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鉛筆画を描く時は、モチーフをいったん意識の底に沈め、ほんの僅かずつ小出ししながらの確実な表現方法なので、その遅さの間にイメージは熟成が進み豊かになっていく。押し殺した光と影だけの世界は見る人に色のイメージのバトンタッチをする。1000文字以内で物語りを書き、それに鉛筆細密画的なイラストをつけてアサヒグラフに連載した。“嘘曼陀羅”のシリーズである。他の絵画、版画、陶など、どんな制作でも初段階には鉛筆を用いた思考確認作画は行うし、巻物シリーズなども完成作品と同じ大きさの画面を使って鉛筆デッサンをした。
※連載後、角川文庫からタイトル“嘘曼陀羅”で出版される(1985年/絶版)。同名タイトルで朝日新聞出版サービスにて英訳付き画集風にして自費出版(1996年/頒価3000円)。 |
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