人間キャシャ―ン
・ウルトラマンタロウ「血を吸う花は少女の精」
・侍ジャイアンツ「殺生河原の決闘」
・アルプスの少女ハイジ
まあフィンガー5が沖縄出身の兄弟5人組ってのもあるんだけど、
やっぱり注目は「侍ジャイアンツ」ですよね。
うちの掲示板を見続けていればわかってると思いますが、
ボクシングの亀田3兄弟の父が「侍ジャイアンツ」に影響を受けていたらしくて
息子に宛てた手紙の言葉に「侍ジャイアンツ」からの引用と思われる部分が多く見受けられたそう。
うんでまあ、メインのメカゴジラは「MG」ですよね。
これって「宮田ジム」。内藤大助が所属してます、ね。
つまり因縁は本人たちの意志とは関係ナシにここから始まっていた、ってワケ(そんなわきゃない)。
(09.0718)
註1:ミレニアムシリーズ(おいらが勝手に命名)の「三式機龍」は
初代ゴジラの骨格が内蔵されているので尾は長い。
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