切鮫と千里眼の居酒屋トーク:第6回
―方舟の今後、 マスターズ・プロレス&T.J.シン、
“最も危険で、最も安全なプロレス”とは何か?―


構成:千里眼、1109切鮫
2009年8月・都内某路線のガード下近辺で…

1109切鮫(以下:切)「あれ、珍しい、友里ひとりで居酒屋かよ」

友里(以下:友)「大きなお世話よ。おじさんたちこそ、相変わらずのコンビなのね」

千里眼(以下:千)「なんで友里ひとりなのか、おれ、知ってるよ。
 新宿の居酒屋でホッピーの『シャーベット焼酎』割りを呑み過ぎて、
 店で大暴れして、例の年下君に愛想着かされたんだろ(笑)。
 お前、最後に焼酎のピッチャー持って、頭から焼酎ごと被ったんだって?」

切「あのレトロな店か!
 あそこのシャーベット焼酎は途中から何杯飲んだかわからなくなって
 朦朧とするから危険なんだよね」

友「わかんないわよ。覚えてないんだから。いいじゃないの、どこでどういう風に呑んでも」

切「そりゃ、人に迷惑かけなきゃね。
 まあ、あれを呑んだら誰だって“マンモスらりピー状態”になるけどね。
 そうだ、らりピーといえば競馬当たったから今日はおごってやるよ!」

友「なんで、らりピーで競馬なの」

千「あれだろ、今話題の最凶ネームの競馬の騎手、酒井学(笑)」

友「あー、あれならあたしテレビで見た!
 すごい名前!のりピー(註:酒井法子)+押尾学で酒井学。
 それがホントに1着に来てびっくりした!しかも勝ち方が“逃げ切り”なんだもん」

切「ぎゃははははは!日曜小倉のGV、北九州記念ね!
 東スポで爆笑問題の田中が予想コラムで『酒井学』って書いてて!
 もちろんおいらは『酒井学騎手』は前からいたのは知ってたけど
 あの田中の記事読むまで『時事馬券』だって気がつかなかったよ(笑)」

友「当てたんですか!」

切「まあね。
 ちょっと解説すると“逃げ”っていうのは、ほぼずっと先頭にいてそのまま押し切ることを言うんだ。
 酒井騎手の騎乗したサンダルフォンは第4コーナー5番手だったんで、
 決まり手は『先行、好位抜け出し』でしょうな」

千「馬の名前がサンダルフォンだから“サン”も入っているんだ。
 で、切鮫さん、来ると思って買ってたんだ?」

切「いやー、さすがに1着になるとは思いませんでしたよ。
 でも複勝を買っていたんで儲かりました。恐るべし酒井学(笑)」

千「おれも鮫さんに頼んで少し“投資”しとけばよかったなぁ」

友「あたしも!」

切「でもやっぱ単勝買っとけばよかった、とか思っちゃうんだよね。
 単勝約15倍ついたから千円で一点買っとけば1万5千円!」

友「ゴール後に『ただ今より審議に入ります』っていうのも笑ったわ。やっぱ怪しいから“捜査”するのよ。
 ところで、珍しくプロレスでも格闘技でもないネタから入ってるけど、
 ふたりでここに来たのはホントは三沢選手の話でもするつもりだったの」

切「ネタふってくるねえ。ホントは最凶ネームに引っ掛けて最凶コンビの話するはずなんだけど、まず三沢の話しも行っとこうか。
 確かにあれは全くもって残念な事故だよ。事故について言いたいことはもうSAMEDASUにそれぞれ出してるけれどね」

友「あれはおふたりさんとも、どこにも出てない切り口でさすがね」

千「こりゃどうも。ところでその後、追悼大会を東京と大阪でやるってノアの田上新社長は宣言したそうだけど、
 うーん、反主流派と言われる連中は『それが終るまでの我慢』と思ってるだろうな。
 追悼大会が終れば一気に方舟は割れるんだろうなぁ」

切「主流って誰で、反主流って誰になるんだい?」

千「まぁ、所謂仲田ドラゴンを中心としたグループが主流で、
 今回離脱した百田光雄に追従するのが反主流、だろうなぁ」

切「永源って仲田ドラゴン派なんだろうか、百田派なんだろうか。
 でも最注目は全く役付なしで沈黙している秋山準だろ、彼雰囲気が新日っぽいし」

千「最近気になるのは、東スポなんかの熱戦譜見ると
 小橋建太や秋山が入るチームが新化粧品王者潮崎とか力皇やらのチームに負けるマッチメイクが目立つってこと。
 追い出しにかかってるようにしか思えないんだけれど。
 小橋や秋山、それに秋山をリーダーに担ぐアマレスグループが百田に追従するような気がするな」

切「百田っていうのは、2ちゃんなんかで見ると父の代からのお付き合いの地方プロモーターの方々がついていて、
 その方々がノアを見限るんじゃないか、という説が出てたよ」

千「興行に関わってるっていう意味じゃ、小川良成とか青柳、菊池なんていう中立っぽい連中の動向も鍵だな。
 それから百田はラッシャー木村の最年長現役の記録を抜くって宣言したらしいけど、他にあてがあるのか。
 ノアを離脱してもそれほど困った様子はないんじゃない?」

切「百田はIGF有明に来場、って東スポ情報もあったけど、大会後の報道には出てないね」

友「いずれにしても、もう少し時間が経てばノアは分裂して主流派か反主流派が、新日本とか全日本と対戦するのが見れるようになるの?
 それともハッスルとかにも出てくるようになるの?」

千「まぁ、いきなりそういうことにはならないだろうけどね。
 特にハッスルあたりは厳しいみたいだよ。なんでも次の栃木大会は延期らしいし」

切「でもこの間の7月のハッスル両国はよかったよな。
 伝説の最凶コンビ、ブッチャー・シン組がまた見ることが出来て、ってことで本題に行くわけだね」

友「えー、あの二人まだ(現役)やってるの!」

千「何言ってるんだよお前、レジェンドは年取らないんだよ」

切「まあ、百歩譲って、あれをマスターズ・プロレスとでも言えばいいんだけどね。
 知ってるだろ?ゴルフとか野球で昔の名選手が出てくるシニアリーグとかマスターズトーナメントっていうの。
 あれだと思えばいいわけよ」

千「しかし7月の両国じゃ、特にタイガー・ジェット・シンに感心したね。
大人の態度だよ、シンは


友「えー、なんで?いつも無茶苦茶に客席に暴れこんでるじゃないの」

千「そこなんだけど、シンはブッチャーとは別方向から、客席に暴れこんできたよね。
 あれって『衰えたブッチャーがヨボヨボと歩いてくる』光景から観客の視線をそらすためのテクニックだったんじゃない?」

切「なるほど!見せないように見せる。昔の映画の極意ですね。
 そういう手だったのか。
 それに比べりゃ『どうです、どうです、こんなこともできるんですよ、すごいでしょう』ってな感じの、
 CGなしでは語れない最近の映画って、
 大技連発の現代プロレスに通じるところもあるかも知れませんね」

千「だからさ、シンやブッチャーがやるような表現テクニック満載な試合を
 “最も危険で、最も安全なプロレス”と名づけたいんだけどね。
 まぁ、それを八百屋がどうした、っていう話にはつなげたくない、あくまでもマスターズのテクニックっていう受け取り方で言うんだけど」

切「いいね、“最も危険で、最も安全なプロレス”」

友「なんでシンのプロレスが安全なの?
 首絞めたり、噛み付いたり、凶器で突っついたり、サーベルで殴ったり、
 反則ばっかりで危ないじゃないの。お客さんまで殴ろうとするのよ」

切「あー、そういうことか。わかってきたよ。
 確かに反則ばっかりでシンの試合は昔から危険の代名詞みたいなもんだったけど、
 よく見てると今大流行の脳天落下のボム系な技をやるわけじゃないし、
 関節技で手や足を逆方向にねじり上げるわけでもないし、
 マウントで殴りまくったりキック攻撃で頭部へ打撃を加えるわけでもないし。
 そういう意味じゃ血は出るけど“安全”なわけだ」

千「そう!多少はブレーンバスターとかやるけどね。
 シンの試合で『頚椎離断で即死』は絶対とは言えないけれど、まず無いと思う。
 でも危険な香りいっぱい、でしょ」

切「そう言えば、昔後楽園ホールでシン、ブッチャー対三沢タイガー、ジミー・スヌーカを見たことあったな。
 延々と場外乱闘ばっかりだったけど、乱闘に巻き込まれそうで怖くて、でも物すごく面白かったよね。
 そうか、あれが全部マスターズの技だと思えば、うーん・・・さすがだ」

千「今回のクライマックスはその後楽園ホールでのシンとブッチャーの直接対決だったわけだけど、
 結果は何と『両者一度もリングに上がらないまま、両者反則負け』だったそうだよ」

切「ひーっ、笑える」

友「リングに上がらなけりゃ試合にならないじゃないの」

千「だから、さすがシン!なの。
 とてもじゃないけどよぼよぼで自力でリングに上がれないブッチャーに配慮して
 『それなら全部場外乱闘だけで試合やっちゃおう』と閃いたわけ。天才だよねぇ。
 まぁ、リングに上がれないということはリングから降りられないという状態でもあるわけで、
 そこを逆手に取るとはすごい発想だ」

友「あのふたりが狭いホールで延々と場外乱闘とは『ものすごく危険な状態』だわ。
 観客は生きた心地しなかったんじゃない?」

千「だろ?だからその通り“最も危険”なんだよ」

切「じゃあシンの“最も危険で、最も安全なプロレス”ってのは方舟の対極にあるわけだ」

千「でもなぁ、今度いつあのふたりの試合を見られるんだろう」

切「せめて元気そうだったジェット・シンの方は、
 今年の全日本の最強タッグにシン&鈴木みのるチームで出ればいいと思うな。
 ほら以前ブッチャー&みのる組で最強タッグ出ただろ?」

千「そうか!で、リーグ戦は全部反則負けになるわけだ」

切「いや、優勝候補チームだけは両者リングアウトで足引っ張って両チーム無得点(笑)」

千「今年は船木誠勝なんかも出るかも知れないから、
 リーグ戦で船木とシンの絡みが出るかも。
 不思議だ。二人とも新日本出身なのに、ものすごく“水と油”(笑)」

切「とにかく、そうだね、シン・ブッチャー組をまた見るっていうのは、
 生きてるうちにまた日蝕が見られるようなもんで

 あともう一回くらい、と思うけど、もうだめかもしれないし。
 うーん、貴重だ(笑)」

千「切鮫さんは『8・26』最強タッグと それから7月両国ハッスルと、
 都合3回シン・ブッチャー組を生で見たわけだね」

切「日蝕3回生で見たのと、
 シン・ブッチャー組3回生で見たのと
 どっちがすごいかなあ(笑)」

友「日蝕っていえば、この間のはお騒がせのりピーご一家も見に行ってたみたいよ」

切「やっぱり再起の道は浅草なのかなあ」

千「それじゃ小向さんとおんなじだぁ(笑)」

友「あら、ぐるっと廻ってのりピーちゃんの話に戻ったわね」

千「じゃ、ここで一息入れよう。おにいちゃん“中”3つね」

切「おっ、今日はメニューに“きぬかつぎ”があるよ。おにいちゃん、それ一皿ね」

友「何それ?担ぐもんじゃなくて食べるもん注文してよ」

切「お前その言い方、『重いコンダラ』ぐらい恥ずかしいぞ」

友「コンダラって?」

切「アニメの『巨人の星』の主題歌だよ。新宿のレトロ店のテレビでやってただろ?知らんのか?
 『♪思い〜こんだ〜ら試練の道を〜』って歌詞を。
 『弁慶のぎなた読み』だ」

友「ぎなた?」

切「もういいから!ほれ!きぬかつぎ食ってろ!」

友「サトイモのことじゃない。塩つけて食べるのね」

切「あのなあ、友里くん・・・












 皮は食べなくていいんだよ・・・」





ぶっちゃけ、次はあるのかぁ?(亡き三沢の名言より)
(2009.0820)


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