切鮫と千里眼の居酒屋トーク:第3回
デブキラーの系譜〜イズムを継ぐ者


構成:千里眼、切鮫

*2005年11月、都内某所。


友里「ずいぶんとご無沙汰でした。この飲んだくれおやじ二人がずーっとサボってましたので約1年ぶりの居酒屋トークです。
場所は『東京立ち飲みスタイル』にも絶対に取り扱ってもらえない、いつもの都内某所です」

千里眼「なんだよ、そのおやじ二人っていうのは。お兄さんだろ」

切鮫「そうだよ、いつもひとの金で酒飲んでおいて、それはないっしょ」

友「ひとの金って、せいぜい1500円も払えば済むような店ばっかりじゃないの。
それにトークの編集代を飲み代で払う、っておっしゃったのはお二人じゃありませんか。
あっ、すみません御姐さん、ホッピーをひとつくださいね」

千「しかしお前ねぇ、始まる前からそんなに飲むなよ」

切「そんなんで編集出来るんか?」



友「ういっ、では始めますよ」

切「で、今回のテーマは?」

友「それはですね、猪木イズムの継承者というネタなんだそうですが。千里眼さんから行きましょうか」

千「そうなんだよね。10月2日のW-1・代々木大会の三沢組対曙組のタッグマッチを見て感じたんだけど、三沢もずいぶん偉くなったもんだよね。
エルボーで容赦なく曙をフォールしてましたけど、以前にゼロワン旗揚げの両国でも橋本真也から容赦なくピンフォール取ってましたし、
たしかベイダーからもドーム大会以前のCC公式戦でピンしてました。
共通してみんなデブ。それでね。以前はデブキラーは猪木だと思ってたんだけど、なぜか三沢に伝播したようなんですね」

切「うーんとね、日本における最初のデブキラーは力道山ですよね。
キングコング、カルホーン、G.アントニオとやっつけてるし。
ということで日本におけるデブキラーの系譜ということで考えると、力道山―猪木―三沢ってことになるのでしょうかね」

友「わたしだってデブはいやだわ」

切「あんたの趣味きいてんじゃないんだよん。この人物を繋ぐ線が面白い存在で、力道山と猪木を繋ぐのはG.アントニオ、
猪木と三沢を繋ぐのはベイダーが当てはまるわけ。約15〜20年周期かなぁ。なかなか深いネタだよね」

友「猪木のデブキラーイズムはなぜか三沢に引き継がれたわけね」

千「プロレスの面白いところは正式な師弟関係で伝授されたとは思えない妙な伝播をするものがある、ところですかね」

切「そうですね、隔世遺伝かも知れません」

千「そういえば最近、御小こと長州力が『鎖国』と『リストラ』で新日を建て直すとか言ってるけど、
実はそれって馬場さんの必殺技なわけで、馬場方式で新日改革って・・・皮肉としか思えない」

切「馬場さんの遺伝子がジャパンプロレス在籍時の御小に組み込まれた、と評すべきでしょうか」

千「馬場ワールドからは御小は何も学んでいないかと思ったけどそうでもなかったようだね」


友「ところで今話題のハッスル11月3日大会で意外なネタが出てきたみたいですけど、お二人はハッスルは・・・」

切「そうなんだ。世間じゃどう見てるか知らないけど、狂言師の和泉元彌と対戦した鈴木健想はいい役をやりましたよね。
ハシミコフ北尾のデビュー戦のお相手を勤めたクラッシャー・バンバン・ビガロを思い出しましたよ」

千「ケンゾー→ビガロ説だね。」

切「こういうときは自分が何も出来ない木偶の坊じゃ試合が成り立たない。
だって相手の和泉元彌はプロレスの素人だから。
或る程度自分で試合を作って相手をリードしてやらないと試合が成立しないんじゃないでしょうか。
そういう意味でケンゾーさんにとっては自身が『木偶の坊』ではないってことをマニアに証明した一戦となり、
マニアの間ではケンゾーの評価を高めた一戦に・・・ならないかなあ」

千「なんか意外な好評で元彌の御姉様もリングデビューをご希望されてるそうで。『淳子』じゃなくて『祥子』のほうだって」

切「ハッスルサイドは11月3日を『ハッスルの日』にしようとか言ってるとか。
『文化の日』のプロレスは面白い、という説を持っている我々に強烈な挑戦をしているかのようですなあ(笑)」

千「11月3日といえば・・・83年新日本蔵前の綱引き4対486年新日本後楽園、猪木とエリックの息子が組んだメインが面白かったですね。
しかしびっくりするのはハッスルの結果を報じるあの東スポに小川直也も川田利明も試合写真が出てないこと!

切「日刊スポーツも元彌、HG、インリン様と芸能人のネタばっかりでしたよ。
でもジャガーさんや藤原組長までハッスルに出てくるってことは、おそらくとてもギャラがいいんでしょうね。
レスラーたちに『なんで芸能人に負けなきゃいけないんだ』って言わせないところは、たぶんお金が解決してるんでしょうね」

友「でもその何割かはお客さんがプライドで払ってるチケット代から出てるんじゃないの」

切「そこまでズバッとは言えませんが」

千「話し戻って、レスラーじゃない人と試合してそれなりに成立させちゃうっていうのは猪木の得意技だと思ってたんだけど、
しかもそれを引き継ぐレスラーっていなかったように思うんだけど、これでケンゾーが引き継いだってことかな」

切「『レスラーじゃない人との試合』って、好意的な見方でいうと『異種格闘技戦』のことですね。
まあ猪木はかのアミン大統領と試合をするとかしないとか、っていう話もありましたし。
そういえば猪木も芸能人と対戦してましたね、『第2回メモリアル力道山』エキシビジョンで滝沢英明と」

千「レフェリーの藤原組長が、高速カウントで猪木に3カウント入れて負けにしちゃうやつね」

切「そう、それ。それから今気づいたけど、滝沢クンって大河ドラマで『源義経』演じてるじゃないですか、
和泉元彌も確か大河ドラマの主役で・・・」

千「『北条時宗』!」

切「それそれ、大河ドラマ勢強いねえ。日本史の英雄が俳優に憑依したかのようです(笑)。
それから昔たけし軍団がリングに登場した『イヤーエンドイン国技館』っていうのがあったんだけど
あれと合わせてこういうパターンの創始者はWWEじゃなくて?猪木だっていうのは驚きですね」

千「レッスルマニアにシンディ・ローパーが登場した方が先でしょう。
ビートたけしが出てきたら激怒して国技館ぶっ壊しちゃった我々はしゃれが解らなかったってことなのかなぁ」

友「えっ!あれはあなたたちのしわざ?」

切「いやそうじゃなくて、ギャグで言ってんの、ギャグで。
あんたはシャレが解らないんかねえ。われわれはいつも紳士的に観戦してるじゃんか」

友「そんなことまで知りませんわ」

切「まあイヤーエンドの頃とはプロレスもそれを取り巻く環境も違いますしね、これも生観戦したのでいずれ書きます」

千「今、プロレスのリングにたけしが登場したら拍手喝采だろうな」

友「あそこに座ってる人、ずーっとこちらの話聞いてるようですよ

(続く?)

(2005.1106)


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