No.251
膝蹴りが大会トレンド!シュルトが圧倒的勝利で初優勝「K-1 WORLD GP2005決勝戦」
「K-1 WORLD GP2005決勝戦」
2005(平成17)年11月19日 東京ドーム
同行者=千里眼
この日は余裕を持って入場。
ルール説明を聞く。新ルールはイエローカード1枚で減点1。
イエロー3枚でレッドカード→失格となる。
昨年の、例の不透明な「0.5ポイント差では勝ちにしない」ルールについては発表なし、
試合の進行とともに今年は0.5ポイントルールは適用されていないことを認識する。
そのあと韓国女優の日本語による開会宣言。
オープニングのVTRは飛行機の発着に「K-1 WORLD GP2005 in TOKYODOME」のタイトルがかぶさり映画のよう。
その後「ツァラツトラはかく語りき」の曲に乗って自国旗の先導で8強が入場。
入場式の後は少年部による空手演武、試し割り。
【レミー-チェ】
韓国の大巨人はオープニングセレモニーでもでかいでかい。
対する2連覇中の王者ボンヤスキーはローキック攻撃が鍵か。
チェ、パンチで前進、クリンチ。
レミー、右のローキックをこつこつ当てる。
レミー左ミドルから右ロー。さらに飛び込んで大きい右フック。
レミー、右のロー。チェはやはりローの防御が甘い。
チェのパンチでの突進をレミーうまく回って逃げる。
2R、お互い牽制するシーンが多い。
レミーのローとチェのパンチの突進の展開。
レミー、左右のローが音を立てて当たる、ローが効き始めた様でチェがいやがる素振り。
2R終盤レミーの左右ハイキック。
3R、レミーハイキック。チェはパンチで突進。
レミーのローでチェが体勢を崩す。
レミー、ローキックの連続、さらにハイキック、これは首筋に。
レミー、ミドルキックとローの打ち分け。
判定は的確打でか3-0でレミー。
チェはローの防御が必要。サップや曙を相手している間はいいが上位クラスは今後必ずローで攻めてくるだロー。
【シュルト-セフォー】
シュルトは空手着を着用しての入場。こちらもでかいでかい。
セフォーは坊主頭。
開始、シュルトが長い足を利した前蹴り、さらに左ミドル。
セフォー、パンチで突進、クリンチ。
シュルト膝蹴り、ブレイク。
シュルト前蹴り、セフォー左フックを振り回して飛び込む。
シュルト前蹴り、左膝蹴り、左ジャブから右膝。
さらにシュルト左ハイから左膝。
セフォー、左バックブロー、しかしスリップ。
セフォー、ノーガードで誘うもシュルト組み付いて膝蹴り。
セフォー右フック、これは入る、しかし1R終了、膝蹴りを多用するシュルトが優勢。
2R、シュルト左ミドル、セフォー飛び込めず。
シュルト左ジャブから右ロー、組み付いて膝。
セフォーがバックキック。現状打破のためいろいろやってみる姿勢はいいと思う。
シュルト組み付いて膝、セフォー効いていないと挑発。
しかしシュルト膝、セフォーがシュルトの足にタックル気味に絡みつく、苦しくなってきたか。
シュルト左ハイキック、こちらは余裕が出てきたか。さらに左右ストレート。
3R、セフォー前進してパンチ、しかしシュルト捕まえて膝蹴り。
セフォー、コーナーに詰まる。追ったシュルトが膝蹴り。
セフォー、コーナーに手を置いて疲れた様子。
シュルト、コーナーのセフォーに膝蹴り、ローキック。セフォーぐらつく。
しかしセフォー「来い来い」と挑発、苦し紛れなのは明確。
シュルト膝蹴り、ついにセフォーがコーナーでスタンディングダウン。
判定は文句なしにシュルト。
オランダの空手大巨人が準々決勝突破。
花道を去るセフォーの顔がビジョンに。額の両側、こめかみの前辺りに血がにじんでいた。
シュルトは前蹴り多用でアウトファイトするのかと考えていたが意外にも組んでの膝蹴りを多用。
角度の高さは脅威。
【バンナ-アーツ】
バンナはかなり緊張した表情、逆にアーツは余裕。
アーツ左ジャブから右ハイ。
両者のローの交錯からアーツ左ハイ。
アーツ右ミドル、バンナ前進してパンチ出そうとするもアーツうまく回り込んでバンナに攻撃をさせない。
アーツ膝蹴り、バンナジャブ、アーツぐらつく。
2R、バンナ前進してパンチ、アーツクリンチで逃れる。
打ち気満々といったバンナの前進をアーツがかわして攻撃するという展開が続く。
3R、アーツの右アッパーでバンナのマウスピースが吹っ飛ぶ。
終盤バンナの右フックが当たる、アーツ右ハイ連発。
判定は3者ドロー、延長戦。
アーツ右ハイ、右ストレート、手数が多い。逆にバンナは前進するも的確なパンチが少ない。
再度の判定はアーツ。戦い方がうまいし、調子はよさそうだった。
【武蔵-カラエフ】
カラエフ右ジャンピングハイキック、スピードはなかなかのもの。
カラエフ、右ストレートで突進。
武蔵バッティングで倒れる。
カラエフがバックキック披露。
武蔵右ロー、カラエフはミドルキックとパンチの上下打ち分け。
カラエフ右ミドル、武蔵アッパー。
カラエフバックキック、武蔵左ロー、カラエフ少しぐらつく。
2R、カラエフジャンピングハイキック、武蔵右ロー、カラエフアッパーからバックブロー、なかなか有効打出ず。
3R、武蔵前進して左ロー。カラエフコーナーに詰まる。
カラエフはスタミナが切れたか、スピードがなくなってコーナーに詰まることが多くなる。
しかし武蔵もグローブの手が下がっている。
カラエフ綺麗なワンツー、残り10秒で打ち合い、カラエフ膝蹴り。
判定はドローで延長。
武蔵のローとカラエフのパンチが交錯、しかし両者疲れた様子。
武蔵ローブローが入りインターバル。
再開後の武蔵、右ローいい音させる。
再度武蔵バッティングを受ける、30秒インターバル。
カラエフ左ストレートからバックキック、武蔵の顔面を直撃。これはポイント高いか。
ここで終了、再延長と思ったが判定は武蔵。
どの辺が武蔵のポイントだったのか、ローか?
ともかく準決勝進出者、ベスト4が決まった。
レミー、シュルト、アーツ、武蔵。3人オランダ1人日本。またしてもオランダ勢が勝ち残った。
リザーブマッチ2試合。
グラウベ-ゲーリーは後半ゲーリーをコーナーに詰めて攻めたグラウベが判定で勝利。
再三マウスピースを落っこどすゲーリー。
K-1初登場、長身のバド・ハリはやや非力な印象だったが
2R長い足を利したバックキックでプライド出戻りのレコを失神KO。
レコはスエーでかわしたようなつもりだったと思うのだがバドの長い足が右頬を直撃。
角田氏がリングに登場、アーツの負傷(右脇腹アバラ骨2本骨折)、ドクターストップを告げる。
そして第1リザーバーのグラウベの出場を発表。
これは意外。過去ワールドGPは負傷者が出た場合は敗者復活というパターンが多かったが。
2000年アーツ(敗者アビティが復活)、2001年ホースト(敗者レコが復活)、2002年サップ(敗者ホーストが復活)など。
今年のMAXもリザーバーが出場したことを考えると、優先順位が変わったのか?
ともかく13回目にして決勝大会に初のリザーバーが登場した。
ベスト4はレミー、シュルト、グラウベ、武蔵。
空手がバックボーンの選手が3人!しかもシュルト=大道塾、グラウベ=極真、武蔵=正道会館と流派も別(シュルトは現在は正道会館所属)。
【シュルト-レミー】
意外にも過去に対戦経験があって、シュルトが判定で勝っているらしい(03年7月)。
シュルト前蹴りからコーナーにレミーを追い込んで膝蹴り狙い。
シュルトの右ミドルでレミーがスリップダウン。
シュルト、パンチ、頭部への膝で王者レミーを圧倒。
ロープ際で離れたあと、突如レミーが膝をつく。
カウント8のダウン、場内騒然、先のチェ戦で負傷していたのか、それともシュルトの攻撃が効いたのか。
シュルト猛然と攻撃、膝蹴りからパンチ、防戦一方のレミー2度目のダウンでノックアウト負け。
この時点で生き残り3人とも空手出身者、誰が勝っても96年第4回アンディ・フグ以来の空手選手の優勝が自動的に決定。
【武蔵-グラウベ】
思わぬ形で本戦トーナメント出場が決まったグラウベ、実は9月のトーナメント開幕戦1回戦で敗退している。
モチベーションは上がっているのか。
グラウベ右の蹴り、武蔵右ジャブ。
グラウベ上下打ち分け、武蔵ローブローが入りタイムストップ。
再開後グラウベ右回し蹴り、左ジャブ。武蔵左ロー。
グラウベ右ストレート、武蔵真後ろにダウン、カウント8。
2R、グラウベ右ハイ、武蔵左右ストレート。しかし武蔵もどこか痛めているのか動きが悪い。
グラウベ連続右ハイキックで突進、左ハイでロープ際に詰まった武蔵に飛び膝蹴り、
顔面に決まった武蔵は強烈なダウン、失神KO負け!
史上初、リザーバーが決勝進出!
この後休憩、空手演武、試し割り。
【シュルト-グラウベ】
クイーンの「ウイ・アー・ザ・チャンピオン」の調べが流れる中リフトに乗って空中から入場する両者。
両者は9月23日の開幕戦1回戦で対戦しておりシュルトが判定勝ちをおさめている。
ビジョンは客席のフランシスコ・フィリオの表情を映し出す。
空手家同士の決勝戦がスタート。
シュルトいきなりグラウベを捕まえに行ってロープに押し込みパンチ、膝蹴り。
シュルト、コーナーで膝、さらにロープ際で顔面に膝蹴り、これが強烈に決まりグラウベがロープに首が引っかかるように倒れてノックアウト。
シュルトが48秒膝蹴り秒殺で初優勝!
巨体を利した膝蹴りは危なげなく、まさに圧倒的勝利での優勝。
この選手を攻めるのは容易ではないと思うが、攻撃の主軸が全て左からというのが攻略のひとつのヒントになりはしないか。
それからチェとの大巨人対決も実現したら楽しみだ。
準々決勝が全て判定決着で前半は重苦しかったが、毎回と逆に進行が進むとノックアウト決着が多くなるというのも珍しい大会だった。
(2005.1120)
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FEG「K-1 WORLD GP 2005 決勝戦」
2005(平成17)年11月19日 東京ドーム
観衆5万8213人=主催者発表
1.トーナメント準々決勝 3分3R(延長1R)
○レミー・ボンヤスキー(判定3-0)チェ・ホンマン●
2.トーナメント準々決勝 3分3R(延長1R)
○セーム・シュルト(判定3-0)レイ・セフォー●
3.トーナメント準々決勝 3分3R(延長1R)
○ピーター・アーツ(延長1回判定3−0)ジェロム・レ・バンナ●
*アーツ脇腹負傷(アバラ骨骨折)で次戦は第1リザーバー(フェイトーザ)が出場。
4.トーナメント準々決勝 3分3R(延長1R)
○武蔵(延長1回判定3−0)ルスラン・カラエフ●
5.リザーブマッチ第一試合 3分3R(最大延長1R)
○グラウベ・フェイトーザ(判定3−0)ゲーリー・グッドリッジ●
6.リザーブマッチ第二試合 3分3R(最大延長1R)
○バド・ハリ(KO、2R1:30)ステファン“ブリッツ”レコ●
*右バックキック。
7.トーナメント準決勝 3分3R(延長1R)
○セーム・シュルト(KO、1R2:18)レミー・ボンヤスキー●
*左膝蹴り、2ノックダウン。
8.トーナメント準決勝 3分3R(延長1R)
○グラウベ・フェイトーザ(KO、2R1:05)武蔵●
*左飛び膝蹴り。
9.トーナメント決勝 3分3R(最大延長2R、決勝のみ3ノックダウン)
○セーム・シュルト(KO、1R0:48)グラウベ・フェイトーザ●
*左膝蹴り、シュルトが初優勝。
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