第二回伊福部昭音楽祭
20080316杉並公会堂



プログラムが発表されてから、「午前中の映画魅力的だけど11時から見てたらロングランだなあ・・・
先に競馬で負けて金が無くなる前にDVD買ってお勉強しとこうか、そうすれば早起きしないですむなあ・・・」
などと考えて秋葉原めぐりをしましたが「大坂城物語」のDVDは見つかりませんでした。
ということで映画も見ることにして朝も早くから荻窪の杉並公会堂に出撃!
で行ってみると午前中の映画の部が結構並んでて、小ホールは満席。
とりあえず席を確保して映画を1時間35分見る。
映画が始まる前に「大坂城物語」のサントラCDが本日より発売、という説明が舞台のプロデューサーとアシスタントからあり
アシが持っていたボードをひっくり返すと「本日初売り 2,100円」と手書きされていて場内笑。

「大坂城物語」はこちら

そのあといったん退場してシンポジウムの列に並ぶ、会場は同じ小ホール。
しっかしプログラムを見るとシンポジウムとサロンギターコンサートが時間被っていて
両方見るにはシンポの途中で退場するしかない。
でもシンポでのトークが結構面白かったので結局シンポ最後まで見ちゃう。
シンポでは映像が3回公開された。
最初が「ゴジラVSメカゴジラ」のリハーサルシーン。
作曲家が自分でタクトを振る。
Gフォースマーチと「ゴジラVSメカゴジラ」メインタイトル。
Gフォースマーチはバックに映像を流して、作曲家も演奏も時々映像をちらりとながめながら。
リアル感満載の映像。
他は民族音楽の説明でホワイトーボードに北海道の地図を書いてアイヌの説明。
それからCD収録の際の打ち合わせ、などの映像。
パネリストのトークでも秘話が公開される。
「ゴジラVSキングギドラ」から始まる、いわゆる平成シリーズにおける作曲を受諾するにあたっての「3つの条件」とか
「VSスペースゴジラ」の降板のハナシ(別の仕事が入っていてスケジュールが合わなかった)、など。
キングレコードの方の話によると今後のCD発売の企画として
「こどものための伊福部昭」という企画を考えているそう。
次世代のために聴きやすいセレクションというのはいい企画だと思う。

さて、3時も15分を過ぎるとロビーはシンポ選択派とサロンコンサート終わった派でごったがえし。
4時からのメインコンサートに期待が高まる。
おいらの席は・・・はじっことは言え前から3番目!(やったー)
残念ながら満席というわけではなかったけれど、熱いライブが始まる。

1.「ピアノ組曲」は作曲家の最初の作曲。
これをオーケストラ用にアレンジしたのが第1回でも演奏された「日本組曲」と言われている曲だそう。

2.「サロメ」のこの曲はCDで聴きましたが(鉄人28号でも流用されている)
前半で「ラドン福岡襲撃」の前半部、後半で「キングコング愛のテーマ」のメロディーが聴ける。
二十五絃箏の二重奏はまた違った味わい、原曲が生きる。

3.では♪ドシラ、ドシラのゴジラの動機と、
「メーサーマーチ」と「怪獣総進撃・メインタイトル」に共通の後半部が聴けるが、
実はこの曲のほうが生まれは先と司会者の説明。

6.交響詩「聖なる泉」
言わんかな’64年当時の国民的歌手ザ・ピーナッツが歌った「モスラ対ゴジラ」で公開された曲。
今回のメドレー曲はまずゴジラの動機からスタートして
平成「ゴジラVSモスラ」でのモスラのライトモチーフ(「聖なる泉」と「マハラ・モスラ」の合体曲)で
2大怪獣の激突を感じさせる(実際の映画ではバトラも登場するから3大怪獣)。
その後ソプラノの藍川さんが舞台に現れオーケストラをバックに「聖なる泉」を熱唱!
あーーーー、自然に涙腺がゆるんでしまいました。

7.「コタンの口笛」では壮年の男性が舞台に登場して、本当に口笛で演奏。
口笛というより指笛か?それはともかく自分の肉体を楽器と化し
緩急がついて哀愁のこもったその演奏はもはやリスペクトするしかない。

8.「ゴジラ」’54年第一作オリジナル版から。
もはや伝説的作品といえる第一作の楽譜から、当時のスタジオでのサントラ録音で多用された人数で
第一作のレコーディングがどんな音だったか、を再現する試み。
まず効果音でメインタイトルの「ドーンドーンドーン」というゴジラが迫ってくる足音の表現。
そしてゴジラの咆哮、オーケストラが動き始める。
メインタイトル人間側防衛のテーマ(のちゴジラライトモチーフ後半部)、
その後お嬢さん河内桃子が「行ってらっしゃーい」と手を振る姿を思い出させる「フリゲートマーチ」。
のちに「宇宙大戦争」「怪獣大戦争」のマーチに進化する曲、
しかし第一作のあのゆっくり気味の進行がそれと認識させる。
次いでゴジラ東京襲撃の曲。
これ今回のプログラムで一番聴きたかったパートで、
映像だとゴジラが電車を破壊した後尾を振ってビルを倒壊させるシーンに使われているはず。
他のどの作品でも聴けない第一作ならではの迫力。
初代ゴジラの不気味さ、圧倒的な破壊力、そしてなぜか感じる荘厳な雰囲気。
最後に、破壊された東京のシーン〜ラストにつながる曲で締め。
半ば実験的とも言える演奏だったが、
驚いたのは第一作のスコアにほぼ忠実に演奏しているはずなのだが
後年の「SF交響ファンタジー1」や平成シリーズのゴジラのライトモチーフと比較して遜色ないこと。
結局録音技術の進歩の差でしかなかったのか?と考えてしまう。
曲は最高。6.と合わせてゴジラが2回聴けたのでうれしい、再び涙腺が緩む。

9.は午前中上映した映画から。
サントラCDも本日初発売されたことでもあるし実体は「大坂城物語祭り」だったのか?
まあそれはそうとしてメインタイトル、マーチとも伊福部節炸裂。

アンコールの2回目は、まさかの「怪獣大戦争マーチ」!(実際には「宇宙大戦争」マーチ、でも限りなく「怪獣大戦争マーチ」に近く聞こえた)
曲が進むと客席の後ろから手拍子が聞こえだした!
もちろんおいら痛くなっても手拍子!
第二回にして客席と舞台が一体化し出した!
オーケストラのコンサートで手拍子!マナーはどうかと思うが個人的にはとてもうれしい現象。
興奮の中幕。
今回は生演奏と映像のコラボはなかったがもちろん満足。
映画「大坂城物語」上映、シンポ、メインコンサートと約7時間のロングランでしたが楽しめました。
第3回の予告はなかったが、来年もやれば行きたい。

(08.0316)

第二回伊福部昭音楽祭
20080316杉並公会堂


◎映画上映「大坂城物語」(東宝1961)

◎シンポジウム「伊福部昭が残したもの ?未公開映像にみる伊福部昭の素顔」 
パネリスト:今井重幸/岩瀬政雄/小林淳/松下久昭/司会:片山杜秀

◎サロンコンサート「ギターの響き」/演奏:哘崎孝宏/三留丈樹
ギターのためのトッカータ(1970)
古代日本旋法による踏歌(1967)
サンタマリア(1978)
交響譚詩(1943/2001)

◎メイン コンサート
【メインコンサート出演者】
木村かをり、野坂操壽、小宮瑞代、萩原淑子、藤田崇文、藍川由美、堀俊輔
管弦楽:伊福部昭記念オーケストラ

メインコンサート【第1部】 音楽遺産を享受して
1.「ピアノ組曲」(1933、17分)
(1)盆踊
(2)七夕
(3)演玲
(4)佞武多
*ピアノ:木村かをり    

2. 二十五絃箏甲乙奏合
「ヨカナーンの首級を得て、乱れるサロメ」バレエ・サロメに依る(2004、14分30秒)
*二十五絃箏:野坂操壽/低音二十五絃箏:小宮瑞代    

3.「ヴァイオリンと管絃楽のための協奏風狂詩曲(第一楽章)」(音楽祭特別版)(1971/2008、14分)
*ヴァイオリン:萩原淑子/ピアノ:木村かをり/編曲&打楽器:藤田崇文

◎(20分休憩)  

【第2部】
4.室内オーケストラのための「土俗的三連画」(1937、12分)
(1)同郷の女達
(2)ティンベ
(3)バッカイ

5.Hommage to Akira Ifukube(1988・松村禎三、1分30秒) 
指揮:堀俊輔

伊福部昭映画音楽より
6.交響詩「聖なる泉」(オーケストラ版/“ゴジラvsモスラ”より・5分40秒)
7.管弦楽の為の「コタンの口笛」(オーケストラ版/“アイヌの叙事詩に依る対話体牧歌”より・4分)   
*ソプラノ:藍川由美
*指揮&オーケストラアレンジ:藤田崇文 (聖なる泉、コタンの口笛)     

8.「ゴジラ」より(’54年第一作オリジナル版・5分30秒)
9.「大坂城物語」より(1961?11分)

◎アンコール(1)
10.室内オーケストラのための「土俗的三連画」(1)同郷の女達
指揮:堀俊輔

◎アンコール(2)
11.宇宙大戦争より「マーチ」
指揮者なし?



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